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給与計算1級 給与計算実務の応用
全40問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 時給2,000円の労働者が、深夜時間帯(22時〜24時)に法定時間外労働を2時間行った場合の割増賃金の合計額はいくらか(時間外割増率25%、深夜割増率25%として、両方が重複適用されるものとする)。
割増賃金 = 時給 × (1 + 時間外割増率 + 深夜割増率) × 時間。時給2,000円、時間外割増25%、深夜割増25%、2時間として計算せよ。単位: 円 / ヒント: 2,000 × (1+0.25+0.25) × 2
正解: 6000円 / 深夜の時間外労働の場合、時間外労働の割増率(25%)と深夜労働の割増率(25%)が合算され、合計50%の割増率が適用される。割増賃金=2,000円×(1+0.5)×2時間=2,000×1.5×2=6,000円となる。
問2. 1か月の時間外労働時間が60時間を超えた部分について、労働基準法上定められている割増賃金率(中小企業を含め適用済み)として最も適切なものはどれか。
- A. 50%以上
- B. 25%以上(60時間以下の部分と同率)
- C. 100%以上
- D. 月60時間を超える部分についての特別な割増賃金率は存在しない
正解: A. 50%以上 / 労働基準法では、1か月の時間外労働時間が60時間を超えた部分について、通常の時間外労働の割増率(25%以上)よりも高い50%以上の割増賃金率を適用することが義務付けられており、中小企業への適用猶予も終了し、現在は企業規模を問わず適用されている。
問3. 月給30万円(うち、基本給25万円・役職手当5万円)、月平均所定労働時間が160時間の労働者の、時間外労働の割増賃金計算の基礎となる1時間あたりの単価はいくらか(役職手当は割増賃金の基礎に含まれる手当とする)。
1時間あたりの単価 = 割増賃金の基礎となる賃金 ÷ 月平均所定労働時間。基本給25万円+役職手当5万円=30万円を160時間で割って計算せよ。単位: 円 / ヒント: 300,000 ÷ 160
正解: 1875円 / 1時間あたりの単価=300,000円÷160時間=1,875円となる。ただし、家族手当・通勤手当・住宅手当等、労働基準法施行規則で除外が認められている手当は、原則として割増賃金の計算基礎から除外できる点に注意が必要である。
問4. 労働基準法施行規則で、割増賃金の計算基礎から除外することが認められている手当として最も適切なものはどれか。
- A. 家族手当・通勤手当・住宅手当(ただし、扶養人数等に関わらず一律支給される場合は除外できない)
- B. 役職手当(管理職としての職責に対する手当)
- C. 皆勤手当
- D. 基本給そのもの
正解: A. 家族手当・通勤手当・住宅手当(ただし、扶養人数等に関わらず一律支給される場合は除外できない) / 労働基準法施行規則第21条により、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)は、割増賃金の計算基礎から除外することが認められている。ただし、これらの手当であっても、扶養人数等の実態に関わらず一律に支給される場合は「除外賃金」とは認められず、計算基礎に含める必要がある点に注意が必要である。
問5. 算定期間中の評価係数が1.2、基準額が20万円の場合、支給される賞与額はいくらになるか。
賞与額 = 基準額 × 評価係数。基準額20万円、評価係数1.2として計算せよ。単位: 円 / ヒント: 200,000 × 1.2
正解: 240000円 / 賞与額=基準額20万円×評価係数1.2=24万円となる。賞与の計算方法は企業ごとの賃金規程・賞与規程により異なり、基本給連動型、業績連動型、評価係数を用いる方式等、様々な方式が採用される。
問6. 賞与の支給対象者を「支給日に在籍する者」とする「賞与支給日在籍要件」についての一般的な考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 就業規則等に明記されていれば、原則として有効と解される場合が多いが、退職の経緯等によっては無効と判断される裁判例もある
- B. 賞与支給日在籍要件は労働基準法により一律に禁止されている
- C. 賞与支給日在籍要件は正社員以外には一切適用できない
- D. 賞与支給日在籍要件を設けると、いかなる理由の退職者にも賞与を一切支給しなくてよい
