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ビジネス実務法務3級 家族法・事業承継
全40問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 法定相続人の順位と対象者を対応させよ。
- 第1順位 ー ( )
- 第2順位 ー ( )
- 第3順位 ー ( )
正解: 第1順位→子(またはその代襲相続人)、第2順位→直系尊属(父母・祖父母)、第3順位→兄弟姉妹(またはその代襲相続人) / 配偶者は常に相続人となり、それ以外は子(第1順位)→直系尊属(第2順位)→兄弟姉妹(第3順位)の順で、先順位の相続人がいない場合に次順位の者が相続人となる。
問2. 配偶者と子2人が相続人である場合、子1人あたりの法定相続分は何分の1か(分数の分母の数値のみを答えよ。例:1/4なら4)。
配偶者と子が相続人の場合、配偶者の相続分は1/2、子の相続分は残り1/2を人数で均等に分ける。単位: / ヒント: 子全体の相続分1/2を2人で均等に分ける
正解: 4 / 配偶者と子が相続人の場合、配偶者の法定相続分は1/2、子の法定相続分は残り1/2をその人数で均等に分ける。子が2人であれば、子1人あたりの相続分は1/2÷2=1/4となる。
問3. 配偶者と直系尊属(父母)が相続人である場合の法定相続分の組み合わせとして正しいものはどれか。
- A. 配偶者2/3、直系尊属1/3
- B. 配偶者1/2、直系尊属1/2
- C. 配偶者3/4、直系尊属1/4
- D. 配偶者1/4、直系尊属3/4
正解: A. 配偶者2/3、直系尊属1/3 / 配偶者と直系尊属(父母等)が相続人である場合、配偶者の法定相続分は2/3、直系尊属の法定相続分は1/3である。
問4. 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合の法定相続分の組み合わせとして正しいものはどれか。
- A. 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
- B. 配偶者2/3、兄弟姉妹1/3
- C. 配偶者1/2、兄弟姉妹1/2
- D. 配偶者1/4、兄弟姉妹3/4
正解: A. 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4 / 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合、配偶者の法定相続分は3/4、兄弟姉妹の法定相続分は1/4である。
問5. 自筆証書遺言の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言(財産目録は自書でなくてもよい)
- B. 必ず公証人の関与を経て作成しなければならない遺言
- C. 証人2人以上の立会いが常に必要な遺言
- D. パソコンで作成した文書に署名するだけで足りる遺言
正解: A. 遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言(財産目録は自書でなくてもよい) / 自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言である。財産目録については自書でなくてもよい(署名押印は必要)とする改正がなされている。
問6. 公正証書遺言の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 証人2人以上の立会いのもとで公証人が遺言者の口述内容を筆記して作成する遺言
- B. 遺言者が全文を自書しなければならない遺言
- C. 公証人の関与を全く必要としない遺言
- D. 作成後に家庭裁判所の検認手続が必要な遺言
正解: A. 証人2人以上の立会いのもとで公証人が遺言者の口述内容を筆記して作成する遺言 / 公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもとで、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成する遺言であり、方式の不備による無効のリスクが低く、家庭裁判所の検認も不要である点で実務上のメリットが大きい。
問7. 秘密証書遺言の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 遺言の内容を秘密にしたまま、遺言者が署名押印した証書を封印し、公証人・証人の前でその存在を証明してもらう遺言
- B. 遺言の内容を公証人に口頭で伝え、証書を作成しない遺言
- C. 証人の立会いを一切必要としない遺言
- D. 自筆証書遺言と全く同じ方式の遺言
