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ビジネス実務法務3級 債権管理・回収
全40問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 保証債務の性質である「付従性」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 主たる債務が成立しなければ保証債務も成立せず、主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅する性質
- B. 保証人が主たる債務者と全く無関係に独立して債務を負う性質
- C. 保証債務は主たる債務よりも常に重い内容になる性質
- D. 保証債務は主たる債務の消滅後も存続し続ける性質
正解: A. 主たる債務が成立しなければ保証債務も成立せず、主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅する性質 / 保証債務の付従性とは、主たる債務が成立しなければ保証債務も成立せず、主たる債務が弁済等により消滅すれば保証債務も消滅するという、保証債務が主たる債務に従属する性質をいう。
問2. 保証人に認められる「催告の抗弁権」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 債権者からの請求に対し、まず主たる債務者に催告すべきことを求めることができる権利
- B. 保証人が一切の履行を拒否できる絶対的な権利
- C. 保証人が主たる債務者に代わって契約を解除できる権利
- D. 保証人が保証契約自体を取り消すことができる権利
正解: A. 債権者からの請求に対し、まず主たる債務者に催告すべきことを求めることができる権利 / 催告の抗弁権は、債権者が保証人に債務の履行を請求してきた場合に、保証人が「まず主たる債務者に催告すべきである」と主張できる権利であり、単純保証人に認められる(連帯保証人にはこの抗弁権がない)。
問3. 連帯保証と単純(通常)保証の違いとして最も適切なものはどれか。
- A. 連帯保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権が認められないため、単純保証よりも保証人の責任が重い
- B. 連帯保証は単純保証よりも保証人の責任が軽くなる制度である
- C. 連帯保証と単純保証はいずれも全く同じ効力を持つ
- D. 連帯保証人は主たる債務者が弁済不能にならない限り一切責任を負わない
正解: A. 連帯保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権が認められないため、単純保証よりも保証人の責任が重い / 連帯保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権が認められないため、債権者は主たる債務者に請求せず、いきなり連帯保証人に全額を請求することができ、単純保証に比べて保証人の責任が重くなる。
問4. 根保証の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 一定の継続的取引関係から将来発生する不特定の債務を包括的に保証する契約
- B. 特定の1回限りの債務のみを保証する契約
- C. 保証人が一切の責任を負わないことを定める契約
- D. 保証の対象を金銭債務以外に限定する契約
正解: A. 一定の継続的取引関係から将来発生する不特定の債務を包括的に保証する契約 / 根保証は、継続的な取引関係(当座貸越契約等)から将来にわたって発生する不特定の債務を包括的に保証する契約であり、個人が根保証人となる場合には極度額の定めが必要となるなど、保証人保護の観点から一定の規制がある。
問5. 抵当権の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 債務者等が占有を移転しないまま、不動産等の目的物を担保として提供する担保物権
- B. 目的物の占有を必ず債権者に移転しなければ成立しない担保物権
- C. 動産についてのみ設定できる担保物権
- D. 抵当権を設定すると目的物の所有権が直ちに債権者に移転する
正解: A. 債務者等が占有を移転しないまま、不動産等の目的物を担保として提供する担保物権 / 抵当権は、債務者等(設定者)が目的物(主に不動産)の占有を移転しないまま、これを担保として提供する担保物権であり、債務が弁済されない場合、抵当権者は目的物を競売にかけて優先弁済を受けることができる。
