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ビジネス実務法務2級 企業取引(応用)

40問 / トルカ(https://toruca.app)

  1. 1. 取引基本契約における「個別契約優先条項」の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 基本契約と個別契約の内容が抵触する場合に、どちらの内容を優先させるかをあらかじめ定めておく条項
    • B. 個別契約を締結すれば基本契約は当然に失効するとする条項
    • C. 個別契約には一切の法的効力を認めないとする条項
    • D. 個別契約は必ず基本契約より不利な内容にしなければならないとする条項

    正解: A. 基本契約と個別契約の内容が抵触する場合に、どちらの内容を優先させるかをあらかじめ定めておく条項個別契約優先条項は、基本契約と個々の個別契約(発注書等)の内容が抵触する場合にどちらを優先するかをあらかじめ明確にしておく条項であり、実務上は個別の事情に応じて修正できるよう個別契約を優先させる例が多い。

  2. 2. 貿易取引条件「FOB(Free On Board)」の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 指定された船積港で貨物が本船に積み込まれた時点で、費用・危険負担が売主から買主に移転する条件
    • B. 仕向地の港に到着するまで一切の費用・危険を売主が負担する条件
    • C. 運送費・保険料の全てを買主が事前に支払う条件のみを指す
    • D. FOBは航空輸送にのみ用いられる条件である

    正解: A. 指定された船積港で貨物が本船に積み込まれた時点で、費用・危険負担が売主から買主に移転する条件FOB(本船渡し)は、指定された船積港において貨物が本船の船上に積み込まれた時点で、それ以降の費用・危険負担が売主から買主に移転するとするインコタームズの取引条件の一つである。

  3. 3. 貿易取引条件「CIF(Cost, Insurance and Freight)」の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 売主が運賃・保険料を負担して仕向港まで貨物を運送する義務を負うが、危険負担は船積み時点で買主に移転する条件
    • B. 危険負担も仕向港到着まで全て売主が負う条件
    • C. 保険料の負担は買主のみが行う条件
    • D. CIFは陸上輸送にのみ適用される条件である

    正解: A. 売主が運賃・保険料を負担して仕向港まで貨物を運送する義務を負うが、危険負担は船積み時点で買主に移転する条件CIF(運賃保険料込み)は、売主が仕向港までの運賃と保険料を負担して貨物を運送する義務を負うが、危険負担自体は船積み時点で買主に移転するという、費用負担と危険負担の移転時期が異なる点が特徴の取引条件である。

  4. 4. 荷為替信用状(L/C:Letter of Credit)取引の主な目的として最も適切なものはどれか。

    • A. 輸出者が代金回収を、輸入者が確実な商品受領を、それぞれ銀行の信用を介して図る国際決済の仕組み
    • B. 為替レートの変動リスクを完全にゼロにする仕組み
    • C. 関税の支払いを免除するための仕組み
    • D. 国際輸送における保険契約そのものを指す用語

    正解: A. 輸出者が代金回収を、輸入者が確実な商品受領を、それぞれ銀行の信用を介して図る国際決済の仕組み荷為替信用状(L/C)取引は、輸入者の取引銀行が信用状を発行し、輸出者が船積書類等を呈示することで代金の支払いを保証する仕組みであり、輸出者の代金回収と輸入者の確実な商品受領の双方を、銀行の信用を介して図る国際取引特有の決済手段である。

  5. 5. 国際物品売買契約に関する国連条約(CISG:ウィーン売買条約)の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 締約国の当事者間の国際物品売買契約に、当事者が排除しない限り適用されうる統一的な実体法ルール
    • B. 全ての国内取引にも一律に適用される条約である
    • C. CISGは各国の関税率を統一する条約である
    • D. CISGは当事者の合意によっても適用を排除できない強行法規のみで構成される

    正解: A. 締約国の当事者間の国際物品売買契約に、当事者が排除しない限り適用されうる統一的な実体法ルールCISG(国際物品売買契約に関する国連条約、ウィーン売買条約)は、締約国に営業所を有する当事者間の国際物品売買契約について、当事者が明示的に適用を排除しない限り適用されうる統一的な実体法ルールを定めた条約である。