正解: A. 就業規則等に明記されていれば、原則として有効と解される場合が多いが、退職の経緯等によっては無効と判断される裁判例もある / 賞与支給日在籍要件(支給日に在籍していることを賞与支給の条件とする定め)は、就業規則等に明記されていれば原則として有効と解される裁判例が多いが、会社都合による退職の場合等、事案によっては無効と判断される裁判例も存在するため、慎重な取り扱いが求められる。
問7. 1年単位の変形労働時間制を採用している事業場で、ある週の労働時間が所定通り44時間(法定労働時間40時間を超過)だった場合、その週の時間外労働時間は何時間になるか。
変形労働時間制における時間外労働時間 = 実労働時間 - 法定労働時間(週40時間)。実労働時間44時間として計算せよ。単位: 時間 / ヒント: 44 - 40
正解: 4時間 / 変形労働時間制を採用している場合でも、対象期間における週の法定労働時間(原則40時間)を超えて労働させた時間については、時間外労働として割増賃金の対象となる。44時間-40時間=4時間が時間外労働となる。
問8. 「フレックスタイム制」における時間外労働の考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 1日単位ではなく、清算期間全体を通じて実労働時間が法定労働時間の総枠を超えた部分が時間外労働となる
- B. フレックスタイム制では時間外労働という概念自体が一切存在しない
- C. フレックスタイム制では毎日必ず8時間を超えた部分が時間外労働となる(通常の労働時間制と同じ)
- D. フレックスタイム制の清算期間は必ず1年でなければならない
正解: A. 1日単位ではなく、清算期間全体を通じて実労働時間が法定労働時間の総枠を超えた部分が時間外労働となる / フレックスタイム制では、1日単位で法定労働時間を超えたかどうかを判断するのではなく、労使協定で定めた清算期間(上限3か月)全体を通じて、実労働時間が清算期間における法定労働時間の総枠を超えた部分が時間外労働となる。
問9. 「振替休日」と「代休」の違いとして最も適切なものはどれか。
- A. 振替休日はあらかじめ休日を振り替えるため休日労働の割増賃金は発生しないが、代休は休日労働後に休みを与えるものであるため、休日労働の割増賃金の支払いが必要となる
- B. 振替休日と代休は全く同じ制度であり違いはない
- C. 代休は事前に休日を振り替える制度であり割増賃金は発生しない
- D. 振替休日は必ず割増賃金の支払いが必要となる制度である
正解: A. 振替休日はあらかじめ休日を振り替えるため休日労働の割増賃金は発生しないが、代休は休日労働後に休みを与えるものであるため、休日労働の割増賃金の支払いが必要となる / 振替休日は、あらかじめ休日と労働日を入れ替える(事前の手続き)ため、振替後の労働日は「休日労働」には該当せず割増賃金(休日労働分)は発生しない(ただし週の法定労働時間を超えれば時間外割増は発生しうる)。一方、代休は、休日に労働させた後に、その代わりとして別の労働日を休みとする(事後の措置)ものであり、実際に行われた休日労働については割増賃金の支払いが必要となる。
問10. 時給換算1,500円の労働者が1時間30分遅刻した場合の遅刻控除額はいくらか。
遅刻控除額 = 時給換算額 × 遅刻時間。時給換算1,500円、遅刻1.5時間として計算せよ。単位: 円 / ヒント: 1,500 × 1.5
正解: 2250円 / 遅刻控除額=1,500円×1.5時間=2,250円となる。ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、実際に労働しなかった時間分の賃金を控除することは適法である。
問11. 年次有給休暇を取得した日の賃金の計算方法として、労働基準法上認められているものはどれか。
- A. 平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、健康保険の標準報酬日額に相当する金額(労使協定による場合)のいずれかの方法
- B. 年次有給休暇を取得した日は必ず無給としなければならない
- C. 年次有給休暇取得日の賃金の計算方法は法律上一切定められていない
- D. 年次有給休暇取得日の賃金は必ず平均賃金の2倍を支払わなければならない
正解: A. 平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、健康保険の標準報酬日額に相当する金額(労使協定による場合)のいずれかの方法 / 労働基準法上、年次有給休暇を取得した日の賃金は、(1)平均賃金、(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、(3)労使協定を締結した場合に限り健康保険の標準報酬日額に相当する金額、のいずれかの方法により計算することが認められており、就業規則等でいずれの方法によるかをあらかじめ定めておく必要がある。
