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給与計算1級 労働関連法規の実務応用
全40問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 「高度プロフェッショナル制度」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 高度の専門的知識を要する業務に従事し、一定の年収要件(1,075万円以上等)を満たす労働者について、本人の同意等を条件に、労働時間・休憩・休日・深夜割増賃金の規定を適用除外とする制度
- B. 高度プロフェッショナル制度は全ての労働者に無条件で適用される制度である
- C. 高度プロフェッショナル制度を適用すると年次有給休暇の付与義務もなくなる
- D. 高度プロフェッショナル制度には健康確保措置は一切求められない
正解: A. 高度の専門的知識を要する業務に従事し、一定の年収要件(1,075万円以上等)を満たす労働者について、本人の同意等を条件に、労働時間・休憩・休日・深夜割増賃金の規定を適用除外とする制度 / 高度プロフェッショナル制度は、金融商品の開発業務やコンサルタント業務等、高度の専門的知識等を必要とし業務に従事した時間と成果との関連性が高くない業務に従事し、一定の年収要件(1,075万円以上)を満たす労働者について、本人の同意や労使委員会の決議等を条件に、労働時間・休憩・休日及び深夜の割増賃金に関する規定の適用を除外する制度である。ただし、年次有給休暇の規定は適用除外とならず、健康確保措置(休日の確保、健康管理時間の把握等)を講じることが義務付けられている。
問2. 「企画業務型裁量労働制」の導入要件として最も適切なものはどれか。
- A. 事業運営の企画・立案・調査・分析の業務であって、労使委員会を設置し、委員の5分の4以上の多数による決議、および労働基準監督署への届出等が必要
- B. 企画業務型裁量労働制は労使委員会の決議なしに使用者の判断のみで導入できる
- C. 企画業務型裁量労働制は全ての事務職に無条件で適用できる制度である
- D. 企画業務型裁量労働制の対象労働者の同意は不要である
正解: A. 事業運営の企画・立案・調査・分析の業務であって、労使委員会を設置し、委員の5分の4以上の多数による決議、および労働基準監督署への届出等が必要 / 企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査・分析の業務であって、業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある業務について、労使委員会を設置し、委員の5分の4以上の多数による決議、労働基準監督署への届出、対象労働者本人の同意等の厳格な要件のもとで導入することができる制度である。
問3. 企画業務型裁量労働制や高度プロフェッショナル制度の導入に必要な「労使委員会」の構成として最も適切なものはどれか。
- A. 使用者を代表する委員及び労働者を代表する委員から構成される、労働条件に関する事項を審議し使用者に対して意見を述べることを目的とした委員会
- B. 労使委員会は使用者側の委員のみで構成される
- C. 労使委員会は労働者側の委員のみで構成される
- D. 労使委員会の設置は法律上一切要求されない任意の慣行にすぎない
正解: A. 使用者を代表する委員及び労働者を代表する委員から構成される、労働条件に関する事項を審議し使用者に対して意見を述べることを目的とした委員会 / 労使委員会は、賃金・労働時間その他の労働条件に関する事項を審議し、事業主に対して意見を述べることを目的とする委員会であり、使用者を代表する委員と、労働者の過半数を代表する者に任期を定めて指名された労働者側の委員の双方から構成される。企画業務型裁量労働制や高度プロフェッショナル制度の導入には、この労使委員会での決議が必要である。
問4. 「時間単位年休」制度の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 労使協定を締結することにより、年5日を限度として、年次有給休暇を時間単位で取得できるようにする制度
- B. 時間単位年休は労使協定なしに使用者の判断のみで導入できる
- C. 時間単位年休には取得できる日数(時間数)の上限が一切存在しない
- D. 時間単位年休を導入すると年次有給休暇の全日数が時間単位取得の対象となる
正解: A. 労使協定を締結することにより、年5日を限度として、年次有給休暇を時間単位で取得できるようにする制度 / 時間単位年休は、労使協定を締結することにより、年5日の範囲内で、年次有給休暇を1日単位ではなく時間単位で取得できるようにする制度であり、通院や育児・介護等の短時間の私用のために柔軟に有給休暇を活用できるようにする趣旨で設けられている。
問5. 年次有給休暇の「計画的付与制度」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 労使協定により、年次有給休暇のうち5日を超える部分について、あらかじめ取得する時季を計画的に定めることができる制度
- B. 計画的付与制度を導入すると、労働者が自由に有給休暇を取得する権利が完全に消滅する
- C. 計画的付与制度は労使協定なしに使用者が一方的に導入できる制度である
- D. 計画的付与制度は年次有給休暇の全日数を対象とすることができる
正解: A. 労使協定により、年次有給休暇のうち5日を超える部分について、あらかじめ取得する時季を計画的に定めることができる制度 / 年次有給休暇の計画的付与制度は、労使協定を締結することにより、年次有給休暇の日数のうち、労働者が自由に取得できる5日を除いた部分について、企業や部署単位での一斉休暇、班別の交替制付与等、あらかじめ取得する時季を計画的に定めることができる制度である。