  6. 6. フランチャイズ契約における「テリトリー権」の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 加盟店に一定の地域における独占的な営業権を保障する取り決め
    • B. 本部が加盟店の全ての経営判断を代行する権利
    • C. 加盟店が本部の商標を無断で使用できる権利
    • D. テリトリー権は必ず全てのフランチャイズ契約に付与される法定の権利である

    正解: A. 加盟店に一定の地域における独占的な営業権を保障する取り決めテリトリー権は、加盟店に対し、一定の地域内で本部が他の加盟店を出店させない等の独占的な営業権を保障する契約上の取り決めであるが、全てのフランチャイズ契約に法律上当然に認められる権利ではなく、契約内容によって有無・範囲が異なる。

  7. 7. フランチャイズ契約に定める競業避止義務の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 加盟店が契約期間中及び契約終了後の一定期間、本部の事業と競合する事業を行わないようにする義務
    • B. 本部が加盟店の事業を代行する義務
    • C. 競業避止義務は契約期間中にのみ課すことができ、契約終了後には一切課せない
    • D. 競業避止義務は法律上いかなる制限もなく無期限に有効である

    正解: A. 加盟店が契約期間中及び契約終了後の一定期間、本部の事業と競合する事業を行わないようにする義務競業避止義務は、加盟店が契約期間中や契約終了後の一定期間、本部のノウハウを利用して競合する事業を行わないようにする義務であり、契約終了後の競業避止義務については、職業選択の自由等の観点から期間・地域等の合理的な範囲に限定される必要がある。

  8. 8. 中小小売商業振興法がフランチャイズ本部に義務付ける事項として最も適切なものはどれか。

    • A. 契約締結前に、加盟金・ロイヤルティ等の重要事項を記載した書面を交付して説明すること
    • B. 加盟店の経営内容を一切開示しないこと
    • C. 本部が加盟店の全ての利益を保証すること
    • D. 本部と加盟店の契約は口頭のみで足りるとすること

    正解: A. 契約締結前に、加盟金・ロイヤルティ等の重要事項を記載した書面を交付して説明すること中小小売商業振興法は、一定のフランチャイズ事業を行う本部に対し、契約締結前に加盟金・ロイヤルティ・契約解除の条件等の重要事項を記載した法定書面を交付して説明することを義務付けており、加盟希望者が十分な情報を得たうえで契約締結の判断ができるようにしている。

  9. 9. 電子消費者契約法(電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律)が定める操作ミス救済の趣旨として最も適切なものはどれか。

    • A. 事業者が確認画面等の措置を講じていない場合、消費者の操作ミスによる錯誤があっても重過失を理由に無効主張を制限されない
    • B. 消費者の操作ミスはいかなる場合も一切救済されない
    • C. 事業者は確認画面を設ける義務が一切ない
    • D. この法律は事業者間取引(BtoB)にのみ適用される

    正解: A. 事業者が確認画面等の措置を講じていない場合、消費者の操作ミスによる錯誤があっても重過失を理由に無効主張を制限されない電子消費者契約法は、事業者がクリックミス等を防止するための確認画面等の措置を講じていなかった場合には、消費者に重大な過失があったとしても、錯誤による無効主張が制限されない(重過失の主張が事業者側からできない)とする消費者保護の特例を定めている。

  10. 10. 電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)における「特定認証業務」の役割として最も適切なものはどれか。

    • A. 電子署名が本人のものであることを認証局が証明する業務
    • B. 電子署名の暗号を無効化する業務
    • C. 特定認証業務は民間事業者には一切認められていない
    • D. 特定認証業務は不動産登記にのみ利用される

    正解: A. 電子署名が本人のものであることを認証局が証明する業務特定認証業務は、一定の基準を満たす電子署名について、その署名が本人のものであることを証明する電子証明書を発行する認証業務であり、主務大臣の認定を受けることで公的な信頼性が付与される。