問12. 退職金の計算式が「基本給×支給率」で、基本給30万円、勤続20年の支給率が15.0の場合、退職金額はいくらになるか。
退職金額 = 基本給 × 支給率。基本給30万円、支給率15.0として計算せよ。単位: 円 / ヒント: 300,000 × 15.0
正解: 4500000円 / 退職金額=300,000円×15.0=4,500,000円となる。退職金の計算方法は企業ごとの退職金規程により様々であり、基本給連動型のほか、勤続年数のみに基づくポイント制等、多様な方式が存在する。
問13. 退職金の所得税計算における「退職所得控除額」の考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 勤続年数に応じて控除額が定められており、勤続年数が長いほど控除額が大きくなる(勤続20年を境に控除額の計算式が変わる)
- B. 退職所得控除額は勤続年数に関わらず常に一律の金額である
- C. 退職所得には控除という概念が一切存在しない
- D. 退職所得控除額は退職金の金額そのものに比例して増減する
正解: A. 勤続年数に応じて控除額が定められており、勤続年数が長いほど控除額が大きくなる(勤続20年を境に控除額の計算式が変わる) / 退職所得控除額は勤続年数に応じて計算され、勤続20年以下の部分は1年あたり40万円(最低80万円)、勤続20年を超える部分は1年あたり70万円として計算し、両者を合算する仕組みとなっている。このため勤続年数が長いほど控除額が大きくなり、退職金にかかる税負担が軽減される。
問14. 勤続年数が10年の場合の退職所得控除額はいくらになるか。
勤続20年以下の場合、退職所得控除額 = 40万円 × 勤続年数(最低80万円)。勤続年数10年として計算せよ。単位: 円 / ヒント: 400,000 × 10
正解: 4000000円 / 退職所得控除額=40万円×10年=400万円となる(勤続20年以下の部分は1年あたり40万円で計算し、最低保障額は80万円)。
問15. 退職所得に対する所得税の課税方法(「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合)として最も適切なものはどれか。
- A. 退職所得控除後の金額をさらに2分の1にした金額に、他の所得とは分離して税率を適用して課税する(分離課税)
- B. 退職金は給与所得と合算して総合課税される
- C. 退職所得には所得税は一切課されない
- D. 退職所得は常に一律20%の税率のみで課税される
正解: A. 退職所得控除後の金額をさらに2分の1にした金額に、他の所得とは分離して税率を適用して課税する(分離課税) / 退職金の受給者が「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出した場合、退職金から退職所得控除額を差し引いた金額をさらに原則2分の1にした金額(役員等の勤続年数5年以下の場合等は2分の1課税の特例が制限される)を課税退職所得金額とし、他の所得とは分離して超過累進税率を適用する分離課税の方式により課税される。
問16. 「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合の退職金への課税方法として最も適切なものはどれか。
- A. 退職金の支払金額に対して一律20.42%(復興特別所得税を含む)の税率で源泉徴収され、本人が確定申告により精算する
- B. 申告書を提出しない場合は退職金の支払いそのものが認められない
- C. 申告書の提出の有無に関わらず税額は完全に同一になる
- D. 申告書を提出しない場合は退職金に税金が一切課されない
正解: A. 退職金の支払金額に対して一律20.42%(復興特別所得税を含む)の税率で源泉徴収され、本人が確定申告により精算する / 「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合、退職金の支払金額に対して一律20.42%(復興特別所得税を含む)の税率で源泉徴収され、本来の税額との差額が生じる場合は、本人が確定申告を行うことで精算する必要がある。
問17. 厚生年金保険における賞与の標準賞与額の上限額の考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 1回の支給につき150万円が上限とされ、これを超える部分には厚生年金保険料が課されない
- B. 厚生年金保険の標準賞与額には上限が一切設けられていない
- C. 上限額は健康保険と厚生年金保険で全く同じ金額・計算期間である
- D. 標準賞与額の上限は月額に換算して計算される