問6. 質権の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 債権者が目的物の占有を受け取り、弁済があるまで留置しつつ優先弁済を受けられる担保物権
- B. 目的物の占有を移転せずに設定される担保物権
- C. 不動産についてのみ設定できる担保物権
- D. 質権には優先弁済的効力が一切認められない
正解: A. 債権者が目的物の占有を受け取り、弁済があるまで留置しつつ優先弁済を受けられる担保物権 / 質権は、債権者(質権者)が目的物の占有を債務者等から受け取り、弁済があるまでこれを留置する(占有留置的効力)とともに、弁済がない場合には目的物から優先弁済を受けられる担保物権である。
問7. 譲渡担保の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 担保の目的で、目的物の所有権の形式を債権者に移転しつつ、実質的な利用は債務者に残しておく非典型担保
- B. 民法に明文で規定された典型的な担保物権の一種である
- C. 目的物の所有権を一切移転せずに行う担保設定方法
- D. 譲渡担保は動産にのみ利用が限定される制度である
正解: A. 担保の目的で、目的物の所有権の形式を債権者に移転しつつ、実質的な利用は債務者に残しておく非典型担保 / 譲渡担保は、担保の目的で目的物の所有権の形式を債権者に移転しつつ、債務者が実質的に目的物の利用を継続できるようにする担保手段であり、民法に明文の規定はないが判例法理により認められている非典型担保である(動産にも不動産にも利用される)。
問8. 所有権留保の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 売買代金が完済されるまで、目的物の所有権を売主のもとに留保しておく取引形態
- B. 買主が代金を完済しなくても直ちに所有権が移転する取引形態
- C. 所有権留保は不動産取引にのみ用いられる制度である
- D. 所有権留保は売主に一切のメリットがない制度である
正解: A. 売買代金が完済されるまで、目的物の所有権を売主のもとに留保しておく取引形態 / 所有権留保は、割賦販売等において、売買代金が完済されるまで目的物の所有権を売主のもとに留保しておく取引形態であり、代金未払いの場合に売主が目的物を引き揚げやすくする担保的機能を持つ。
問9. 相殺の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 互いに同種の債権を有する当事者間で、一方の意思表示によって対当額を消滅させる制度
- B. 必ず両当事者の合意がなければ行うことができない制度
- C. 異なる種類の債権同士でなければ相殺できない制度
- D. 相殺は裁判所の許可がなければ一切行うことができない制度
正解: A. 互いに同種の債権を有する当事者間で、一方の意思表示によって対当額を消滅させる制度 / 相殺は、互いに同種の目的を有する債権(金銭債権同士等)を有する当事者間で、一方当事者の一方的な意思表示によって、その対当額の限度で双方の債権を消滅させる制度であり、簡易な決済手段・債権回収手段として機能する。
問10. 相殺をするための要件(相殺適状)に含まれるものを全て選べ。
- A. 双方の債権が同種の目的を有すること
- B. 双方の債権がともに弁済期にあること(自働債権は弁済期到来必須)
- C. 債権の性質上相殺が許されるものであること
- D. 双方の債権額が完全に同一であること
正解: A・B・C / 相殺適状の要件は、双方の債権が同種の目的を有すること、自働債権が弁済期にあること(受働債権は期限の利益を放棄できるため弁済期未到来でも可)、債権の性質上相殺が許されること等である。債権額が完全に同一である必要はなく、対当額で消滅する。
問11. 弁済の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 債務者が債務の内容である給付を実現し、債権を消滅させる行為
- B. 債権者が一方的に債権を放棄する行為
- C. 契約自体を無効にする行為
- D. 第三者が債務者の同意なく一切弁済できないとする原則
正解: A. 債務者が債務の内容である給付を実現し、債権を消滅させる行為 / 弁済は、債務者(またはその代わりに第三者)が債務の内容である給付を実現し、債権を消滅させる行為である。原則として利害関係のない第三者も、債務者の意思に反しない限り弁済することができる。