  11. 11. 個人根保証契約における「極度額」の定めが必要とされる趣旨として最も適切なものはどれか。

    • A. 個人が保証する債務の上限額を明確にし、保証人が予期しない過大な責任を負うことを防ぐため
    • B. 極度額を定めると保証契約自体が無効になるため
    • C. 極度額は法人が保証人となる場合にのみ必要とされる
    • D. 極度額の定めがなくても個人根保証契約は当然に有効である

    正解: A. 個人が保証する債務の上限額を明確にし、保証人が予期しない過大な責任を負うことを防ぐため個人が根保証人となる根保証契約(個人根保証契約)については、極度額(保証する債務の限度額)を書面等で定めなければ効力を生じないとされており、個人保証人が予期しない過大な責任を負うことを防止する趣旨がある。

  12. 12. 事業のために負担する債務についての保証契約締結時に、主債務者が保証人(個人)に対して負う情報提供義務の内容として最も適切なものはどれか。

    • A. 財産及び収支の状況、他の債務の有無・額・履行状況、担保として提供する財産の有無等を情報提供すること
    • B. 情報提供義務は一切存在せず、保証人は自ら全て調査しなければならない
    • C. 情報提供義務は法人が保証人になる場合にのみ課される
    • D. 情報提供を怠っても保証契約の効力には一切影響しない

    正解: A. 財産及び収支の状況、他の債務の有無・額・履行状況、担保として提供する財産の有無等を情報提供すること事業のために負担する債務を主債務とする保証の委託をする場合、主債務者は委託を受ける者(個人保証人)に対し、財産及び収支の状況、他の債務の状況、担保提供の有無等について情報を提供する義務があり、これを怠り誤認して保証契約を締結した場合、一定の要件のもとで保証人が保証契約を取り消せることがある。

  13. 13. 優越的地位の濫用に該当しうる具体的行為として最も適切でないものはどれか。

    • A. 取引先と対等な立場で行う通常の価格交渉
    • B. 合理的な理由なく取引の相手方に代金の支払いを遅延すること
    • C. 取引の相手方に対し、購入していないサービスの対価を負担させること(協賛金の要求等)
    • D. 取引の相手方が発注していない商品を強制的に購入させること

    正解: A. 取引先と対等な立場で行う通常の価格交渉優越的地位の濫用に該当しうる行為には、代金の支払遅延、押し付け販売、協賛金等の負担要求などがあるが、対等な立場での通常の価格交渉自体は優越的地位の濫用には該当しない。

  14. 14. 下請法上、親事業者が行うことを禁止されている「買いたたき」の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 通常支払われる対価に比べて著しく低い代金額を、一方的に定めること
    • B. 下請事業者と十分に協議したうえで適正な価格を決定すること
    • C. 市場価格の上昇を反映した適正な価格改定を行うこと
    • D. 下請事業者からの値上げ要請に応じること

    正解: A. 通常支払われる対価に比べて著しく低い代金額を、一方的に定めること買いたたきは、下請法上、親事業者が下請代金の額を定めるにあたり、類似品等の通常の対価に比べて著しく低い額を一方的に定める行為であり、禁止行為の一つとされている。

  15. 15. 下請法が定める下請代金の支払期日の原則として最も適切なものはどれか。

    • A. 給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内
    • B. 支払期日は当事者が自由にいつでも定めてよく、法律上の上限はない
    • C. 支払期日は必ず給付受領日から1年以内であればよい
    • D. 下請法には支払期日に関する定めは一切存在しない

    正解: A. 給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内下請法上、親事業者は下請代金の支払期日を、下請事業者の給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に定めなければならないとされている。

  16. 16. 複数の契約類型の要素を併せ持つ「混合契約」の解釈における実務上の留意点として最も適切なものはどれか。

    • A. 契約の主たる目的や個々の条項の趣旨に応じて、適用されるべき典型契約の規定を個別に検討する必要がある
    • B. 混合契約には一切の民法規定が適用されない
    • C. 混合契約は必ず無効な契約として扱われる
    • D. 混合契約は必ず1つの典型契約のみに分類しなければならない