正解: A. 1回の支給につき150万円が上限とされ、これを超える部分には厚生年金保険料が課されない / 厚生年金保険における標準賞与額は、1回の支給につき150万円が上限とされており、これを超える部分については厚生年金保険料が課されない。なお、健康保険の標準賞与額の上限は年度累計573万円という別の基準で設定されている点に注意が必要である。
問18. 1時間あたりの賃金単価が2,000円の労働者が、深夜(22時〜5時)に3時間労働した(法定時間外労働ではない、所定労働時間内の深夜勤務)場合の深夜割増賃金はいくらか(深夜割増率25%)。
深夜割増賃金 = 時間単価 × 深夜割増率 × 時間。時間単価2,000円、深夜割増率25%、3時間として計算せよ。単位: 円 / ヒント: 2,000 × 0.25 × 3
正解: 1500円 / 深夜割増賃金=2,000円×0.25×3時間=1,500円となる(この場合は通常の賃金に加えて深夜割増分のみを追加で支払う)。所定労働時間内であっても深夜(22時〜翌5時)の労働には、通常の賃金に加えて深夜割増賃金の支払いが必要である。
問19. 法定休日に8時間を超えて労働した場合の割増賃金の考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 法定休日労働の割増率(35%以上)のみが適用され、時間外労働の割増率(25%以上)は重複適用されない
- B. 法定休日労働と時間外労働の割増率が常に合算され60%以上となる
- C. 法定休日には割増賃金の支払いが一切不要である
- D. 法定休日労働は8時間を超えても割増率が変わらない
正解: A. 法定休日労働の割増率(35%以上)のみが適用され、時間外労働の割増率(25%以上)は重複適用されない / 法定休日労働については、その日の労働時間の長さに関わらず、休日労働の割増率(35%以上)のみが適用され、時間外労働の割増率(25%以上)と重複して合算されることはない(休日労働という区分自体が法定労働時間の枠外の概念であるため)。
問20. 法定休日ではない「所定休日(法定外休日)」に労働させた場合の割増賃金の取り扱いとして最も適切なものはどれか。
- A. 休日労働の割増率(35%)は適用されないが、その労働により週の法定労働時間を超える場合は時間外労働の割増率(25%以上)が適用される
- B. 所定休日労働には常に休日労働の割増率(35%)が適用される
- C. 所定休日労働には割増賃金が一切発生しない
- D. 所定休日と法定休日は全く同じ概念であり区別する必要はない
正解: A. 休日労働の割増率(35%)は適用されないが、その労働により週の法定労働時間を超える場合は時間外労働の割増率(25%以上)が適用される / 法定休日ではない所定休日(法定外休日、例えば完全週休2日制の場合の一方の休日)に労働させた場合、労働基準法上の休日労働の割増率(35%以上)は適用されないが、その労働により週の法定労働時間(40時間)を超える場合には、時間外労働として25%以上の割増賃金の支払いが必要となる。
問21. 固定残業代(みなし残業代)制度が有効と認められるための一般的な要件として最も適切なものはどれか。
- A. 基本給等と固定残業代の部分が明確に区分されており、固定残業代が何時間分の時間外労働に相当するかが明示されていること
- B. 固定残業代であることを労働契約書等に一切明示しなくても常に有効である
- C. 固定残業代を導入すれば実際の労働時間の管理が一切不要になる
- D. 固定残業代の金額は労働契約書に明示する必要がない
正解: A. 基本給等と固定残業代の部分が明確に区分されており、固定残業代が何時間分の時間外労働に相当するかが明示されていること / 固定残業代制度が有効と認められるための一般的な要件として、判例上、基本給等の通常の労働時間の賃金に相当する部分と、割増賃金に相当する固定残業代の部分とが明確に区分されており(明確区分性)、固定残業代が何時間分の時間外労働に相当するかが労働契約等で明示されていることが求められる。
問22. 1年単位の変形労働時間制において、対象期間が365日の場合の法定労働時間の総枠は何時間になるか(週法定労働時間40時間として計算)。
法定労働時間の総枠 = 40時間 × (対象期間の暦日数 ÷ 7)。365日÷7として計算し、40を乗じよ(小数点以下切り捨て)。単位: 時間 / ヒント: 40 × (365 ÷ 7) の小数点以下切り捨て
正解: 2085時間 / 法定労働時間の総枠=40時間×(365日÷7)=40×52.14…≒2,085.7時間となり、実務上は2,085.7時間(小数第2位まで使用されることが多い)が目安となる。1年単位の変形労働時間制では、この総枠の範囲内で年間の労働日・労働時間を配分する必要がある。
