印刷プレビューです。ブラウザの印刷機能でPDF保存・印刷できます。
建設業経理士3級 原価計算の基礎
全40問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 建設業における原価計算の主な目的として適切でないものはどれか?
- A. 各工事の採算(利益)を把握するため
- B. 完成工事原価報告書等の財務諸表を作成するため
- C. 従業員の有給休暇日数を管理するため
- D. 見積り・入札時の参考資料とするため
正解: C. 従業員の有給休暇日数を管理するため / 原価計算は工事別の採算把握、財務諸表作成、将来の見積り・入札への活用などを目的とします。有給休暇の管理は労務管理の範疇であり原価計算の目的ではありません。
問2. 個々の工事案件ごとに原価を集計する原価計算の方法を何というか?
- A. 個別原価計算
- B. 総合原価計算
- C. 標準原価計算
- D. 直接原価計算
正解: A. 個別原価計算 / 個別原価計算は、注文(工事)ごとに製造指図書(工事番号)を発行し、原価をその工事ごとに集計する方法です。1件ごとに仕様が異なる建設業に適した方法です。
問3. 建設業で個別原価計算が広く採用される理由として最も適切なものはどれか?
- A. 工事は同じ規格の製品を大量生産するため
- B. 工事は1件ごとに仕様・規模・場所が異なるオーダーメイド性が強いため
- C. 原価計算を簡単にするため
- D. 税法上の義務であるため
正解: B. 工事は1件ごとに仕様・規模・場所が異なるオーダーメイド性が強いため / 建設工事は同じものが2つとないオーダーメイド性の強い生産形態であるため、工事ごとに原価を集計する個別原価計算が適しています。
問4. 特定の工事のために発生し、その工事の原価として直課(賦課)できる原価を何というか?
- A. 工事直接費
- B. 工事間接費
- C. 共通費
- D. 一般管理費
正解: A. 工事直接費 / 特定の工事のためだけに使用された材料費や、その工事専属の労務費など、発生額を直接その工事に集計できる原価を工事直接費といいます。
問5. 複数の工事に共通して発生した工事間接費を、一定の基準に基づき各工事に割り振る手続きを何というか?
- A. 配賦
- B. 直課(賦課)
- C. 振替
- D. 相殺
正解: A. 配賦 / 配賦は、複数の工事に共通してかかった工事間接費を、作業時間数や直接原価の額などの合理的な基準(配賦基準)で各工事に割り振る手続きです。
問6. 工事間接費の合計が90万円、A工事の直接作業時間が200時間、B工事の直接作業時間が100時間であるとき、直接作業時間を基準にA工事へ配賦される工事間接費はいくらか?
単位: 万円 / ヒント: 配賦率=工事間接費合計÷直接作業時間合計。A工事への配賦額=配賦率×A工事の直接作業時間
正解: 60万円 / 配賦率=90万円÷(200+100時間)=0.3万円/時間。A工事への配賦額=0.3万円×200時間=60万円。
問7. 工事間接費の合計が60万円、A工事の直接原価が240万円、B工事の直接原価が360万円であるとき、直接原価の金額を基準にA工事へ配賦される工事間接費はいくらか?
単位: 万円 / ヒント: 配賦率(比率)=A工事の直接原価÷直接原価合計。配賦額=工事間接費合計×配賦率
正解: 24万円 / A工事の配賦比率=240÷(240+360)=240÷600=0.4。配賦額=60万円×0.4=24万円。
問8. 工事原価を集計する期間の単位は、通常どのように定められるか?
- A. 1か月ごと(原価計算期間)に集計し、工事完成まで累積する
- B. 1日ごとに集計し、翌日には破棄する
- C. 工事完成時に一括して初めて集計を始める
- D. 5年ごとにまとめて集計する
正解: A. 1か月ごと(原価計算期間)に集計し、工事完成まで累積する / 原価計算は通常1か月を単位(原価計算期間)として行われ、工事が完成するまで未成工事支出金として累積・集計されます。
問9. 特定の工事のためだけに購入・使用された材料の費用は、原価計算上どう分類されるか?
- A. 直接材料費
- B. 間接材料費
- C. 直接労務費
- D. 間接経費
正解: A. 直接材料費 / 特定の工事現場のみで使用され、使用量を直課できる材料費は「直接材料費」に分類されます。
問10. 複数の工事現場で共通して消費される消耗品(軍手・安全用品等)の費用は、原価計算上どう分類されるか?