問6. 「整理解雇」が有効と認められるために考慮される「整理解雇の4要件(4要素)」に含まれないものはどれか。
- A. 労働者の学歴の高さ
- B. 人員削減の必要性
- C. 解雇回避努力義務の履行
- D. 被解雇者選定の合理性
正解: A. 労働者の学歴の高さ / 整理解雇(経営上の理由による人員削減のための解雇)が有効と認められるかどうかは、一般に①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務の履行(配置転換・希望退職募集等の努力)、③被解雇者選定の合理性、④手続きの妥当性(労働組合や労働者への説明・協議)という4つの要素(要件)を総合的に考慮して判断され、労働者の学歴の高さはこれらの要素には含まれない。
問7. 懲戒解雇された従業員に対する退職金の不支給・減額についての一般的な考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 退職金規程に不支給・減額の定めがあり、かつその適用が当該非違行為の性質・重大性等に照らして合理的である場合に限り、不支給・減額が認められうる
- B. 懲戒解雇されれば退職金規程の定めの有無に関わらず自動的に退職金は全額不支給となる
- C. 懲戒解雇された従業員には、いかなる理由があっても退職金を減額することは一切できない
- D. 退職金の不支給・減額に関する定めは労働基準法により一律に禁止されている
正解: A. 退職金規程に不支給・減額の定めがあり、かつその適用が当該非違行為の性質・重大性等に照らして合理的である場合に限り、不支給・減額が認められうる / 懲戒解雇された従業員に対する退職金の不支給・減額は、退職金規程等にその旨の定めがあることを前提に、当該非違行為の性質・重大性、それまでの勤続の功労を減殺する程度等に照らして合理的であると認められる場合に限り認められうるものであり、無条件に全額不支給とすることが常に有効というわけではない。
問8. 労働基準法における退職金の支払い時期についての一般的な取り扱いとして最も適切なものはどれか。
- A. 退職金は「臨時の賃金」として扱われ、賃金の支払いの5原則のうち「毎月1回以上・一定期日払いの原則」の適用対象外とされているが、就業規則等で定めた支払時期に支払う必要がある
- B. 退職金は必ず毎月の給与と同じ支払日に支払わなければならない
- C. 退職金の支払い時期については法律上一切の定めがなく完全に企業の自由である
- D. 退職金は労働者からの請求があった場合、7日以内に支払わなければならない(一般の賃金と同じ扱い)
正解: A. 退職金は「臨時の賃金」として扱われ、賃金の支払いの5原則のうち「毎月1回以上・一定期日払いの原則」の適用対象外とされているが、就業規則等で定めた支払時期に支払う必要がある / 退職金は、労働基準法上「臨時の賃金」として扱われ、毎月1回以上・一定期日払いの原則の直接の適用対象とはならないが、就業規則や退職金規程に定めた支払時期(「退職後1か月以内」等)に従って支払う必要がある。なお、労働者の死亡または退職の場合、労働者(またはその遺族)から請求があったときは、使用者は7日以内に賃金を支払わなければならないという別の規定(労働基準法第23条)もあり、退職金についてもこの規定との関係が問題となる場合がある。
問9. 退職金規程に定める「競業避止義務違反による退職金の減額・不支給」条項の有効性についての一般的な考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 競業避止義務の合理性(制限の期間・地域・職種の範囲、代償措置の有無等)を総合的に考慮し、労働者の職業選択の自由を不当に制限しない範囲でのみ有効と判断される傾向にある
- B. 競業避止義務の定めは、内容の合理性を問わず常に無条件で有効である
- C. 退職金の減額・不支給条項は、いかなる場合も一切無効である
- D. 競業避止義務は労働基準法により明文で全面的に禁止されている
正解: A. 競業避止義務の合理性(制限の期間・地域・職種の範囲、代償措置の有無等)を総合的に考慮し、労働者の職業選択の自由を不当に制限しない範囲でのみ有効と判断される傾向にある / 退職金規程に定める競業避止義務違反による退職金の減額・不支給条項は、労働者の職業選択の自由(憲法上の権利)との関係で、その競業避止義務の内容(制限される期間・地域・職種の範囲、代償措置の有無等)の合理性を総合的に考慮して有効性が判断される傾向にあり、過度に労働者の職業選択の自由を制限する内容は無効と判断されるリスクがある。
問10. 「労働審判制度」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 個別労働関係紛争について、裁判官と労働関係の専門的知識経験を有する労働審判員が、原則3回以内の期日で迅速に紛争解決を図る制度
- B. 労働審判制度は労働組合と使用者間の集団的労使紛争のみを対象とする
- C. 労働審判制度の審理には期日数の上限が一切ない
- D. 労働審判制度は未払い賃金請求には一切利用できない
正解: A. 個別労働関係紛争について、裁判官と労働関係の専門的知識経験を有する労働審判員が、原則3回以内の期日で迅速に紛争解決を図る制度 / 労働審判制度は、解雇や賃金未払い等の個別労働関係紛争について、裁判官(労働審判官)1名と労働関係の専門的知識経験を有する労働審判員2名から構成される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日で審理し、調停の成立や労働審判により迅速な紛争解決を図ることを目的とした制度である。
問11. 労働基準監督署から未払い残業代について「是正勧告」を受けた場合の事業主の一般的な対応として適切なものはどれか。