問23. 年俸制を採用している労働者(管理監督者に該当しない場合)に対する時間外労働の割増賃金の考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 年俸に賞与相当部分が含まれる場合、その部分を除いた金額を基礎として時間外労働等の割増賃金を計算し、別途支払う必要がある
- B. 年俸制を採用していれば、いかなる労働者に対しても時間外労働の割増賃金の支払いは一切不要である
- C. 年俸制の労働者は自動的に管理監督者として扱われる
- D. 年俸制では割増賃金の計算基礎に賞与相当部分を必ず含めなければならない
正解: A. 年俸に賞与相当部分が含まれる場合、その部分を除いた金額を基礎として時間外労働等の割増賃金を計算し、別途支払う必要がある / 年俸制を採用している場合であっても、管理監督者等の適用除外者に該当しない限り、労働基準法上の時間外労働・休日労働・深夜労働に対する割増賃金の支払い義務は生じる。年俸に賞与相当部分が含まれる場合は、月々の賃金相当部分を基礎として割増賃金を計算し、別途支払う必要がある。
問24. 労働者が複数の事業場で雇用される(副業・兼業)場合の労働時間の通算についての考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 労働基準法上の労働時間は、本業・副業を通算して管理する必要があり、通算した労働時間が法定労働時間を超える部分については、原則として後から契約した使用者に割増賃金の支払い義務が生じる
- B. 副業・兼業先の労働時間は本業の使用者には一切関係がない
- C. 労働時間の通算は雇用契約以外の働き方(業務委託等)にも一律適用される
- D. 複数の事業場で雇用される場合、労働時間の上限規制は一切適用されない
正解: A. 労働基準法上の労働時間は、本業・副業を通算して管理する必要があり、通算した労働時間が法定労働時間を超える部分については、原則として後から契約した使用者に割増賃金の支払い義務が生じる / 労働者が複数の事業場で雇用契約に基づき働く場合、労働基準法上の労働時間は本業・副業を通算して管理する必要があり、通算した労働時間が法定労働時間を超える部分については、原則として時間的に後から労働契約を締結した使用者が割増賃金の支払い義務を負う(労働時間の把握は自己申告等による)。なお、業務委託契約等、雇用契約に基づかない働き方は労働時間の通算の対象外となる。
問25. 労働基準法における賃金請求権(未払い残業代等)の消滅時効期間として最も適切なものはどれか。
- A. 原則として5年間(当分の間は経過措置として3年間)
- B. 1年間
- C. 10年間で固定されている
- D. 賃金請求権に消滅時効という概念は存在しない
正解: A. 原則として5年間(当分の間は経過措置として3年間) / 民法改正に伴い労働基準法も改正され、賃金請求権の消滅時効期間は原則として5年間とされたが、当分の間の経過措置として3年間とされている(退職金請求権は改正前から5年間)。
問26. 労働基準法における「付加金」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 解雇予告手当・休業手当・割増賃金等の未払いがあった場合、裁判所が使用者に対し、未払金と同一額までの付加金の支払いを命じることができる制度
- B. 付加金は労働者が自主的に上乗せして受け取れる任意の手当である
- C. 付加金は社会保険料の追加徴収分を指す用語である
- D. 付加金の制度は労働基準法には存在しない
正解: A. 解雇予告手当・休業手当・割増賃金等の未払いがあった場合、裁判所が使用者に対し、未払金と同一額までの付加金の支払いを命じることができる制度 / 労働基準法第114条は、解雇予告手当・休業手当・割増賃金等の支払い義務に違反した使用者に対し、裁判所が労働者の請求により、未払金と同一額までの付加金の支払いを命じることができる制度(付加金制度)を定めており、未払い賃金に対するペナルティ的な性質を持つ。
問27. 同一労働同一賃金への対応として、通勤手当について正社員と非正規雇用労働者との間で差を設けることの適法性として最も適切なものはどれか。
- A. 通勤手当は業務の内容等に関わらず実費補填的な性質を持つため、雇用形態のみを理由に差を設けることは原則として不合理と判断されやすい
- B. 通勤手当は正社員にのみ支給すればよく非正規雇用労働者への支給は一切不要である
- C. 通勤手当に関する同一労働同一賃金の考え方は存在しない
- D. 通勤手当は必ず全労働者に同額を支給しなければならず金額差は一切認められない