正解: A. 遺言の内容を秘密にしたまま、遺言者が署名押印した証書を封印し、公証人・証人の前でその存在を証明してもらう遺言 / 秘密証書遺言は、遺言者が遺言内容を記載した証書に署名押印し、これを封じて公証人及び証人2人以上の前に提出し、自己の遺言書である旨等を申述して証明してもらう遺言であり、内容を秘密にしたまま存在を公的に証明できる点が特徴である。
問8. 遺言の撤回に関する原則として最も適切なものはどれか。
- A. 遺言者はいつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができる
- B. 一度作成した遺言は生前に一切撤回することができない
- C. 遺言の撤回には家庭裁判所の許可が常に必要である
- D. 前の遺言と後の遺言の内容が抵触する場合、前の遺言が常に優先する
正解: A. 遺言者はいつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができる / 遺言者はいつでも遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を自由に撤回することができる。また前の遺言と後の遺言の内容が抵触する場合、その抵触する部分については後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされる。
問9. 遺留分の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 被相続人の兄弟姉妹以外の一定の法定相続人に、法律上最低限保障される相続財産の割合
- B. 全ての法定相続人に平等に保障される相続割合
- C. 遺言によって自由に排除できる制度である
- D. 遺留分は被相続人の兄弟姉妹にも常に認められる
正解: A. 被相続人の兄弟姉妹以外の一定の法定相続人に、法律上最低限保障される相続財産の割合 / 遺留分は、被相続人の兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者・子・直系尊属)に、遺言や生前贈与によっても奪うことのできない、法律上最低限保障される相続財産の割合である。
問10. 遺留分侵害額請求権の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 遺留分を侵害された相続人が、遺贈や生前贈与を受けた者に対し、侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利
- B. 遺留分を侵害する遺言そのものを当然に無効にする権利
- C. 遺留分侵害額請求権を行使すると、遺贈された財産そのものの返還を必ず受けられる
- D. 遺留分侵害額請求権には時効による制限が一切存在しない
正解: A. 遺留分を侵害された相続人が、遺贈や生前贈与を受けた者に対し、侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利 / 遺留分侵害額請求権は、遺留分を侵害された相続人が、遺贈・生前贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利であり、現行民法では金銭請求権として構成されている。相続開始等を知った時から1年等の期間制限がある。
問11. 単純承認の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 被相続人の権利義務(プラスの財産もマイナスの負債も)を無限に承継すること
- B. 被相続人の財産を一切承継しないこと
- C. 被相続人の負債の範囲内でのみプラスの財産を承継すること
- D. 単純承認は必ず家庭裁判所への申述が必要な手続である
正解: A. 被相続人の権利義務(プラスの財産もマイナスの負債も)を無限に承継すること / 単純承認は、被相続人の権利義務(プラスの財産だけでなく借金等のマイナスの財産も含む)を無限に承継することであり、特段の手続をとらずに一定期間が経過すると単純承認したものとみなされる場合がある。
問12. 相続放棄の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 家庭裁判所に申述することにより、初めから相続人とならなかったものとみなされる手続
- B. 口頭で他の相続人に伝えるだけで足りる手続
- C. 相続放棄をしてもプラスの財産のみは承継できる
- D. 相続放棄には期間の制限が一切ない
正解: A. 家庭裁判所に申述することにより、初めから相続人とならなかったものとみなされる手続 / 相続放棄は、家庭裁判所に申述することにより、初めから相続人とならなかったものとみなされる手続であり、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間)に行う必要がある。
問13. 限定承認の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 相続によって得た財産の限度でのみ、被相続人の債務等を弁済することを留保して相続を承認すること