- A. 是正報告書を提出するとともに、指摘された未払い賃金を対象労働者へ速やかに支払い、再発防止策を講じる
- B. 是正勧告には法的拘束力が一切ないため、対応を無視してもよい
- C. 是正勧告を受けた場合、直ちに事業を廃止しなければならない
- D. 是正勧告は労働者本人に直接通知されるものであり事業主には一切関係がない
正解: A. 是正報告書を提出するとともに、指摘された未払い賃金を対象労働者へ速やかに支払い、再発防止策を講じる / 是正勧告は行政指導としての性質を持ち、それ自体に直接の強制力(刑罰等)はないものの、これを無視・放置すると、悪質な場合は書類送検等の刑事手続きに発展するリスクがあるため、事業主は指摘事項について速やかに是正報告書を提出するとともに、未払い賃金の支払いや再発防止策の実施等、誠実な対応を行うことが求められる。
問12. 労働基準監督官が有する「司法警察権」についての説明として最も適切なものはどれか。
- A. 労働基準監督官は、労働基準法違反等の犯罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察員としての職務を行うことができる
- B. 労働基準監督官には行政指導の権限のみがあり、犯罪捜査の権限は一切ない
- C. 司法警察権は労働基準監督署長のみに与えられており監督官個人には与えられていない
- D. 司法警察権の行使には常に裁判所の事前許可が必要である
正解: A. 労働基準監督官は、労働基準法違反等の犯罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察員としての職務を行うことができる / 労働基準監督官は、労働基準法・労働安全衛生法等の違反について、行政指導(是正勧告等)を行うだけでなく、刑事訴訟法に規定する司法警察員としての職務(犯罪捜査、書類送検等)を行うことができる「司法警察権」を有しており、悪質な法違反事案については刑事事件として立件されることもある。
問13. 同一労働同一賃金に関する裁判例(例:賞与・退職金の不支給が争われた事案)の一般的な傾向として最も適切なものはどれか。
- A. 賞与・退職金は、正社員としての職務遂行や継続的な貢献に対する期待等の性質を踏まえ、必ずしも全ての場合に非正規雇用労働者への支給が認められるわけではないが、個別の職務内容・待遇の実態を踏まえた判断がなされる
- B. 賞与・退職金は全ての事案で必ず非正規雇用労働者にも同額支給が義務付けられるとする判断で統一されている
- C. 賞与・退職金に関する待遇差は、いかなる事情があっても常に適法と判断される
- D. 賞与・退職金についての裁判例は一切存在しない
正解: A. 賞与・退職金は、正社員としての職務遂行や継続的な貢献に対する期待等の性質を踏まえ、必ずしも全ての場合に非正規雇用労働者への支給が認められるわけではないが、個別の職務内容・待遇の実態を踏まえた判断がなされる / 同一労働同一賃金に関する最高裁判例等では、賞与や退職金について、正社員としての職務遂行の在り方や、長期的な人材確保・定着の観点からの支給という性質等を踏まえ、必ずしも常に非正規雇用労働者への支給が一律に義務付けられるとは限らないと判断される一方で、職務内容・責任の程度・配置転換の範囲等の実態が正社員と近い場合には不合理な待遇差とされる可能性もあり、個別の事案の実態に応じた判断がなされている。
問14. パートタイム・有期雇用労働法における、事業主から労働者への「待遇に関する説明義務」の内容として最も適切なものはどれか。
- A. 短時間・有期雇用労働者から求めがあった場合、正社員との待遇差の内容・理由等について説明しなければならない
- B. 待遇に関する説明義務は正社員に対してのみ課される義務である
- C. 待遇に関する説明を求めた労働者に対し、その求めを理由として不利益な取り扱いをすることは禁止されていない
- D. 待遇に関する説明義務は、雇入れ時にのみ課され、その後は一切不要である
正解: A. 短時間・有期雇用労働者から求めがあった場合、正社員との待遇差の内容・理由等について説明しなければならない / パートタイム・有期雇用労働法により、事業主は、短時間労働者・有期雇用労働者から求めがあった場合、正社員(通常の労働者)との待遇差の内容やその理由等について説明しなければならない義務を負っており、労働者がこの説明を求めたことを理由として不利益な取り扱いをすることは禁止されている。
問15. 無期転換ルールについて、専門的知識等を有する高度専門職や継続雇用の高齢者に認められている特例の内容として最も適切なものはどれか。
- A. 都道府県労働局長の認定を受けた計画に基づき、一定の期間について無期転換申込権が発生しない特例が設けられている
- B. この特例を利用すると、当該労働者には労働基準法自体が一切適用されなくなる
- C. この特例は全ての有期雇用労働者に自動的に適用される
- D. この特例の適用には労働局長の認定は一切不要である
正解: A. 都道府県労働局長の認定を受けた計画に基づき、一定の期間について無期転換申込権が発生しない特例が設けられている / 「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」に基づき、高度専門職(一定の年収要件等を満たす者)が5年を超えるプロジェクトに従事する場合や、定年後に継続雇用される高齢者について、事業主が特例の対象となる雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けることにより、無期転換申込権が発生しない期間の特例が設けられている。
問16. 労働者派遣法における「事業所単位の期間制限」と「個人単位の期間制限」の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