正解: A. 通勤手当は業務の内容等に関わらず実費補填的な性質を持つため、雇用形態のみを理由に差を設けることは原則として不合理と判断されやすい / 通勤手当は、実際にかかる通勤費用を補填する実費弁償的な性質を持つ手当であるため、業務の内容や配置転換の範囲等に関わらず、雇用形態のみを理由として正社員と非正規雇用労働者との間で支給の有無や金額に差を設けることは、同一労働同一賃金ガイドライン上、原則として不合理と判断されやすいとされている。
問28. 業務委託契約(雇用契約ではない)により報酬を支払うフリーランス等について、給与計算実務担当者が留意すべき点として最も適切なものはどれか。
- A. 給与所得ではなく事業所得等として扱われるため、源泉徴収の要否や税率が給与とは異なり、インボイス(適格請求書)の保存等、消費税の取り扱いにも留意が必要になる場合がある
- B. 業務委託契約であっても給与計算と全く同じ源泉徴収の方法を適用すればよい
- C. 業務委託契約の報酬には源泉徴収という概念が一切存在しない
- D. フリーランスへの支払いには社会保険料の控除が必要である
正解: A. 給与所得ではなく事業所得等として扱われるため、源泉徴収の要否や税率が給与とは異なり、インボイス(適格請求書)の保存等、消費税の取り扱いにも留意が必要になる場合がある / 業務委託契約に基づきフリーランス等に支払う報酬は、雇用契約に基づく給与所得とは異なり、原則として事業所得等として扱われる。原稿料・講演料等、一定の報酬・料金については所得税法に基づき異なる税率での源泉徴収が必要な場合があり、また消費税の仕入税額控除の観点からインボイス(適格請求書)の保存等にも留意が必要である。
問29. 「賃金のデジタル払い」制度の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 労働者の同意を得て、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への賃金支払いを可能にする制度
- B. デジタル払いを導入すると、銀行口座への振込による賃金支払いは一切禁止される
- C. デジタル払いは労働者の同意を一切得ることなく事業主が自由に導入できる
- D. デジタル払いは賞与のみに適用され毎月の給与には適用されない
正解: A. 労働者の同意を得て、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への賃金支払いを可能にする制度 / 賃金のデジタル払いは、2023年の制度化以降、労働者の個別同意を得たうえで、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(○○ペイ等のキャッシュレス決済サービス提供事業者等)の口座への賃金支払いを可能にする制度であり、従来の銀行口座振込や現金支払いに加えた選択肢として位置づけられている。
問30. 労働者が在籍出向した場合の給与支払い実務についての一般的な考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 出向元・出向先のいずれが賃金の支払い義務を負うか、また社会保険・労働保険の取り扱いをどうするかは、出向契約や出向規程の内容によって定まる
- B. 在籍出向の場合、賃金の支払いは常に出向先のみが行う
- C. 在籍出向の場合、社会保険の適用は一切考慮する必要がない
- D. 在籍出向という制度は法律上一切認められていない
正解: A. 出向元・出向先のいずれが賃金の支払い義務を負うか、また社会保険・労働保険の取り扱いをどうするかは、出向契約や出向規程の内容によって定まる / 在籍出向(出向元との労働契約関係を維持しながら出向先の指揮命令のもとで働く形態)の場合、実際に賃金の支払いを出向元・出向先のいずれが行うか、また社会保険・労働保険の適用関係をどう扱うかは、出向契約や各社の出向規程の内容によって定まり、実務上は出向元が支払い出向先が一部を負担する等、様々なパターンがある。
問31. 給与計算の誤り(未払い残業代等)について、労働者からの内部通報等により発覚した場合の事業主の対応として適切な姿勢はどれか。
- A. 速やかに事実関係を調査し、未払い分の遡及支払いや再発防止策を講じる
- B. 内部通報を行った労働者に対して不利益な取り扱いを行う
- C. 発覚した誤りを一切公表せず放置する
- D. 未払い分の遡及支払いは法律上一切不要である
正解: A. 速やかに事実関係を調査し、未払い分の遡及支払いや再発防止策を講じる / 給与計算の誤り(未払い残業代等)が内部通報等により発覚した場合、事業主は速やかに事実関係を調査し、未払い分の遡及支払いや再発防止策を講じることが適切な対応であり、公益通報者保護法等の観点からも、通報を行った労働者に対する不利益取り扱いは禁止されている。