    正解: A. 契約の主たる目的や個々の条項の趣旨に応じて、適用されるべき典型契約の規定を個別に検討する必要があるシステム開発契約のように請負と準委任の性質を併せ持つ契約など、複数の典型契約の要素を持つ混合契約については、契約全体の趣旨や個々の条項の内容に応じて、どの典型契約の規定を類推適用すべきか個別に解釈・検討する必要がある。

  17. 17. 総代理店契約(一手販売店契約)の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 特定の地域において、指定された代理店以外には商品の販売を認めない独占的販売権を付与する契約
    • B. 複数の代理店に平等に販売権を分散させることを内容とする契約
    • C. 総代理店契約はいかなる独占禁止法上の問題も生じない契約類型である
    • D. 総代理店契約は必ず国内取引にのみ用いられる契約類型である

    正解: A. 特定の地域において、指定された代理店以外には商品の販売を認めない独占的販売権を付与する契約総代理店契約(一手販売店契約)は、特定の地域における独占的な販売権を特定の代理店に付与する契約であり、一定の場合には独占禁止法上の不公正な取引方法(拘束条件付取引等)に該当しないか留意する必要がある。

  18. 18. システム開発契約における「多段階契約」の考え方として最も適切なものはどれか。

    • A. 要件定義・設計・開発等の工程ごとに個別契約を分けて締結し、各段階の成果物や責任範囲を明確にする方式
    • B. 全ての工程を1つの契約で必ず一括して締結しなければならないとする考え方
    • C. 多段階契約はシステム開発以外の分野には一切応用できない
    • D. 多段階契約を採用すると発注者・受注者間の責任分担が一切不要になる

    正解: A. 要件定義・設計・開発等の工程ごとに個別契約を分けて締結し、各段階の成果物や責任範囲を明確にする方式システム開発契約では、要件定義・外部設計・内部設計・開発・テスト等の工程ごとに個別の契約を締結する多段階契約の方式が用いられることがあり、各段階の成果物・検収基準・責任範囲を明確にすることで、後工程での手戻りやトラブルを軽減する狙いがある。

  19. 19. 業務提携契約(アライアンス契約)を締結する際に検討すべき事項として最も適切でないものはどれか。

    • A. 提携先の役員個人の私的な資産状況の全て
    • B. 提携の目的・範囲の明確化
    • C. 知的財産権の帰属・利用条件
    • D. 秘密保持義務の内容と期間

    正解: A. 提携先の役員個人の私的な資産状況の全て業務提携契約を締結する際は、提携の目的・範囲、知的財産権の帰属、秘密保持義務、収益配分、契約終了時の処理などを検討する必要があるが、提携先の役員個人の私的な資産状況は通常検討対象とならない。

  20. 20. 契約書に「MAC条項(重大な悪影響条項)」を設ける目的として最も適切なものはどれか。

    • A. 契約締結後、相手方に重大な悪影響を及ぼす事情変更が生じた場合に、契約の実行を見直せるようにすること
    • B. 契約締結前の交渉を一切禁止すること
    • C. 契約の相手方の役員報酬の額を確定させること
    • D. MAC条項は日本国内取引にのみ用いられる条項である

    正解: A. 契約締結後、相手方に重大な悪影響を及ぼす事情変更が生じた場合に、契約の実行を見直せるようにすることMAC条項(Material Adverse Change条項)は、主にM&A契約等において、契約締結後クロージングまでの間に対象会社の事業・財務状態等に重大な悪影響を及ぼす事情変更が生じた場合に、買主が契約の実行(クロージング)を留保・拒否できるようにする条項である。

  21. 21. 契約書に定める「表明保証条項」の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 契約締結時点における一定の事実関係が真実かつ正確であることを当事者が表明し、その内容を保証する条項
    • B. 将来の業績目標を必ず達成することを保証する条項
    • C. 表明保証条項に違反しても一切の法的責任を負わない
    • D. 表明保証条項はM&A契約には利用されない特殊な条項である