- A. 同一の事業所での派遣受け入れは原則3年が限度(事業所単位)であり、また同一の組織単位における同一の派遣労働者の受け入れも原則3年が限度(個人単位)とされる
- B. 派遣期間の制限は事業所単位のみに存在し、個人単位の制限は一切存在しない
- C. 派遣期間の制限は個人単位のみに存在し、事業所単位の制限は一切存在しない
- D. 労働者派遣には期間制限という概念自体が存在しない
正解: A. 同一の事業所での派遣受け入れは原則3年が限度(事業所単位)であり、また同一の組織単位における同一の派遣労働者の受け入れも原則3年が限度(個人単位)とされる / 労働者派遣法では、同一の事業所において派遣労働者を受け入れることができる期間は原則として3年が限度とされる「事業所単位の期間制限」と、同一の派遣労働者を同一の組織単位(課等)で受け入れることができる期間も原則3年が限度とされる「個人単位の期間制限」の両方が設けられている(事業所単位は労使協定により延長可能)。
問17. 労働者派遣法における「労働契約申込みみなし制度」が適用される場面として最も適切なものはどれか。
- A. 派遣先が、労働者派遣の禁止業務への従事、無許可の派遣元からの受け入れ、期間制限違反等の一定の違法派遣を受け入れた場合に、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申込みをしたものとみなされる制度
- B. この制度は全ての労働者派遣の受け入れに無条件で適用される
- C. この制度が適用されても派遣先には一切の法的効果が生じない
- D. この制度は派遣元にのみ適用され派遣先には一切適用されない
正解: A. 派遣先が、労働者派遣の禁止業務への従事、無許可の派遣元からの受け入れ、期間制限違反等の一定の違法派遣を受け入れた場合に、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申込みをしたものとみなされる制度 / 労働契約申込みみなし制度は、派遣先が、労働者派遣が禁止されている業務への従事、無許可・無届の派遣元からの労働者派遣の受け入れ、期間制限(事業所単位・個人単位)に違反する労働者派遣の受け入れ等、一定の違法な労働者派遣を受け入れた場合に、その時点で派遣先が当該派遣労働者に対して、その派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなす制度である。
問18. 「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)」の趣旨として最も適切なものはどれか。
- A. フリーランス(特定受託事業者)に業務を委託する事業者に対し、取引条件の明示、報酬の支払期日の設定、募集情報の的確な表示、ハラスメント対策等の義務を課す
- B. フリーランス新法は雇用契約の労働者にのみ適用される法律である
- C. フリーランス新法により、フリーランスは自動的に労働基準法上の労働者として扱われるようになる
- D. フリーランス新法には報酬の支払期日に関する規定は一切存在しない
正解: A. フリーランス(特定受託事業者)に業務を委託する事業者に対し、取引条件の明示、報酬の支払期日の設定、募集情報の的確な表示、ハラスメント対策等の義務を課す / フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)は、フリーランス(業務委託の相手方である特定受託事業者)に業務を委託する事業者に対し、取引条件の書面等による明示、報酬の支払期日の設定(原則として給付を受領した日から60日以内等)、募集情報の的確表示、ハラスメント対策のための体制整備等の義務を課す法律であり、フリーランスであっても労働基準法上の「労働者」として扱われるわけではない点には注意が必要である。
問19. 実態として労働者性が高い「偽装フリーランス(偽装請負)」問題への対応として最も適切なものはどれか。
- A. 契約形態が業務委託であっても、実態として使用者からの指揮命令や時間的場所的拘束等が認められる場合には、労働基準法上の「労働者」に該当すると判断され、労働関連法規が適用される可能性がある
- B. 契約書に「業務委託」と明記されていれば、実態がどうであれ労働基準法は一切適用されない
- C. 偽装フリーランス問題は現行法上、判断基準が全く存在しない
- D. 業務委託契約を締結すれば、社会保険・労働保険への加入は常に一切不要である
正解: A. 契約形態が業務委託であっても、実態として使用者からの指揮命令や時間的場所的拘束等が認められる場合には、労働基準法上の「労働者」に該当すると判断され、労働関連法規が適用される可能性がある / 労働基準法上の「労働者」に該当するかどうかは、契約形態の名称(業務委託契約等)にかかわらず、実態として使用者の指揮命令下にあるか、時間的・場所的な拘束を受けているか、報酬が労働の対価としての性質を持つか等の実質的な判断基準(労働基準法研究会報告における「使用従属性」の考え方等)に基づいて判断され、実態として労働者性が高いと判断される場合には、労働基準法をはじめとする労働関連法規が適用される可能性がある。
問20. 個人情報保護法における「要配慮個人情報」に該当するものとして、労務管理上特に留意すべきものはどれか。
- A. 労働者の病歴・健康診断の結果等の医療情報
- B. 労働者の氏名のみ
- C. 労働者の勤続年数のみ
- D. 労働者の役職名のみ
正解: A. 労働者の病歴・健康診断の結果等の医療情報 / 個人情報保護法における「要配慮個人情報」には、本人の病歴、健康診断の結果、犯罪の経歴等が含まれ、これらの情報は取得に際して原則として本人の同意が必要とされる等、通常の個人情報よりも厳格な取り扱いが求められる。労務管理においては健康診断結果やストレスチェックの結果等がこれに該当するため、給与計算・人事労務担当者は特に慎重な取り扱いが求められる。