問32. 固定残業代を含む月給が最低賃金を満たしているかを判断する際の考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 固定残業代部分を除いた基本給等の通常の労働時間分の賃金部分のみで、最低賃金を満たしているかを判断する必要がある
- B. 固定残業代を含めた月給総額のみで判断すればよく、内訳を分ける必要はない
- C. 固定残業代を導入すれば最低賃金の適用が除外される
- D. 最低賃金は月給制の労働者には一切適用されない
正解: A. 固定残業代部分を除いた基本給等の通常の労働時間分の賃金部分のみで、最低賃金を満たしているかを判断する必要がある / 固定残業代を含む月給が最低賃金を満たしているかを判断する際には、固定残業代部分(時間外労働の対価部分)を除いた、基本給等の通常の労働時間に対応する賃金部分のみを取り出して、最低賃金額と比較する必要がある。固定残業代を含めた総額だけで判断すると、実質的に最低賃金を下回るケースを見逃す可能性がある。
問33. 同一労働同一賃金ガイドラインにおける賞与についての考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 賞与が会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給される場合、正社員と同一の貢献をした非正規雇用労働者には、同一の賞与を支給しなければならない
- B. 非正規雇用労働者には賞与を一切支給する必要がない
- C. 賞与は正社員のみに支給が認められている手当である
- D. 賞与に関する同一労働同一賃金の考え方は存在しない
正解: A. 賞与が会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給される場合、正社員と同一の貢献をした非正規雇用労働者には、同一の賞与を支給しなければならない / 同一労働同一賃金ガイドラインでは、賞与が会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給される場合、正社員と同一の貢献をした非正規雇用労働者に対しては、貢献に応じた部分について同一の賞与を支給しなければならず、貢献に一定の違いがある場合には、その相違に応じた賞与を支給しなければならないとされている。
問34. テレワーク(在宅勤務)を導入する場合の給与計算実務上の留意点として最も適切なものはどれか。
- A. 通勤手当の見直し(実費精算方式への変更等)や、在宅勤務手当の新設、労働時間管理方法の見直し等が必要になる場合がある
- B. テレワークを導入すると給与計算実務は一切変更する必要がない
- C. テレワーク中は労働基準法の労働時間規制が一切適用されない
- D. 在宅勤務手当は法律で金額が一律に定められている
正解: A. 通勤手当の見直し(実費精算方式への変更等)や、在宅勤務手当の新設、労働時間管理方法の見直し等が必要になる場合がある / テレワーク(在宅勤務)を導入する場合、出社日数の減少に応じた通勤手当の見直し(定期代から実費精算方式への変更等)、在宅勤務にかかる通信費・光熱費等を補填する在宅勤務手当の新設、事業場外みなし労働時間制の適用可否を含めた労働時間管理方法の見直し等、給与計算実務に関連する様々な対応が必要になる場合がある。
問35. 給与計算実務における「内部統制」の観点から重要とされる対応として最も適切なものはどれか。
- A. 給与計算の入力担当者と承認担当者を分離する等、不正やミスを防止するための職務分掌を整備する
- B. 給与計算は1人の担当者がチェックなしで全ての工程を完結させることが最も効率的である
- C. 内部統制の観点は給与計算実務には一切関係がない
- D. 承認プロセスを設けると給与の支払いが遅延するため一切不要である
正解: A. 給与計算の入力担当者と承認担当者を分離する等、不正やミスを防止するための職務分掌を整備する / 給与計算実務における内部統制の観点からは、給与データの入力担当者と、その内容を確認・承認する担当者を分離する(職務分掌)等、特定の個人に権限が集中することによる不正やミスのリスクを低減するための体制整備が重要とされる。
問36. 給与計算業務における給与計算システム(ソフトウェア)活用の利点として最も適切なものはどれか。
- A. 法改正への対応(税率・保険料率の更新等)が比較的容易になり、手計算に比べて計算ミスのリスクを低減できる
- B. 給与計算システムを導入すると、法令の理解は一切不要になる
- C. 給与計算システムは常に完全に自動化されており、担当者による最終確認は一切不要である