問12. 代物弁済の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 債権者の承諾を得て、本来の給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させること
- B. 第三者が債務者に代わって金銭を貸し付けることのみを指す
- C. 債権者が一方的に受領を拒否することを指す
- D. 弁済期を延長することのみを指す用語である
正解: A. 債権者の承諾を得て、本来の給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させること / 代物弁済は、債権者の承諾を得て、本来の給付(例:金銭の支払い)に代えて他の給付(例:不動産の引渡し)をすることにより、債務を消滅させる制度である。
問13. 債権譲渡の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 債権の同一性を保ったまま、譲渡人から譲受人へ債権を移転する契約
- B. 債務者の同意がなければ債権譲渡契約自体が一切成立しない
- C. 債権譲渡は必ず裁判所の許可を得なければ行うことができない
- D. 債権譲渡をすると、譲渡された債権は当然に消滅する
正解: A. 債権の同一性を保ったまま、譲渡人から譲受人へ債権を移転する契約 / 債権譲渡は、債権の同一性を保ったまま、譲渡人(旧債権者)から譲受人(新債権者)へ債権を移転させる契約であり、原則として債務者の承諾がなくても譲渡人・譲受人間の合意のみで成立するが、債務者や第三者に対抗するためには通知・承諾等の対抗要件が必要となる。
問14. 債権譲渡を債務者に対抗するための要件として最も適切なものはどれか。
- A. 譲渡人からの債務者への通知、または債務者の承諾
- B. 譲受人からの通知のみで足り、譲渡人からの通知は一切不要である
- C. 内容証明郵便でなければいかなる通知も無効である
- D. 債権譲渡には対抗要件という概念自体が存在しない
正解: A. 譲渡人からの債務者への通知、または債務者の承諾 / 債権譲渡を債務者に対抗するためには、原則として譲渡人から債務者への通知、または債務者の承諾が必要である(第三者に対抗するためには確定日付のある証書による通知・承諾が必要)。
問15. 内容証明郵便を債権回収の場面で利用する主な目的として最も適切なものはどれか。
- A. いつ、いかなる内容の文書を相手方に送付したかを郵便局が証明してくれることで、後日の証拠とすること
- B. 内容証明郵便を送付すれば自動的に強制執行ができるようになるため
- C. 内容証明郵便には法的な強制力があり、相手方に支払いを義務付ける効果があるため
- D. 内容証明郵便を送ると自動的に裁判所の判決と同じ効力が生じるため
正解: A. いつ、いかなる内容の文書を相手方に送付したかを郵便局が証明してくれることで、後日の証拠とすること / 内容証明郵便は、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰に送付したかを郵便局(日本郵便)が証明する制度であり、催告書等を送付した事実・内容を後日の証拠として残すために利用される。それ自体に強制執行力があるわけではない。
問16. 支払督促の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 金銭の支払い等を求める場合に、簡易裁判所の書記官が債権者の申立てのみに基づいて発する支払命令
- B. 必ず裁判官による対審(口頭弁論)を経なければ発することができない手続
- C. 支払督促には債務者が異議を申し立てる余地が一切ない
- D. 支払督促は刑事事件にのみ利用できる手続である
正解: A. 金銭の支払い等を求める場合に、簡易裁判所の書記官が債権者の申立てのみに基づいて発する支払命令 / 支払督促は、金銭の支払い等を求める場合に、簡易裁判所の書記官が債権者の申立てのみに基づき(債務者を審尋せずに)発する支払命令であり、迅速・簡易な債権回収手続として利用される。債務者は督促異議を申し立てることができる。
問17. 少額訴訟の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に、原則として1回の審理で判決を得られる簡易裁判所の訴訟手続
- B. 訴額に関わらずあらゆる訴訟に利用できる手続である
- C. 少額訴訟の判決には不服申立てが一切認められない
- D. 少額訴訟は必ず弁護士に依頼しなければ利用できない手続である