- B. 被相続人の財産を一切承継しないこと
- C. 限定承認は相続人が単独でいつでも自由に行える手続である
- D. 限定承認をすると被相続人の全ての債務を無限に承継する
正解: A. 相続によって得た財産の限度でのみ、被相続人の債務等を弁済することを留保して相続を承認すること / 限定承認は、相続によって得たプラスの財産の限度でのみ、被相続人の債務や遺贈を弁済することを留保して相続を承認する制度であり、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述する必要がある。
問14. 法定後見制度における「後見・保佐・補助」の区分の基準として最も適切なものはどれか。
- A. 本人の判断能力の程度に応じて、後見(判断能力を欠く常況)・保佐(著しく不十分)・補助(不十分)に分かれる
- B. 本人の年齢のみによって一律に区分される
- C. 本人の資産額によってのみ区分される
- D. 後見・保佐・補助はいずれも全く同じ内容の制度である
正解: A. 本人の判断能力の程度に応じて、後見(判断能力を欠く常況)・保佐(著しく不十分)・補助(不十分)に分かれる / 法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」(判断能力を欠く常況にある者)・「保佐」(判断能力が著しく不十分な者)・「補助」(判断能力が不十分な者)の3類型に分かれ、それぞれ保護者(成年後見人・保佐人・補助人)の権限の範囲が異なる。
問15. 任意後見制度の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 本人が判断能力を有するうちに、将来判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ後見事務を委託する契約を締結しておく制度
- B. 本人の判断能力低下後に、家庭裁判所が職権で開始する制度のみを指す
- C. 任意後見契約は口頭の合意のみで効力を生じる
- D. 任意後見は法定後見よりも常に強力な取消権が認められる制度である
正解: A. 本人が判断能力を有するうちに、将来判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ後見事務を委託する契約を締結しておく制度 / 任意後見制度は、本人がまだ十分な判断能力を有するうちに、将来判断能力が低下した場合に備え、公正証書によって任意後見契約を締結し、あらかじめ選んだ任意後見人に後見事務を委託しておく制度である。
問16. 中小企業の事業承継における自社株式の承継に関する実務上の課題として最も適切なものはどれか。
- A. 後継者に自社株式を集中させたい一方、他の相続人の遺留分にも配慮する必要がある
- B. 自社株式は相続財産に含まれないため事業承継の際に一切考慮不要である
- C. 自社株式は必ず均等に相続人全員で分割しなければならない
- D. 事業承継においては株式の分散は一切問題にならない
正解: A. 後継者に自社株式を集中させたい一方、他の相続人の遺留分にも配慮する必要がある / 中小企業の事業承継では、経営の安定のため後継者に自社株式を集中的に承継させたいというニーズがある一方、他の相続人の遺留分を侵害すると遺留分侵害額請求を受けるリスクがあるため、生前贈与の活用や遺言の工夫、民法特例の活用等が実務上検討される。
問17. 中小企業における経営承継円滑化法上の「遺留分に関する民法の特例」の趣旨として最も適切なものはどれか。
- A. 後継者が贈与を受けた自社株式について、他の相続人の合意のもとで遺留分算定の基礎財産から除外する等の特例を認める
- B. 遺留分制度そのものを完全に廃止する特例である
- C. 後継者以外の相続人の遺留分を強制的に消滅させる特例である
- D. この特例は上場企業にのみ適用される
正解: A. 後継者が贈与を受けた自社株式について、他の相続人の合意のもとで遺留分算定の基礎財産から除外する等の特例を認める / 経営承継円滑化法上の民法特例は、後継者が贈与を受けた自社株式について、旧代表者の推定相続人全員の合意及び所定の手続を経ることで、遺留分算定の基礎財産から除外する(除外合意)等の措置を認め、事業承継の円滑化を図る制度である。
問18. 遺産分割協議の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 共同相続人全員の合意によって、具体的な遺産の分け方を決める手続
- B. 相続人のうち1人だけの意思で決定できる手続
- C. 遺産分割協議には常に家庭裁判所の関与が必須である
- D. 遺産分割協議は口頭でも書面でも一切効力を持たない