- A. 間接材料費
- B. 直接材料費
- C. 直接労務費
- D. 直接経費
正解: A. 間接材料費 / 特定の工事に紐づけできず複数の現場で共通に使用される消耗品費等は「間接材料費」に分類され、配賦の対象となります。
問11. 材料を消費した際の単価計算の方法として、先に仕入れたものから順に払い出したとみなす方法を何というか?
- A. 先入先出法
- B. 移動平均法
- C. 総平均法
- D. 後入先出法
正解: A. 先入先出法 / 先入先出法(FIFO)は、先に仕入れた材料から順番に払い出されると仮定して消費単価を計算する方法です。
問12. 材料を仕入れるたびに平均単価を計算し直し、その単価で払い出し原価を計算する方法を何というか?
- A. 移動平均法
- B. 先入先出法
- C. 個別法
- D. 低価法
正解: A. 移動平均法 / 移動平均法は、材料を仕入れるたびにそれまでの残高と合算して平均単価を再計算し、その単価で以後の払い出しを評価する方法です。
問13. 材料の受払いが「月初在庫100個(@200円)→仕入200個(@250円)→払出150個」の順であった。先入先出法による払出原価はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 先に月初在庫分から払い出し、不足分を新しい仕入分から充当する
正解: 32500円 / 月初在庫100個×200円=20,000円をまず払い出し、残り50個は仕入分から50個×250円=12,500円。払出原価合計=20,000+12,500=32,500円。
問14. 特定の工事現場に専属する作業員の賃金は、原価計算上どう分類されるか?
- A. 直接労務費
- B. 間接労務費
- C. 直接材料費
- D. 間接経費
正解: A. 直接労務費 / 特定の工事のみに従事する作業員の賃金は「直接労務費」として当該工事に直課します。
問15. 複数の工事現場を兼任する現場監督の給料は、原価計算上どう分類されるか?
- A. 間接労務費
- B. 直接労務費
- C. 直接材料費
- D. 直接経費
正解: A. 間接労務費 / 複数の工事を兼任する現場監督の給料など、特定の工事に直課できない労務費は「間接労務費」として配賦の対象になります。
問16. ある作業員の月給が36万円、月間の総就業時間が180時間であるとき、1時間あたりの賃率はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 賃率=月給÷総就業時間
正解: 2000円 / 賃率=360,000円÷180時間=2,000円/時間。
問17. 賃率が1時間あたり2,500円で、A工事に120時間従事した場合、A工事に直課される直接労務費はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 直接労務費=賃率×工事への従事時間
正解: 300000円 / 直接労務費=2,500円×120時間=300,000円。
問18. 特定の工事の一部を下請業者に発注した場合の外注費は、原価計算上どう分類されるのが通常か?
- A. 直接外注費
- B. 間接材料費
- C. 間接労務費
- D. 一般管理費
正解: A. 直接外注費 / 外注費は特定の工事のために発注されるのが通常であるため、原則として工事直接費(直接外注費)として当該工事に直課されます。
問19. 現場の重機を借り上げるリース料は、原価計算上どの原価要素に分類されるか?
- A. 経費
- B. 材料費
- C. 労務費
- D. 外注費
正解: A. 経費 / 重機の賃借料(リース料)は材料費・労務費・外注費のいずれにも該当しないため「経費」に分類されます。
問20. 支払額がそのまま当月の原価となる経費(地代・賃借料など)を何経費というか?
- A. 支払経費
- B. 月割経費
- C. 測定経費
- D. 発生経費
正解: A. 支払経費 / 支払経費は、当月の支払額(請求額)をそのまま当月の原価として計上する経費です。地代・保険料の一部などが該当します。
問21. 減価償却費や保険料など、一定期間分の金額を月割りして当月原価に計上する経費を何経費というか?
- A. 月割経費
- B. 支払経費
- C. 測定経費
- D. 発生経費
正解: A. 月割経費 / 月割経費は、1年分などまとめて計算される金額を各月に均等按分して計上する経費です。減価償却費や年払い保険料が代表例です。
問22. 電力量計・水道メーターなどで実際の使用量を測定して当月原価を計算する経費を何経費というか?