正解: A. 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に、原則として1回の審理で判決を得られる簡易裁判所の訴訟手続 / 少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる簡易裁判所の訴訟手続で、原則として1回の期日で審理を終え、即日判決を得られる簡易・迅速な紛争解決手段である。
問18. 民事調停の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 裁判所の調停委員会の仲介のもとで、当事者双方が話し合いにより紛争解決を図る手続
- B. 裁判官のみが一方的に判決を下す手続
- C. 調停は必ず訴訟よりも法的拘束力が強い制度である
- D. 調停には当事者の合意が一切不要である
正解: A. 裁判所の調停委員会の仲介のもとで、当事者双方が話し合いにより紛争解決を図る手続 / 民事調停は、裁判所の調停委員会(裁判官と調停委員で構成)の仲介のもとで、当事者双方が話し合いによって紛争の解決を図る裁判外紛争解決手続に近い性質を持つ手続であり、調停が成立すると調停調書は確定判決と同一の効力を持つ。
問19. 強制執行を行うために必要となる「債務名義」の例として最も適切なものはどれか。
- A. 確定判決、和解調書、公正証書(執行認諾文言付き)
- B. 単なる契約書のみ(判決等を経ていないもの)
- C. 口頭での督促のみ
- D. 内容証明郵便の送付のみ
正解: A. 確定判決、和解調書、公正証書(執行認諾文言付き) / 強制執行を行うためには「債務名義」(強制執行によって実現されるべき請求権の存在・内容を公的に証明する文書)が必要であり、確定判決・和解調書・執行認諾文言付き公正証書等がこれにあたる。単なる契約書だけでは強制執行はできない。
問20. 執行認諾文言付き公正証書の実務上の利点として最も適切なものはどれか。
- A. 金銭債権について、訴訟を経ずに直接強制執行の申立てが可能になる
- B. 公正証書があれば相殺や弁済の抗弁が一切主張できなくなる
- C. 公正証書は当事者の合意なく作成することができる
- D. 執行認諾文言があっても訴訟提起は一切不要にならない
正解: A. 金銭債権について、訴訟を経ずに直接強制執行の申立てが可能になる / 「強制執行を受諾する」旨の文言(執行認諾文言)が付された公正証書は、金銭の一定額の支払いを目的とする債権について、訴訟提起・判決取得を経ずに直接強制執行の申立てを可能にする債務名義となるため、実務上、金銭消費貸借契約等でしばしば利用される。
問21. 債権差押えの説明として最も適切なものはどれか。
- A. 債務者が第三者に対して有する債権(預金債権・給与債権等)を差し押さえ、そこから債権を回収する強制執行方法
- B. 債務者の不動産のみを対象とする強制執行方法
- C. 債権差押えは訴訟提起前には一切利用できない制度である
- D. 債権差押えには債務名義が一切不要である
正解: A. 債務者が第三者に対して有する債権(預金債権・給与債権等)を差し押さえ、そこから債権を回収する強制執行方法 / 債権差押えは、債務者が第三者(銀行・勤務先等の第三債務者)に対して有する債権(預金債権・給与債権等)を差し押さえ、その債権から直接債権を回収する強制執行の方法の一つである。
問22. 仮差押えの説明として最も適切なものはどれか。
- A. 将来の強制執行に備え、債務者の財産を暫定的に処分できないように保全する手続
- B. 確定判決を得た後にのみ利用できる手続
- C. 仮差押えをすると債権が直ちに全額回収される
- D. 仮差押えには裁判所への申立てが一切不要である
正解: A. 将来の強制執行に備え、債務者の財産を暫定的に処分できないように保全する手続 / 仮差押えは、金銭債権の将来の強制執行を保全するため、訴訟提起前や訴訟係属中に、債務者が財産を処分してしまうことを防ぐべく、裁判所の決定により暫定的に財産の処分を禁止する民事保全手続である。
問23. 破産手続の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 債務者の財産を清算し、総債権者に公平に配当することを目的とする倒産処理手続
- B. 会社の事業を継続しながら再建を図ることのみを目的とする手続
- C. 破産手続は個人には一切適用されない手続である
- D. 破産手続を申し立てると自動的に全ての債権が全額回収できる