問21. 近年注目される「カスタマーハラスメント(カスハラ)対策」について、事業主に求められる対応として最も適切なものはどれか。
- A. 顧客等からの著しい迷惑行為から労働者を保護するため、相談体制の整備等の対応が推奨・義務化される動きがある
- B. カスタマーハラスメント対策は労働者の労務管理とは一切無関係な問題である
- C. カスタマーハラスメントは法律上一切問題とされていない
- D. カスタマーハラスメント対策は特定の業種にのみ関係し他業種には一切関係がない
正解: A. 顧客等からの著しい迷惑行為から労働者を保護するため、相談体制の整備等の対応が推奨・義務化される動きがある / 近年、顧客・取引先等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)により労働者が精神的・身体的な被害を受けるケースが社会問題となっており、企業に対して相談体制の整備等の対応を求める動き(東京都をはじめとする一部自治体での条例化、法改正の動向等)があり、労働者の安全配慮義務の観点からも重要なテーマとなっている。
問22. 労働契約法における使用者の「安全配慮義務」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ働くことができるよう、必要な配慮をするものとする
- B. 安全配慮義務は労働者側にのみ課される義務である
- C. 安全配慮義務は工場労働者にのみ適用される概念である
- D. 安全配慮義務は労働契約法には規定されていない
正解: A. 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ働くことができるよう、必要な配慮をするものとする / 労働契約法第5条は、使用者の「安全配慮義務」を明文化しており、使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ働くことができるよう、必要な配慮をする義務を負う。長時間労働による過労死・過労自殺、ハラスメントによるメンタルヘルス不調等が発生した場合、この安全配慮義務違反が問われることがある。
問23. 労災認定における「過労死ライン」の一般的な目安として最も適切なものはどれか。
- A. 発症前1か月間におおむね100時間、または発症前2〜6か月間にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働
- B. 過労死ラインは1か月あたり20時間の時間外労働を目安とする
- C. 過労死ラインは1年間の総労働時間のみで判断される
- D. 過労死ラインという基準は労災認定の実務には存在しない
正解: A. 発症前1か月間におおむね100時間、または発症前2〜6か月間にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働 / 労災認定の実務における「過労死ライン」は、発症前1か月間におおむね100時間、または発症前2か月間ないし6か月間にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働がある場合に、業務と発症との関連性が強いと評価される目安とされており、長時間労働の抑制やメンタルヘルス対策の重要な指標となっている。
問24. 「勤務間インターバル制度」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する制度
- B. 勤務間インターバル制度は休憩時間の長さのみを定める制度である
- C. 勤務間インターバル制度は全ての企業に罰則付きで義務化されている(努力義務ではない)
- D. 勤務間インターバル制度は年次有給休暇の取得日数を定める制度である
正解: A. 終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息時間を確保する制度 / 勤務間インターバル制度は、労働者の終業時刻から翌日の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保することで、労働者の生活時間や睡眠時間を十分に確保し、健康の保持や過重労働の防止を図る制度であり、労働時間等設定改善法により事業主の努力義務として位置づけられている。
問25. 「労働施策総合推進法」に基づく募集・採用時の年齢制限禁止についての説明として最も適切なものはどれか。
- A. 事業主は労働者の募集・採用にあたり、原則として年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない(一定の例外事由あり)
- B. 年齢制限の禁止は特定の業種にのみ適用され、他の業種には一切適用されない
- C. 事業主は募集・採用時に自由に年齢制限を設けることができ、法律上の制約は一切ない
- D. 年齢制限禁止の規定は正社員の募集にのみ適用され、パートタイム労働者の募集には適用されない
正解: A. 事業主は労働者の募集・採用にあたり、原則として年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない(一定の例外事由あり) / 労働施策総合推進法(旧雇用対策法)に基づき、事業主は労働者の募集・採用にあたり、原則として年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされている。ただし、定年年齢を上限とする無期雇用の募集や、若年者等を対象としたキャリア形成を目的とする募集等、一定の例外事由に該当する場合は年齢制限が認められる。