- A. 測定経費
- B. 支払経費
- C. 月割経費
- D. 発生経費
正解: A. 測定経費 / 測定経費は、電力料・水道料・ガス代のように、メーター等で実際の使用量を測定し、それに基づいて当月の原価を計算する経費です。
問23. 年間の建設機械保険料が24万円である場合、1か月あたりの月割経費はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 月割経費=年間金額÷12か月
正解: 20000円 / 月割経費=240,000円÷12か月=20,000円。
問24. 原価計算の一般的な手続きの流れとして正しいものはどれか?
- A. 費目別計算→工事別計算→原価計算表の作成
- B. 工事別計算→費目別計算→見積り
- C. 決算→原価計算→仕訳
- D. 配賦→直課→集計→按分
正解: A. 費目別計算→工事別計算→原価計算表の作成 / 原価計算は通常、①材料費・労務費・外注費・経費という費目別に集計する費目別計算、②各費目を工事ごとに集計する工事別計算、③工事原価計算表の作成、という流れで行われます。
問25. 原価計算の手続きを正しい順序に並び替えよ。
- ( )材料費・労務費・外注費・経費を費目別に集計
- ( )工事直接費を各工事に直課
- ( )工事間接費を配賦基準で各工事に配賦
- ( )工事原価計算表(工事台帳)に集計
正解の順序: 材料費・労務費・外注費・経費を費目別に集計 → 工事直接費を各工事に直課 → 工事間接費を配賦基準で各工事に配賦 → 工事原価計算表(工事台帳)に集計 / ①費目別集計→②直接費の直課→③間接費の配賦→④工事台帳への集計、という流れで各工事の原価が確定します。
問26. 実際に発生した金額をそのまま集計する原価計算の方式を何というか?
- A. 実際原価計算
- B. 標準原価計算
- C. 予定原価計算
- D. 直接原価計算
正解: A. 実際原価計算 / 実際原価計算は、材料の実際消費量・実際賃率など、実際に発生した金額・数量をそのまま用いて原価を計算する方法です。
問27. あらかじめ定めた予定価格・予定配賦率を用いて原価を計算する方法を何というか?
- A. 予定原価計算
- B. 実際原価計算
- C. 総合原価計算
- D. 全部原価計算
正解: A. 予定原価計算 / 予定原価計算は、材料の予定消費価格や予定配賦率をあらかじめ定め、それを用いて原価をタイムリーに計算する方法です。実際発生額との差額は原価差異として処理します。
問28. 工事間接費の年間予算が1,200万円、年間予定直接作業時間が2,400時間であるとき、予定配賦率はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 予定配賦率=工事間接費年間予算÷年間予定直接作業時間
正解: 5000円 / 予定配賦率=12,000,000円÷2,400時間=5,000円/時間。
問29. 予定配賦率5,000円/時間、実際直接作業時間200時間で予定配賦した工事間接費に対し、実際に発生した工事間接費が110万円であった。配賦差異はいくらか(不利差異はマイナス、有利差異はプラスで答える)。
単位: 円 / ヒント: 予定配賦額=予定配賦率×実際直接作業時間。配賦差異=予定配賦額-実際発生額
正解: -100000円 / 予定配賦額=5,000円×200時間=1,000,000円。配賦差異=1,000,000-1,100,000=-100,000円(実際発生額の方が多いため不利差異)。
問30. 予定原価計算により生じた配賦差異は、決算時にどのように処理されるのが原則か?
- A. 完成工事原価等に賦課(加減)して調整する
- B. そのまま翌期に繰り越す
- C. 無視してよい
- D. 全額を資本金に振り替える
正解: A. 完成工事原価等に賦課(加減)して調整する / 原価差異は、原則として当期の完成工事原価に賦課(加算または減算)して調整し、実際原価に近い金額になるよう処理します。
問31. 工事間接費の配賦基準として一般的に用いられないものはどれか?
- A. 直接作業時間
- B. 直接原価基準
- C. 直接材料費基準
- D. 発注者の資本金額
正解: D. 発注者の資本金額 / 配賦基準には直接作業時間・直接原価・直接材料費など、原価の発生と関連性の高い指標が用いられます。発注者の資本金額は原価の発生と関連がないため配賦基準として不適切です。
問32. 各工事について発生した材料費・労務費・外注費・経費を工事番号ごとに集計した表を何というか?