正解: A. 債務者の財産を清算し、総債権者に公平に配当することを目的とする倒産処理手続 / 破産手続は、支払不能等に陥った債務者の財産を清算し、破産管財人がこれを換価して総債権者に公平に配当することを目的とする倒産処理手続(清算型手続)である。
問24. 民事再生手続の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 経済的に窮境にある債務者が、事業や生活の再建を図りながら債務を整理する再建型の倒産処理手続
- B. 債務者の財産を全て換価処分し、事業を終了させることのみを目的とする手続
- C. 民事再生手続は法人にのみ適用され、個人には一切適用されない
- D. 民事再生手続を申し立てると全ての債権が自動的に消滅する
正解: A. 経済的に窮境にある債務者が、事業や生活の再建を図りながら債務を整理する再建型の倒産処理手続 / 民事再生手続は、経済的に窮境にある債務者(法人・個人いずれも利用可能)が、事業や生活の再建を図りながら、再生計画に基づいて債務の一部を弁済し残債務の減免等を受ける再建型の倒産処理手続である。
問25. 倒産手続における「相殺」の実務上の意義として最も適切なものはどれか。
- A. 自らも相手方に対して債務を負っている債権者は、相殺により実質的に優先的な債権回収を図ることができる
- B. 倒産手続開始後は相殺が一切禁止される
- C. 相殺は倒産手続にのみ認められ、通常の取引では利用できない
- D. 倒産手続では相殺を行うと必ず刑事罰が科される
正解: A. 自らも相手方に対して債務を負っている債権者は、相殺により実質的に優先的な債権回収を図ることができる / 取引先の倒産に備え、あらかじめ相手方に対して債務(買掛金等)を負う関係を作っておくと、倒産手続開始後も一定の要件のもとで相殺が認められ、他の一般債権者に優先して実質的な債権回収を図ることができる場合があり、実務上の与信管理の一手法として重要である。
問26. 取引先の与信管理において、契約締結前に行うべき調査として最も適切なものはどれか。
- A. 取引先の信用状況(財務状況・登記情報・取引評判等)を調査すること
- B. 取引先の調査は一切不要であり、契約書さえあれば与信リスクはゼロになる
- C. 与信管理は取引開始後にのみ行えばよく、契約締結前には不要である
- D. 与信管理は法律上禁止されている行為である
正解: A. 取引先の信用状況(財務状況・登記情報・取引評判等)を調査すること / 与信管理においては、契約締結前に取引先の信用状況(財務状況、登記情報、業界内の評判等)を調査し、取引条件(与信限度額、担保・保証の要否等)を検討することが、将来の債権回収リスクを軽減するために重要である。
問27. 債権の消滅時効の完成を阻止するための実務上の対応として最も適切なものはどれか。
- A. 内容証明郵便による催告や、裁判上の請求(訴訟提起等)を行うこと
- B. 何もせず時効期間の経過を待つこと
- C. 時効の完成猶予・更新の制度は一切利用できない
- D. 催告を行うと時効の進行が永久に停止する
正解: A. 内容証明郵便による催告や、裁判上の請求(訴訟提起等)を行うこと / 債権の消滅時効の完成を阻止するためには、内容証明郵便等による催告(一時的な完成猶予)や、訴訟提起等の裁判上の請求(更新事由)を行うことが実務上有効な対応となる。ただし催告のみでは6か月間の完成猶予にとどまり、その間に本格的な回収手続(訴訟提起等)を取る必要がある。
問28. 個人が事業用融資の保証人になる場合、民法上どのような手続が原則として必要とされているか。
- A. 保証契約締結前1か月以内に作成された公正証書によって保証人になる意思を表示していること
- B. 口頭の同意のみで足り、書面は一切不要である
- C. 保証人になる意思表示に特段の要式は不要である
- D. 個人保証は法律上一律に禁止されている
正解: A. 保証契約締結前1か月以内に作成された公正証書によって保証人になる意思を表示していること / 事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約について、個人が保証人になる場合には、原則として契約締結前1か月以内に作成された公正証書で保証意思を確認する手続が必要とされ、保証人になろうとする者を保護する制度が設けられている。
問29. 先取特権の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 法律の定める特定の債権について、債務者の財産から他の債権者に優先して弁済を受けられる法定の担保物権
- B. 当事者の合意によってのみ発生する担保物権