問26. 「障害者雇用促進法」における「法定雇用率」制度の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 事業主は、常時雇用する労働者数に応じて、一定割合以上の障害者を雇用する義務を負う
- B. 法定雇用率は全ての企業に一律で同じ人数(率ではなく人数)を義務付ける制度である
- C. 法定雇用率制度は民間企業には適用されず公的機関にのみ適用される
- D. 法定雇用率を達成できなくても一切のペナルティは存在しない
正解: A. 事業主は、常時雇用する労働者数に応じて、一定割合以上の障害者を雇用する義務を負う / 障害者雇用促進法に基づく法定雇用率制度は、常時雇用する労働者数が一定数以上の事業主に対し、その労働者数に応じた一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用する義務を課しており、法定雇用率を達成できない事業主(一定規模以上)は障害者雇用納付金の納付義務を負う一方、達成している事業主には調整金・報奨金が支給される仕組みとなっている。
問27. 「次世代育成支援対策推進法」に基づく「くるみん認定」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 一般事業主行動計画を策定し、その計画に定めた目標を達成する等の一定の基準を満たした企業が、厚生労働大臣の認定(くるみんマーク)を受けられる制度
- B. くるみん認定は全ての企業に自動的に付与される認定である
- C. くるみん認定は男性労働者にのみ関係する認定制度である
- D. くるみん認定を受けると法人税が完全に免除される
正解: A. 一般事業主行動計画を策定し、その計画に定めた目標を達成する等の一定の基準を満たした企業が、厚生労働大臣の認定(くるみんマーク)を受けられる制度 / 次世代育成支援対策推進法に基づき、企業が次世代育成支援のための一般事業主行動計画を策定し、その計画に定めた目標の達成や、育児休業取得率等の一定の基準を満たしていると認められた場合、厚生労働大臣の認定(くるみん認定、より高い基準を満たす場合はプラチナくるみん認定)を受けることができ、認定を受けた企業は自社の商品等にくるみんマークを使用できる等のメリットがある。
問28. 「女性活躍推進法」に基づく一般事業主行動計画の策定義務についての説明として最も適切なものはどれか。
- A. 常時雇用する労働者数が一定数を超える事業主は、女性の活躍推進に関する状況把握・課題分析を行い、一般事業主行動計画を策定・届出・公表する義務を負う
- B. 女性活躍推進法に基づく行動計画の策定は、全ての企業に例外なく罰則付きで義務化されている
- C. 女性活躍推進法は男性労働者を一切対象としない法律である
- D. 女性活躍推進法に基づく行動計画には数値目標を設定する必要は一切ない
正解: A. 常時雇用する労働者数が一定数を超える事業主は、女性の活躍推進に関する状況把握・課題分析を行い、一般事業主行動計画を策定・届出・公表する義務を負う / 女性活躍推進法に基づき、常時雇用する労働者数が一定数(100人等)を超える事業主は、女性労働者の活躍に関する状況把握・課題分析を行ったうえで、一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局への届出及び公表を行う義務を負う。この行動計画には、採用における女性比率、管理職に占める女性割合等についての数値目標を設定することが求められる。
問29. 「雇止め法理」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 有期労働契約が反復更新され実質的に無期契約と同視できる場合等、一定の場合には、使用者による雇止め(更新拒絶)に解雇権濫用法理が類推適用される
- B. 雇止め法理は、一切の理由がなくとも使用者が自由に有期契約を更新拒絶できることを認める法理である
- C. 雇止め法理は、有期労働契約には一切適用されない、無期契約専用の法理である
- D. 雇止め法理を適用すると有期労働契約は自動的に無期労働契約に転換される
正解: A. 有期労働契約が反復更新され実質的に無期契約と同視できる場合等、一定の場合には、使用者による雇止め(更新拒絶)に解雇権濫用法理が類推適用される / 雇止め法理(労働契約法第19条に明文化)は、有期労働契約が過去に反復して更新されており実質的に無期契約と同視できると認められる場合、または労働者において契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められる場合には、使用者による雇止め(契約更新の拒絶)について、解雇権濫用法理を類推適用し、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められないときは、従前の労働条件と同一の内容で有期労働契約が更新されたものとみなす法理である。
問30. 「労働保険事務組合」の役割として最も適切なものはどれか。
- A. 中小事業主等の委託を受けて、労働保険料の申告・納付等の事務手続きを代行する厚生労働大臣認可の団体
- B. 労働保険事務組合は労働者個人が加入する労働組合を指す用語である
- C. 労働保険事務組合は大企業のみを対象とした制度である
- D. 労働保険事務組合に事務委託すると労働保険への加入義務自体が完全になくなる
正解: A. 中小事業主等の委託を受けて、労働保険料の申告・納付等の事務手続きを代行する厚生労働大臣認可の団体 / 労働保険事務組合は、中小事業主等の委託を受けて、労働保険(労災保険・雇用保険)の保険料の申告・納付等の事務手続きを代行する、厚生労働大臣の認可を受けた事業主団体等であり、事務組合に委託することで、中小事業主自身の労災保険への特別加入(本来は労働者ではないため加入できない事業主本人の労災保険加入)も可能になる等のメリットがある。