正解: A. 共同相続人全員の合意によって、具体的な遺産の分け方を決める手続 / 遺産分割協議は、被相続人が遺言で分割方法を定めていない場合等に、共同相続人全員の合意によって、具体的にどの財産を誰が取得するかを決める手続であり、合意内容は遺産分割協議書として書面化されることが一般的である。
問19. 特別受益の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 共同相続人の中に、被相続人から生前贈与や遺贈を受けた者がいる場合、その受益分を相続財産に加算して具体的な相続分を計算する制度
- B. 全ての相続人が平等に受け取る相続財産のことを指す
- C. 特別受益を受けた相続人は相続権を当然に失う
- D. 特別受益の制度は事業承継には一切関係しない
正解: A. 共同相続人の中に、被相続人から生前贈与や遺贈を受けた者がいる場合、その受益分を相続財産に加算して具体的な相続分を計算する制度 / 特別受益は、共同相続人の中に被相続人から生前贈与や遺贈(婚姻・養子縁組のための贈与、生計の資本としての贈与等)を受けた者がいる場合、共同相続人間の公平を図るため、その受益分を相続財産に加算(持戻し)して具体的な相続分を算定する制度である。
問20. 寄与分の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 共同相続人の中に、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者がいる場合、その寄与を考慮して相続分を増やす制度
- B. 全ての相続人に一律に追加で財産を分配する制度
- C. 寄与分は被相続人の生前にのみ請求できる制度である
- D. 寄与分の制度は法定相続人以外の者にも当然に適用される
正解: A. 共同相続人の中に、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者がいる場合、その寄与を考慮して相続分を増やす制度 / 寄与分は、共同相続人の中に被相続人の事業に関する労務の提供や財産の維持・増加に特別の寄与をした者がいる場合、共同相続人間の協議等によりその寄与に応じた相続分を上乗せする制度である。
問21. 配偶者居住権の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 被相続人の配偶者が、相続開始時に居住していた建物に、終身または一定期間無償で住み続けることができる権利
- B. 配偶者が被相続人の建物の所有権を当然に単独取得する権利
- C. 配偶者居住権は配偶者以外の相続人にも当然に認められる権利である
- D. 配偶者居住権を取得すると配偶者の法定相続分が消滅する
正解: A. 被相続人の配偶者が、相続開始時に居住していた建物に、終身または一定期間無償で住み続けることができる権利 / 配偶者居住権は、被相続人の配偶者が、相続開始時に居住していた建物について、終身または一定期間、無償で使用収益することができる権利であり、遺産分割や遺贈等により取得することができる。建物の所有権とは別個の権利として構成される。
問22. 夫婦財産制のうち「法定財産制」の内容として最も適切なものはどれか。
- A. 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その者の特有財産とする
- B. 夫婦の財産は婚姻と同時に全て共有財産となる
- C. 法定財産制のもとでは夫婦は個別の財産を一切持つことができない
- D. 法定財産制は婚姻前に契約を締結しなければ適用されない
正解: A. 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その者の特有財産とする / 夫婦財産契約を締結しない場合に適用される法定財産制のもとでは、夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その者の特有財産(単独所有)となるのが原則である。
問23. 離婚に伴う財産分与の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 婚姻中に夫婦が協力して形成した財産を、離婚に際して清算・分配する制度
- B. 財産分与は離婚原因を作った側には一切認められない制度である
- C. 財産分与の請求には期間の制限が一切存在しない
- D. 財産分与は必ず現金でのみ行わなければならない
正解: A. 婚姻中に夫婦が協力して形成した財産を、離婚に際して清算・分配する制度 / 財産分与は、離婚に際して、婚姻中に夫婦が協力して形成した財産を清算・分配する制度であり、離婚後2年以内に請求する必要がある(実務上、慰謝料的な要素を含めて考慮されることもある)。
問24. 親権の内容に含まれるものとして最も適切なものはどれか。
- A. 子の監護・教育を行う権利義務、及び子の財産を管理する権利義務
- B. 子の相続分を親が自由に処分する権利のみ