- C. 先取特権は不動産についてのみ認められる担保物権である
- D. 先取特権を有していても優先弁済を受けることはできない
正解: A. 法律の定める特定の債権について、債務者の財産から他の債権者に優先して弁済を受けられる法定の担保物権 / 先取特権は、法律が定める特定の債権(雇用関係の給料債権、不動産の工事に関する債権等)について、当事者の合意によらず法律上当然に発生し、債務者の財産から他の債権者に優先して弁済を受けることができる法定の担保物権である。
問30. 留置権の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利
- B. 留置権者は目的物から優先弁済を受けることが法律上一切認められない権利という意味では他の担保物権と全く同じ
- C. 留置権は当事者の合意がなければ一切発生しない権利である
- D. 留置権は不動産についてのみ認められる権利である
正解: A. 他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利 / 留置権は、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権(修理代金債権等)の弁済を受けるまで、その物を留置することができる法定担保物権であり、当事者の合意がなくても法律上の要件を満たせば当然に発生する。
問31. 供託の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 債権者が受領を拒否する場合等に、債務者が弁済の目的物を供託所に提出することで債務を消滅させる制度
- B. 債権者が一方的に債権を放棄する制度
- C. 供託は必ず裁判所の許可を得なければ行うことができない制度
- D. 供託をしても債務は一切消滅しない
正解: A. 債権者が受領を拒否する場合等に、債務者が弁済の目的物を供託所に提出することで債務を消滅させる制度 / 供託は、債権者が弁済の受領を拒否する場合や、債権者が誰であるか過失なく確知できない場合等に、債務者が弁済の目的物を供託所に提出することで、債務を消滅させることができる制度である。
問32. 保証人が主たる債務者に代わって弁済した場合に取得する権利として最も適切なものはどれか。
- A. 主たる債務者に対する求償権
- B. 保証人は弁済しても一切の権利を取得しない
- C. 債権者に対する損害賠償請求権のみを取得する
- D. 主たる債務者の全財産の所有権を当然に取得する
正解: A. 主たる債務者に対する求償権 / 保証人が主たる債務者に代わって債権者に弁済した場合、保証人は主たる債務者に対して、支払った金額等の求償権を取得する。
問33. 動産・債権譲渡登記制度の実務上の意義として最も適切なものはどれか。
- A. 動産譲渡担保や債権譲渡について、登記により第三者対抗要件を具備できるようにする制度
- B. 動産の所有権を国に移転させる制度
- C. 登記をすると当然に譲渡担保契約自体が無効になる
- D. この制度は不動産取引にのみ適用される
正解: A. 動産譲渡担保や債権譲渡について、登記により第三者対抗要件を具備できるようにする制度 / 動産・債権譲渡登記制度は、動産譲渡担保や集合債権譲渡担保等について、通知・承諾によらず登記により第三者対抗要件を具備できるようにする制度であり、多数の債務者が存在する集合債権譲渡担保等で実務上活用されている。
問34. 動産執行の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 執行官が債務者の動産を差し押さえて競売等に付し、その売却代金から債権を回収する強制執行方法
- B. 不動産のみを対象とする強制執行方法
- C. 動産執行には債務名義が一切不要である
- D. 動産執行は債権者の自宅でのみ実施される手続である
正解: A. 執行官が債務者の動産を差し押さえて競売等に付し、その売却代金から債権を回収する強制執行方法 / 動産執行は、執行官が債務者の所有する動産(機械・商品在庫等)を差し押さえ、これを競売等により換価し、その売却代金から債権者が債権の回収を図る強制執行の方法である。
問35. 訴訟手続と比較した仲裁(裁判外紛争解決手続の一種)の特徴として最も適切なものはどれか。
- A. 当事者があらかじめ合意した仲裁人による判断(仲裁判断)に、確定判決と同様の効力を与える紛争解決手続
- B. 仲裁は当事者の合意なくいつでも一方的に開始できる手続である
- C. 仲裁判断には一切の法的拘束力がない
- D. 仲裁は必ず訴訟よりも長期間を要する手続である