- A. 工事原価計算表(工事台帳)
- B. 試算表
- C. 精算表
- D. 損益計算書
正解: A. 工事原価計算表(工事台帳) / 工事原価計算表(工事台帳)は工事番号ごとに原価要素別の発生額を集計する原価計算の中心的な帳票です。
問33. ある工事について、材料費120万円・労務費80万円・外注費150万円・直課された経費30万円・配賦された工事間接費20万円が計上された。この工事の工事原価合計はいくらか?
単位: 万円 / ヒント: 工事原価=材料費+労務費+外注費+直接経費+配賦された間接費
正解: 400万円 / 工事原価=120+80+150+30+20=400万円。
問34. 工事原価計算表に通常記載される項目として適切でないものはどれか?
- A. 工事番号
- B. 材料費・労務費・外注費・経費の内訳
- C. 発注者の従業員数
- D. 前月繰越額
正解: C. 発注者の従業員数 / 工事原価計算表には工事番号・原価要素別内訳・前月繰越額・当月発生額・次月繰越額等を記載します。発注者の従業員数は原価計算に関係ありません。
問35. ある工事の前月繰越額(未成工事支出金)が60万円、当月発生原価の合計が90万円であった。工事は当月末時点でまだ完成していない場合、次月繰越額(未成工事支出金の月末残高)はいくらか?
単位: 万円 / ヒント: 次月繰越額=前月繰越額+当月発生原価(工事未完成のため全額繰越)
正解: 150万円 / 次月繰越額=60+90=150万円。工事が完成していないため、発生原価はすべて未成工事支出金として繰り越されます。
問36. 特定の工事現場において、複数の作業を横断的に管理するためにかかる費用(現場事務所の運営費等)を何ということが多いか?
- A. 現場管理費
- B. 本社経費
- C. 販売費
- D. 営業外費用
正解: A. 現場管理費 / 現場管理費は、特定の現場全体の運営・管理のためにかかる費用で、工事間接費として各作業に配賦されることがあります。
問37. 複数の工種にまたがって使用する仮設事務所・仮囲いなどの費用を何と呼ぶことが多いか?
- A. 共通仮設費
- B. 直接仮設費
- C. 一般管理費
- D. 外注費
正解: A. 共通仮設費 / 共通仮設費は、特定の工種に限定されず現場全体で共通に必要となる仮設物(仮囲い・仮設事務所等)の費用です。工事間接費として扱われることが多い費用です。
問38. 工事ごとに原価を正確に把握することの意義として最も適切なものはどれか?
- A. 工事ごとの採算性を把握し、今後の見積り精度を高めるため
- B. 従業員の有給休暇を管理するため
- C. 銀行からの借入限度額を決めるため
- D. 税務署への届出手続きを省略するため
正解: A. 工事ごとの採算性を把握し、今後の見積り精度を高めるため / 工事別に原価を正確に把握することで、個々の工事の採算性を検証し、次回以降の見積りや入札価格の精度向上につなげることができます。
問39. 工事着手後に資材価格が急騰した場合、工事採算にどのような影響が生じる可能性が高いか?
- A. 材料費が増加し、工事利益率が悪化する可能性がある
- B. 必ず完成工事高が増加する
- C. 外注費が自動的に減少する
- D. 工事間接費の配賦計算が不要になる
正解: A. 材料費が増加し、工事利益率が悪化する可能性がある / 資材価格の急騰は材料費(原価)の増加につながり、請負金額が固定されている場合は工事利益率の悪化要因となります。工事損失引当金の検討も必要になります。
問40. 原価計算によって集計された工事原価は、最終的にどの財務諸表・報告書に反映されるか?
- A. 損益計算書・完成工事原価報告書・貸借対照表(未成工事支出金)
- B. 有価証券報告書のみ
- C. 登記簿謄本のみ
- D. 労働者名簿のみ
正解: A. 損益計算書・完成工事原価報告書・貸借対照表(未成工事支出金) / 原価計算の結果は、完成した工事分は損益計算書・完成工事原価報告書に、未完成の工事分は貸借対照表の未成工事支出金として反映されます。