- C. 親権は子が成人した後も一切制限なく存続する
- D. 親権には子の財産管理は一切含まれない
正解: A. 子の監護・教育を行う権利義務、及び子の財産を管理する権利義務 / 親権は、未成年の子の監護・教育を行う権利義務(身上監護権)と、子の財産を管理し、その財産に関する法律行為について子を代表する権利義務(財産管理権)を内容とする。
問25. 普通養子縁組の効果として最も適切なものはどれか。
- A. 養子は養親の嫡出子としての身分を取得するが、実親との親族関係は終了しない
- B. 養子は縁組と同時に実親との親族関係が完全に終了する
- C. 普通養子縁組は事業承継目的での利用が法律上一切禁止されている
- D. 普通養子縁組をすると実親の相続権が当然に失われる
正解: A. 養子は養親の嫡出子としての身分を取得するが、実親との親族関係は終了しない / 普通養子縁組では、養子は養親の嫡出子としての身分を取得し養親の相続人にもなるが、実方の父母との親族関係(相続権を含む)は終了しない(実親との親族関係が終了する特別養子縁組とは異なる)。事業承継の場面で後継者確保のために活用されることもある。
問26. 被相続人の一身に専属した権利義務(一身専属権)と相続の関係として最も適切なものはどれか。
- A. 一身専属権は相続の対象とならず、被相続人の死亡によって消滅する
- B. 一身専属権も全て当然に相続人に承継される
- C. 一身専属権は必ず遺言によってのみ処分できる
- D. 一身専属権という概念は現行民法には存在しない
正解: A. 一身専属権は相続の対象とならず、被相続人の死亡によって消滅する / 被相続人の一身に専属した権利義務(扶養請求権、雇用契約上の労働者の地位など、その人固有の性質に基づく権利義務)は、相続の対象とならず被相続人の死亡によって消滅するのが原則である。
問27. 代襲相続の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 相続人となるべき子や兄弟姉妹が、相続開始以前に死亡等していた場合に、その者の子(孫等)が代わって相続人となる制度
- B. 相続人が相続放棄をした場合にその子が代わりに相続人となる制度
- C. 代襲相続は配偶者にのみ適用される制度である
- D. 代襲相続は直系尊属(父母)についても子と全く同様に無限に適用される
正解: A. 相続人となるべき子や兄弟姉妹が、相続開始以前に死亡等していた場合に、その者の子(孫等)が代わって相続人となる制度 / 代襲相続は、本来相続人となるべき者(被相続人の子や兄弟姉妹)が、相続開始以前の死亡・相続欠格・廃除により相続権を失っていた場合に、その者の子(孫、甥姪等)が代わって同一順位で相続人となる制度である(相続放棄の場合は代襲相続は生じない)。
問28. 相続人の廃除の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 被相続人に対する虐待や重大な侮辱等があった場合に、被相続人の請求により家庭裁判所がその者の相続権を失わせる制度
- B. 相続人が犯罪行為をした場合に法律上当然に相続権を失う制度
- C. 廃除は遺留分を持たない兄弟姉妹に対しても実施する実益が大きい制度である
- D. 廃除された者は代襲相続によっても一切相続することができなくなる
正解: A. 被相続人に対する虐待や重大な侮辱等があった場合に、被相続人の請求により家庭裁判所がその者の相続権を失わせる制度 / 相続人の廃除は、被相続人に対する虐待や重大な侮辱、その他著しい非行があった推定相続人について、被相続人の請求(生前または遺言)に基づき家庭裁判所がその者の相続権を失わせる制度である。法律上当然に相続権を失う相続欠格とは異なり、家庭裁判所の審判等の手続を要する。なお廃除の対象は遺留分を有する推定相続人(兄弟姉妹以外)である点にも留意が必要である。
問29. 遺言執行者の役割として最も適切なものはどれか。
- A. 遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権利義務を有する者
- B. 遺言の内容を自由に変更する権限を持つ者
- C. 遺言執行者は必ず相続人の中から選任しなければならない
- D. 遺言執行者は家庭裁判所の許可がなくてもいかなる相続財産も自由に処分できる無制限の権限を持つ
正解: A. 遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権利義務を有する者 / 遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な行為(相続財産の管理、名義変更手続等)をする権利義務を有する者であり、遺言による指定または家庭裁判所の選任によって就任する。相続人以外の第三者を指定することもできる。
問30. 家族信託(民事信託)を事業承継に活用する意義として最も適切なものはどれか。