- D. 給与計算システムの導入にはメリットが一切ない
正解: A. 法改正への対応(税率・保険料率の更新等)が比較的容易になり、手計算に比べて計算ミスのリスクを低減できる / 給与計算システム(ソフトウェア)の活用は、税率・社会保険料率等の法改正への対応が比較的容易になる、手計算に比べて計算ミスのリスクを低減できる等の利点がある一方で、システムへの入力内容の正確性や、システムの計算ロジック自体の妥当性については、担当者による確認・理解が依然として重要である。
問37. 給与計算業務をアウトソーシング(外部委託)する場合の留意点として最も適切なものはどれか。
- A. 従業員の個人情報(マイナンバーを含む)を委託先が適切に管理できるか、委託先の選定と契約内容(守秘義務・再委託の制限等)を慎重に検討する必要がある
- B. アウトソーシングを行えば個人情報保護の責任は完全に委託先のみが負う
- C. 給与計算業務のアウトソーシングには一切のリスクが存在しない
- D. アウトソーシング先には個人情報を無制限に開示してよい
正解: A. 従業員の個人情報(マイナンバーを含む)を委託先が適切に管理できるか、委託先の選定と契約内容(守秘義務・再委託の制限等)を慎重に検討する必要がある / 給与計算業務をアウトソーシングする場合、従業員の氏名・口座情報・マイナンバー等の重要な個人情報を委託先に渡すことになるため、委託先が適切な安全管理措置を講じているか、契約内容(守秘義務、再委託の制限、情報漏えい時の責任分担等)を慎重に検討する必要がある。委託した場合でも、委託元(自社)が個人情報保護法上の監督義務を負う点に留意が必要である。
問38. マイナンバーを利用した給与計算実務における安全管理措置として適切なものはどれか。
- A. 取り扱う担当者を限定し、アクセス権限を設定するとともに、保管・廃棄の手順を明確化する
- B. マイナンバーは全ての従業員が自由に閲覧できる場所に保管してよい
- C. マイナンバーの安全管理措置は大企業にのみ求められ中小企業には一切不要である
- D. マイナンバーは利用目的を問わず永久に保管し続ける必要がある
正解: A. 取り扱う担当者を限定し、アクセス権限を設定するとともに、保管・廃棄の手順を明確化する / マイナンバーを利用する給与計算実務においては、マイナンバー法に基づき、取り扱う担当者を限定し、システムやキャビネットへのアクセス権限を適切に設定するとともに、不要となった場合の廃棄手順を明確化する等の安全管理措置を講じる必要があり、これは企業規模を問わず求められる。
問39. 海外に子会社や支店を持つ企業における給与計算実務の留意点として最も適切なものはどれか。
- A. 各国の労働法制・税制・社会保障制度は日本と異なるため、現地の法令に精通した専門家(現地の会計事務所等)と連携する必要性が高い
- B. 海外拠点の給与計算も全て日本の労働基準法・税法をそのまま適用すればよい
- C. 海外拠点には給与計算という概念自体が存在しない
- D. 海外拠点の給与計算には現地の法令を一切考慮する必要がない
正解: A. 各国の労働法制・税制・社会保障制度は日本と異なるため、現地の法令に精通した専門家(現地の会計事務所等)と連携する必要性が高い / 海外に子会社や支店を持つ企業においては、各国ごとに労働法制・税制・社会保障制度が大きく異なるため、日本の法令をそのまま適用することはできず、現地の法令に精通した専門家(現地の会計事務所・社会保険労務士に相当する専門家等)と連携しながら、現地の実情に応じた給与計算実務を行う必要性が高い。
問40. 給与計算実務能力検定1級の給与計算実務の応用分野で求められる能力として最も適切なものはどれか。
- A. 割増賃金の応用計算、賞与・退職金の計算と税務、変形労働時間制やフレックスタイム制下の労働時間管理等、より高度で実践的な給与計算実務を正確に処理できる能力
- B. 特定の給与計算ソフトの操作方法のみを暗記していればよいという能力
- C. 1級では2級で学んだ基礎知識は一切考慮する必要がないという考え方
- D. 給与計算の応用実務には法令の裏付けは一切不要であるという考え方
正解: A. 割増賃金の応用計算、賞与・退職金の計算と税務、変形労働時間制やフレックスタイム制下の労働時間管理等、より高度で実践的な給与計算実務を正確に処理できる能力 / 給与計算実務能力検定1級の給与計算実務の応用分野で求められるのは、割増賃金の応用的な計算(深夜+時間外の重複、月60時間超の特別割増率等)、賞与・退職金の計算とそれに伴う税務処理、変形労働時間制・フレックスタイム制・裁量労働制等の多様な労働時間制度のもとでの給与計算を、2級で習得した基礎知識を土台としてより高度かつ正確に処理できる実践的な能力である。