正解: A. 当事者があらかじめ合意した仲裁人による判断(仲裁判断)に、確定判決と同様の効力を与える紛争解決手続 / 仲裁は、当事者があらかじめ合意(仲裁合意)に基づき、選定した仲裁人の判断(仲裁判断)に紛争解決を委ねる裁判外紛争解決手続であり、仲裁判断には確定判決と同一の効力が認められ、原則として不服申立てができない。
問36. 取引基本契約に「期限の利益喪失条項」を設ける目的として最も適切なものはどれか。
- A. 取引先に一定の信用不安事由が生じた場合に、分割払い等の期限の利益を失わせ、直ちに全額の弁済を請求できるようにすること
- B. 取引先に対して常に有利な支払条件を保証すること
- C. 契約の解除を一切できなくすること
- D. 期限の利益喪失条項は法律上無効な条項である
正解: A. 取引先に一定の信用不安事由が生じた場合に、分割払い等の期限の利益を失わせ、直ちに全額の弁済を請求できるようにすること / 期限の利益喪失条項は、取引先に不渡り・破産手続開始の申立て等の信用不安事由が生じた場合に、分割払い等で認めていた期限の利益を喪失させ、債権者が直ちに残債務全額の弁済を請求できるようにする条項であり、与信管理上重要な役割を果たす。
問37. 取引基本契約に定める「相殺予約条項」の実務上の意義として最も適切なものはどれか。
- A. 一定の事由が生じた場合、弁済期の到来を待たずに相殺できることをあらかじめ定めておくことで、実質的な債権回収の確実性を高める
- B. 相殺予約条項があれば、いかなる場合も相手方の同意なく強制執行ができるようになる
- C. 相殺予約条項は法律上一切効力が認められない
- D. 相殺予約条項は消費者取引にのみ適用される
正解: A. 一定の事由が生じた場合、弁済期の到来を待たずに相殺できることをあらかじめ定めておくことで、実質的な債権回収の確実性を高める / 相殺予約条項は、取引先に信用不安事由が生じた場合等に、双方の債権の弁済期到来を待たずに相殺できる旨をあらかじめ契約で定めておく条項であり、取引先の倒産等に備えた実務上重要な債権保全手段の一つである。
問38. 保証人が有する「求償権」を確実にするための実務上の対応として最も適切なものはどれか。
- A. 保証人が主たる債務者から担保を取得しておく、または委託を受けた保証である旨を明確にしておくこと
- B. 保証人は求償権を行使する際に一切の証拠を必要としない
- C. 求償権は主たる債務者の同意がなくても当然に担保が付される
- D. 保証人が求償権を確保するための対応は法律上一切認められていない
正解: A. 保証人が主たる債務者から担保を取得しておく、または委託を受けた保証である旨を明確にしておくこと / 保証人が主たる債務者への求償を確実にするためには、委託を受けた保証であることを契約書上明確にしておく、担保を取得しておく等の実務上の工夫が有効である。委託を受けた保証人には、求償権を確保するための事前・事後の求償権も認められている。
問39. 私的整理(任意整理)の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 裁判所の関与する法的倒産手続によらず、債権者と債務者の話し合いにより債務整理を行う手続
- B. 必ず裁判所の判決を経て行われる手続
- C. 私的整理は法律上一切認められていない手続である
- D. 私的整理を行うと自動的に全ての債権が消滅する
正解: A. 裁判所の関与する法的倒産手続によらず、債権者と債務者の話し合いにより債務整理を行う手続 / 私的整理(任意整理)は、破産・民事再生等の裁判所が関与する法的倒産手続によらず、債権者と債務者との話し合い(協議)によって債務の減免・返済条件の変更等を行う手続であり、手続の柔軟性・迅速性・非公開性などの利点がある。
問40. 継続的取引において取引先の「与信限度額」を設定する目的として最も適切なものはどれか。
- A. 取引先に対する債権が一定額を超えないよう管理し、貸し倒れリスクを一定範囲に抑えること
- B. 取引先との取引量を無制限に拡大するため
- C. 与信限度額の設定は法律上禁止されている
- D. 与信限度額を設定すると契約自体が無効になる
正解: A. 取引先に対する債権が一定額を超えないよう管理し、貸し倒れリスクを一定範囲に抑えること / 与信限度額は、取引先の信用力に応じて、その取引先に対して負うことになる債権額(売掛金残高等)が一定の範囲を超えないよう管理するための基準であり、万一取引先が倒産した場合の損失(貸し倒れリスク)を一定範囲に抑える与信管理の基本的な手法である。