    正解: A. 契約締結時点における一定の事実関係が真実かつ正確であることを当事者が表明し、その内容を保証する条項表明保証条項は、契約締結時点(またはクロージング時点)における一定の事実関係(財務状況・訴訟の有無・許認可の取得状況等)が真実かつ正確であることを当事者が表明し保証する条項であり、M&A契約で特に重要な役割を果たす。表明保証違反があった場合、補償や契約解除等の効果が生じる。

  22. 22. デューデリジェンス(DD)を実施する目的として最も適切なものはどれか。

    • A. M&A等の取引に際し、対象企業の財務・法務・事業等のリスクを事前に調査・評価すること
    • B. 取引を成立させないために対象企業を意図的に貶めること
    • C. デューデリジェンスは取引成立後にのみ実施される手続である
    • D. デューデリジェンスの結果は取引条件に一切影響を与えない

    正解: A. M&A等の取引に際し、対象企業の財務・法務・事業等のリスクを事前に調査・評価することデューデリジェンス(DD)は、M&Aや大型取引等に際して、対象企業の財務状況・法的リスク(訴訟・許認可・契約関係等)・事業内容等を事前に調査・評価する手続であり、その結果は買収価格の調整や表明保証・補償条項の設計等に反映される。

  23. 23. OEM取引契約において品質保証条項が重視される理由として最も適切なものはどれか。

    • A. 委託者のブランドで販売されるため、品質不良があれば委託者のブランド価値・信用に直接影響するため
    • B. 受託者の利益のみを守るための条項であるため
    • C. 品質保証条項はOEM契約には一般的に不要な条項であるため
    • D. 品質保証条項があれば製造物責任は一切発生しなくなるため

    正解: A. 委託者のブランドで販売されるため、品質不良があれば委託者のブランド価値・信用に直接影響するためOEM取引では、製品は委託者のブランドで販売されるため、品質不良が生じると委託者のブランド価値・信用に直接影響する。そのため契約上、品質基準・検査方法・不適合時の対応等を定める品質保証条項が重視される。

  24. 24. 独占禁止法上の「垂直的制限行為」の例として最も適切なものはどれか。

    • A. メーカーが小売業者に対して、他社製品の取扱いを禁止する行為
    • B. 同業のメーカー同士が価格カルテルを結ぶ行為
    • C. 同業の小売業者同士が販売地域を分割する行為
    • D. 垂直的制限行為とは競合する事業者間の共謀を指す用語である

    正解: A. メーカーが小売業者に対して、他社製品の取扱いを禁止する行為垂直的制限行為は、取引段階の異なる事業者間(メーカーと販売業者等)で行われる取引制限行為であり、排他条件付取引や再販売価格の拘束などが該当する。これに対し、同業者間(同一段階の事業者間)の制限行為は水平的制限行為(カルテル等)と呼ばれる。

  25. 25. 継続的な取引を長期間にわたり一方的に打ち切る際、判例上考慮されうる要素として最も適切でないものはどれか。

    • A. 取引打ち切りを行う側の担当者の個人的な好み
    • B. 取引の継続期間や取引依存度
    • C. 打ち切りに至った合理的な理由の有無
    • D. 予告期間の相当性

    正解: A. 取引打ち切りを行う側の担当者の個人的な好み継続的取引の一方的な打ち切り(解約)の適法性は、取引の継続期間・取引依存度、打ち切りの合理的理由の有無、予告期間の相当性等を総合的に考慮して判断されるとされているが、担当者個人の好みのような主観的事情は考慮要素にはならない。

  26. 26. 契約書における「サレンダー条項(権利不放棄条項)」の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 一方当事者が契約上の権利をある場面で行使しなかったとしても、それによって将来その権利を放棄したものとはみなされない旨を定める条項
    • B. 契約締結と同時に全ての権利を放棄することを定める条項
    • C. サレンダー条項は必ず契約を無効にする効果を持つ条項である
    • D. サレンダー条項は日本の契約実務では一切用いられない