問31. 就業規則における「相対的必要記載事項」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 退職手当、臨時の賃金(賞与)、安全衛生、災害補償等、その制度を設ける場合には就業規則に記載しなければならない事項
- B. 相対的必要記載事項は、いかなる場合でも就業規則への記載が完全に任意であり記載してもしなくても法的な問題は一切生じない
- C. 相対的必要記載事項は絶対的必要記載事項と全く同じものを指す用語である
- D. 相対的必要記載事項には賃金に関する事項が一切含まれない
正解: A. 退職手当、臨時の賃金(賞与)、安全衛生、災害補償等、その制度を設ける場合には就業規則に記載しなければならない事項 / 就業規則の「相対的必要記載事項」は、退職手当(退職金)、臨時の賃金(賞与等)、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁(懲戒)等、その企業がそれらの制度を設ける場合には就業規則に記載しなければならない事項を指し、始業・終業時刻等が必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」とは区別される。
問32. 一般的な就業規則に定められる「懲戒処分」の種類として、最も軽い処分から重い処分への一般的な順序はどれか。
- A. 戒告・けん責 → 減給 → 出勤停止 → 降格 → 諭旨解雇 → 懲戒解雇
- B. 懲戒解雇 → 諭旨解雇 → 降格 → 出勤停止 → 減給 → 戒告・けん責
- C. 懲戒処分には軽重の区別が一切存在しない
- D. 減給が最も重い処分であり懲戒解雇よりも重いとされる
正解: A. 戒告・けん責 → 減給 → 出勤停止 → 降格 → 諭旨解雇 → 懲戒解雇 / 一般的な懲戒処分の種類は、軽い順に戒告・けん責(始末書の提出等)、減給(労働基準法上、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない制限あり)、出勤停止、降格、諭旨解雇(退職勧告に近い形の解雇)、懲戒解雇(最も重い処分)という段階で構成されることが一般的である。
問33. 平均賃金1日分が1万円、1賃金支払期における賃金総額が30万円の労働者に対する減給制裁について、労働基準法上認められる1回あたりの減給額の上限はいくらか。
1回の減給額の上限 = 平均賃金1日分の半額。平均賃金1日分1万円として計算せよ。単位: 円 / ヒント: 10,000 × 0.5
正解: 5000円 / 労働基準法第91条により、1回の事案に対する減給の制裁は、平均賃金の1日分の半額を超えてはならないとされているため、1回あたりの上限は10,000円×0.5=5,000円となる。また、複数回の減給が重なる場合でも、一賃金支払期における減給の総額は、その賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならないという別の制限もある。
問34. 「労働協約」と「就業規則」の効力関係として最も適切なものはどれか。
- A. 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する就業規則の部分は無効となる
- B. 就業規則は労働協約に優先し、労働協約の内容を自由に上書きできる
- C. 労働協約と就業規則は全く同じ効力を持つため優劣関係は一切存在しない
- D. 労働協約は労働組合に加入していない労働者には一切効力が及ばない
正解: A. 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する就業規則の部分は無効となる / 労働基準法第92条により、就業規則は、法令または当該事業場について適用される労働協約に反してはならないとされており、労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する就業規則の部分は無効となる。労働協約は原則としてその労働組合の組合員に対して効力が及ぶが、一定の要件下では非組合員にも効力(一般的拘束力)が及ぶ場合がある。
問35. 労働契約に関して労働基準法・労働契約法と民法(雇用契約に関する規定)の関係として最も適切なものはどれか。
- A. 労働基準法・労働契約法は労働者保護の観点から設けられた特別法であり、これらの法律に定めのない事項については民法の雇用契約に関する規定が補充的に適用される
- B. 労働契約には民法の適用が一切なく、労働基準法・労働契約法のみが適用される
- C. 労働基準法・労働契約法と民法は矛盾する場合、常に民法が優先して適用される
- D. 労働契約は民法上の雇用契約とは全く別個の契約類型であり民法の適用対象外である
正解: A. 労働基準法・労働契約法は労働者保護の観点から設けられた特別法であり、これらの法律に定めのない事項については民法の雇用契約に関する規定が補充的に適用される / 労働契約は民法上の「雇用契約」の一種であるが、労働者保護の観点から、労働基準法や労働契約法等の労働関連法規が特別法として優先的に適用される。これらの特別法に定めのない事項(契約の解釈に関する一般原則等)については、一般法である民法の規定が補充的に適用される関係にある。
問36. 厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が求める内容として最も適切なものはどれか。
- A. 使用者が自ら現認する、またはタイムカード等の客観的な記録を基礎として、始業・終業時刻を確認し記録すること
- B. 労働時間の把握は労働者の完全な自己申告のみで足り客観的な記録は一切不要とする
- C. このガイドラインには法的な意味は一切なく完全に無視してよい