- A. 委託者の判断能力低下後も、あらかじめ定めた信託契約に基づき受託者が財産(自社株式等)を管理・処分できるようにすること
- B. 家族信託を利用すると相続そのものが法律上一切発生しなくなる
- C. 家族信託は必ず信託銀行等の営業信託でなければ利用できない
- D. 家族信託を設定すると遺留分の制度が当然に適用されなくなる
正解: A. 委託者の判断能力低下後も、あらかじめ定めた信託契約に基づき受託者が財産(自社株式等)を管理・処分できるようにすること / 家族信託(民事信託)は、委託者があらかじめ受託者(後継者等)に財産(自社株式等)の管理処分を託しておくことで、委託者の判断能力が低下した後も、信託契約の定めに従って円滑な財産管理・事業承継を図ることができる仕組みとして注目されている。
問31. 死因贈与と遺贈の違いとして最も適切なものはどれか。
- A. 死因贈与は贈与者・受贈者間の契約(双方行為)であるのに対し、遺贈は遺言による単独行為である
- B. 死因贈与と遺贈は全く同じ法的性質を持つ制度である
- C. 遺贈には受遺者の承諾が常に必要な契約である
- D. 死因贈与は必ず公正証書によらなければ効力を生じない
正解: A. 死因贈与は贈与者・受贈者間の契約(双方行為)であるのに対し、遺贈は遺言による単独行為である / 死因贈与は、贈与者の死亡によって効力を生じる贈与契約であり、贈与者・受贈者双方の意思表示の合致(契約)を要する。これに対し遺贈は、遺言による単独行為であり、遺言者の一方的な意思表示のみで効力を生じる(受遺者は放棄することもできる)。
問32. 相続税の基礎控除の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の算式により計算され、相続財産の総額がこれ以下であれば原則として相続税は課されない
- B. 相続財産の額に関わらず一律に相続税が課される
- C. 基礎控除額は法定相続人の数に関わらず常に一定である
- D. 相続税に基礎控除という制度は存在しない
正解: A. 「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の算式により計算され、相続財産の総額がこれ以下であれば原則として相続税は課されない / 相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の算式で計算され、正味の相続財産の額がこの基礎控除額以下であれば、原則として相続税の申告・納税は不要となる(この基礎控除額の算式は税制改正により変更されうる点に留意)。
問33. 非上場株式等の事業承継税制(納税猶予制度)の趣旨として最も適切なものはどれか。
- A. 後継者が取得した非上場株式等に係る相続税・贈与税について、一定の要件のもとで納税を猶予・免除する制度
- B. 事業承継に伴う税負担を一切考慮しないための制度
- C. 事業承継税制は上場企業にのみ適用される制度である
- D. 事業承継税制を利用すると相続そのものが発生しなくなる
正解: A. 後継者が取得した非上場株式等に係る相続税・贈与税について、一定の要件のもとで納税を猶予・免除する制度 / 非上場株式等についての事業承継税制は、中小企業の後継者が取得した自社株式等に係る相続税・贈与税について、経営承継円滑化法の認定等の一定の要件を満たすことを条件に、納税を猶予し、一定期間の経営継続等により最終的に免除する制度であり、円滑な事業承継を税制面から支援するものである。
問34. 内縁関係(事実婚)の法的保護として最も適切なものはどれか。
- A. 婚姻に準じた一定の法的保護(内縁の一方的解消に伴う損害賠償等)が判例上認められるが、法定相続分は原則として認められない
- B. 内縁関係は法律婚と全く同一の法的効果を持つ
- C. 内縁関係には裁判上何らの保護も一切認められない
- D. 内縁の配偶者は常に法定相続人として扱われる
正解: A. 婚姻に準じた一定の法的保護(内縁の一方的解消に伴う損害賠償等)が判例上認められるが、法定相続分は原則として認められない / 内縁関係(事実婚)は、婚姻の届出をしていないため戸籍上の配偶者とはならず、法定相続分は原則として認められないが、判例上、婚姻に準じる関係として一定の法的保護(内縁の不当破棄に対する損害賠償請求等)が認められている。
問35. 民法上の「親族」の範囲として最も適切なものはどれか。
- A. 6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族
- B. 血族のみを指し配偶者・姻族は一切含まれない
- C. 親族の範囲は法律上定められておらず社会通念のみによる
- D. 親族とは2親等以内の血族のみを指す
正解: A. 6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族 / 民法上の「親族」は、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族と定められている。