- D. 労働時間の把握義務は管理監督者には一切及ばない
正解: A. 使用者が自ら現認する、またはタイムカード等の客観的な記録を基礎として、始業・終業時刻を確認し記録すること / 厚生労働省のガイドラインは、使用者が労働時間を適正に把握するため、原則として、使用者が自ら現認することにより確認する、またはタイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することを求めており、自己申告制による把握はやむを得ない場合の補完的な方法として位置づけている。この考え方は、管理監督者や裁量労働制の適用者を含む労働時間の状況把握義務(安全衛生の観点から)にも関連する。
問37. 厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が示す労働時間管理の方法「簡便な管理モデル」の趣旨として最も適切なものはどれか。
- A. 労使双方の手続き上の負担を軽減しつつ、労働時間の申告等の運用上の課題に対応するため、あらかじめ設定した労働時間の枠内で労働させ、それを超える労働時間について割増賃金を支払う等の簡便な方法を示す
- B. 簡便な管理モデルを導入すると、副業・兼業先の労働時間を通算する義務が完全になくなる
- C. 簡便な管理モデルは正社員の副業には一切適用できない
- D. 簡便な管理モデルは労働時間の通算という考え方自体を否定するものである
正解: A. 労使双方の手続き上の負担を軽減しつつ、労働時間の申告等の運用上の課題に対応するため、あらかじめ設定した労働時間の枠内で労働させ、それを超える労働時間について割増賃金を支払う等の簡便な方法を示す / 副業・兼業の促進に関するガイドラインが示す「管理モデル」は、労働時間の通算管理における労使双方の手続き上の負担を軽減するため、副業・兼業を行う前に、あらかじめ双方の使用者が設定した労働時間の枠(上限)の中で労働させ、それぞれの使用者がその枠内の労働時間についてのみ自らの事業場における割増賃金の支払い等の義務を負う、という簡便な運用方法を示すものである。
問38. 給与計算実務担当者が労働関連法規の改正動向を継続的に把握する必要がある理由として最も適切なものはどれか。
- A. 働き方改革関連法をはじめ、労働関連法規は社会情勢の変化に応じて頻繁に改正されており、最新の法令に基づかない給与計算・労務管理は法令違反やトラブルのリスクを高めるため
- B. 労働関連法規は一度制定されると将来にわたって一切改正されないため、把握の必要性はない
- C. 給与計算実務は法律の改正と一切関係のない純粋な事務作業であるため
- D. 法改正の把握は社会保険労務士等の外部専門家にのみ求められ、企業の担当者には一切不要である
正解: A. 働き方改革関連法をはじめ、労働関連法規は社会情勢の変化に応じて頻繁に改正されており、最新の法令に基づかない給与計算・労務管理は法令違反やトラブルのリスクを高めるため / 働き方改革関連法をはじめとして、労働基準法・労働契約法・パートタイム有期雇用労働法・育児介護休業法等の労働関連法規は、社会情勢の変化(少子高齢化、多様な働き方の広がり、ハラスメント対策の強化等)に応じて頻繁に改正されており、給与計算実務担当者がこれらの改正動向を継続的に把握し実務に反映しないと、法令違反や労使トラブルのリスクを高めることになるため、専門家任せにせず自らも継続的な学習を行うことが重要である。
問39. 企業が任意で実施する「労務監査(労務デューデリジェンス)」の目的として最も適切なものはどれか。
- A. 未払い残業代の有無、社会保険手続きの適正性、就業規則の内容等、労務コンプライアンス上のリスクを事前に把握し是正する
- B. 労務監査は税務調査と全く同一の手続きを指す用語である
- C. 労務監査は上場企業にのみ実施が法律で義務付けられている
- D. 労務監査を実施すれば、その後の労働基準監督署の調査は一切行われなくなる
正解: A. 未払い残業代の有無、社会保険手続きの適正性、就業規則の内容等、労務コンプライアンス上のリスクを事前に把握し是正する / 労務監査(労務デューデリジェンス)は、企業が自主的に(またはM&A等の際に)実施する、未払い残業代の有無、社会保険・労働保険手続きの適正性、就業規則の内容・運用の妥当性等、労務コンプライアンス上のリスクを事前に把握し、必要な是正措置を講じることを目的とした調査活動であり、法律上の義務ではないが、リスク管理の観点から実施する企業が増えている。
問40. 給与計算実務能力検定1級の労働関連法規分野で求められる能力として最も適切なものはどれか。
- A. 高度プロフェッショナル制度・企画業務型裁量労働制等の高度な労働時間制度、解雇規制、労働者派遣法、同一労働同一賃金の裁判例動向等、より高度で実践的な労働関連法規の知識を給与計算実務・労務管理に活かせる能力
- B. 特定の労務管理ソフトの操作方法のみを暗記していればよいという能力
- C. 1級では2級で学んだ労働基準法の基礎知識は一切考慮する必要がないという考え方
- D. 労働関連法規の知識は社会保険労務士等の専門家にのみ必要であり、給与計算実務担当者には一切不要であるという考え方
正解: A. 高度プロフェッショナル制度・企画業務型裁量労働制等の高度な労働時間制度、解雇規制、労働者派遣法、同一労働同一賃金の裁判例動向等、より高度で実践的な労働関連法規の知識を給与計算実務・労務管理に活かせる能力 / 給与計算実務能力検定1級の労働関連法規分野で求められるのは、高度プロフェッショナル制度・企画業務型裁量労働制等の高度な労働時間制度、整理解雇の要件、労働者派遣法の期間制限、同一労働同一賃金に関する裁判例の動向等、2級で習得した労働基準法等の基礎知識を土台としたより高度で実践的な法規知識を、給与計算実務・労務管理の現場で適切に活かせる能力である。