問36. 成年後見登記制度の役割として最も適切なものはどれか。
- A. 後見開始の審判の内容等を登記し、取引の相手方等が登記事項証明書により確認できるようにする制度
- B. 成年後見制度の利用自体を禁止する制度
- C. 成年後見登記は戸籍に直接記載される制度である
- D. 登記をしなければ後見開始の審判は一切効力を生じない
正解: A. 後見開始の審判の内容等を登記し、取引の相手方等が登記事項証明書により確認できるようにする制度 / 成年後見登記制度は、後見開始の審判がされた場合等にその内容を登記し、本人や取引の相手方等が登記事項証明書の交付を受けることで、後見人の権限の有無・範囲等を確認できるようにする制度であり、戸籍には記載されないプライバシーへの配慮もなされている。
問37. 自筆証書遺言(法務局保管制度を利用しない場合)の「検認」手続の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 遺言書の保管者等が家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人立会いのもとで内容を確認・記録する手続
- B. 検認手続を経ることで遺言の有効・無効が確定的に判断される手続
- C. 検認は公正証書遺言にも必ず必要な手続である
- D. 検認を経なければ遺言はいかなる効力も生じない
正解: A. 遺言書の保管者等が家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人立会いのもとで内容を確認・記録する手続 / 自筆証書遺言(法務局における保管制度を利用しないもの)は、相続開始後、保管者等が家庭裁判所に提出して検認を受ける必要がある。検認は遺言書の状態を確認・記録し偽造・変造を防止するための手続であり、遺言の有効・無効を判断する手続ではない(公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言は検認不要)。
問38. 相続人のあることが明らかでない場合の相続財産の扱いとして最も適切なものはどれか。
- A. 相続財産法人が成立し、家庭裁判所が選任した相続財産清算人が清算手続を行い、最終的に特別縁故者への分与や国庫への帰属が検討される
- B. 相続財産は自動的に国が没収する以外の選択肢はない
- C. 相続人が不存在の場合、相続財産は当然に消滅する
- D. 相続人不存在の場合の手続は法律上一切定められていない
正解: A. 相続財産法人が成立し、家庭裁判所が選任した相続財産清算人が清算手続を行い、最終的に特別縁故者への分与や国庫への帰属が検討される / 相続人のあることが明らかでない場合、相続財産は法人となり(相続財産法人)、家庭裁判所が選任した相続財産清算人が債権者への弁済等の清算手続を行う。清算後、特別縁故者(被相続人と生計を同じくしていた者等)への財産分与が検討され、それでも残余財産があれば最終的に国庫に帰属する。
問39. 被相続人が契約者かつ被保険者で、相続人の1人を受取人として指定していた生命保険金の取扱いとして最も適切なものはどれか。
- A. 受取人固有の権利として取得するため、原則として遺産分割の対象となる相続財産には含まれない
- B. 生命保険金は常に相続財産に含まれ遺産分割の対象となる
- C. 生命保険金は必ず相続人全員で均等に分配しなければならない
- D. 生命保険金の受取には家庭裁判所の許可が常に必要である
正解: A. 受取人固有の権利として取得するため、原則として遺産分割の対象となる相続財産には含まれない / 受取人が指定された生命保険金請求権は、原則として受取人固有の権利として取得されるものであり、遺産分割の対象となる相続財産(本来の相続財産)には含まれないとされる(ただし相続税の計算上は「みなし相続財産」として課税対象に含まれる点に留意)。
問40. 中小企業の経営者が早期に事業承継計画を策定する意義として最も適切なものはどれか。
- A. 後継者育成や自社株式・財産の分配方法を計画的に検討することで、相続発生時の混乱や紛争リスクを軽減できる
- B. 事業承継計画は経営者の生前には一切策定できない
- C. 事業承継計画を策定すると法定相続分の適用が当然に排除される
- D. 事業承継は経営者の死亡後に初めて検討すればよく、生前の準備は不要である
正解: A. 後継者育成や自社株式・財産の分配方法を計画的に検討することで、相続発生時の混乱や紛争リスクを軽減できる / 中小企業の事業承継は、後継者の育成、自社株式や事業用資産の分配方法、遺留分への配慮など多くの検討事項があるため、経営者が生前から計画的に事業承継計画を策定し、遺言や信託、生前贈与等を組み合わせて準備を進めることが、相続発生時の混乱や紛争リスクを軽減するために重要である。