    正解: A. 一方当事者が契約上の権利をある場面で行使しなかったとしても、それによって将来その権利を放棄したものとはみなされない旨を定める条項権利不放棄条項(英文契約でNo Waiver条項等と呼ばれる)は、一方当事者がある機会に契約上の権利(違約金請求権等)を行使しなかったとしても、それをもって将来にわたりその権利を放棄したものとはみなされない旨を定める条項であり、権利者の保護を目的とする。

  27. 27. 共同開発契約における知的財産権の帰属条項が重要である理由として最も適切なものはどれか。

    • A. 複数の当事者が共同で開発した成果に係る特許等の権利の帰属や利用条件をあらかじめ明確にしておく必要があるため
    • B. 共同開発契約には知的財産権の問題が一切生じないため
    • C. 知的財産権の帰属は常に開発費用を多く負担した当事者に自動的に帰属するため契約書での取り決めは不要であるため
    • D. 共同開発の成果は必ず特許を取得できないため帰属条項は不要であるため

    正解: A. 複数の当事者が共同で開発した成果に係る特許等の権利の帰属や利用条件をあらかじめ明確にしておく必要があるため共同開発契約では、開発成果に係る特許権等の知的財産権が誰に帰属するか(単独帰属か共有か)、共有の場合の持分・利用条件・第三者への実施許諾の可否等をあらかじめ明確にしておかないと、後日の紛争につながりやすいため、帰属条項は重要である。

  28. 28. サプライチェーンにおけるBCP(事業継続計画)を踏まえた契約実務上の対応として最も適切なものはどれか。

    • A. 代替調達先の確保や、不可抗力条項の内容を精査すること
    • B. サプライチェーンの分散はコスト増にしかならないため一切検討しない
    • C. 不可抗力条項は契約書に定める必要がない
    • D. BCPは製造業のみに関係し、契約実務とは無関係である

    正解: A. 代替調達先の確保や、不可抗力条項の内容を精査すること自然災害等のリスクに備えたサプライチェーンのBCP(事業継続計画)の観点から、契約実務上は代替調達先の確保の検討や、不可抗力(天災等)が生じた場合の責任の所在・義務の一時停止等を定める不可抗力条項の内容を精査しておくことが重要である。

  29. 29. サブスクリプション型のサービス提供契約において特有の留意点として最も適切なものはどれか。

    • A. 利用期間中の料金改定・解約条件・データの取扱いについて明確に定める必要がある
    • B. サブスクリプション契約には解約という概念が一切存在しない
    • C. サブスクリプション契約は必ず一括買い切り契約と全く同じ扱いを受ける
    • D. サブスクリプション契約では利用者のデータ取扱いについて定める必要が一切ない

    正解: A. 利用期間中の料金改定・解約条件・データの取扱いについて明確に定める必要があるサブスクリプション型サービスの契約では、継続的な役務提供を前提とするため、利用期間中の料金改定手続、中途解約の条件・違約金の有無、利用者データの取扱い(個人情報保護法との関係)などを明確に定めておくことが重要である。

  30. 30. 独占禁止法上の「排他条件付取引」の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. 取引の相手方に対し、競争者と取引しないことを条件として取引する行為であって、公正な競争を阻害するおそれがあるもの
    • B. 取引の相手方に商品の品質を保証する行為
    • C. 取引の相手方と価格交渉を行う行為全般
    • D. 排他条件付取引は常に適法とされる行為である

    正解: A. 取引の相手方に対し、競争者と取引しないことを条件として取引する行為であって、公正な競争を阻害するおそれがあるもの排他条件付取引は、事業者が取引の相手方に対し、自己の競争者と取引しないことを条件として取引する行為であり、市場閉鎖効果を通じて公正な競争を阻害するおそれがある場合には、独占禁止法上の不公正な取引方法として規制される。

  31. 31. ライセンス契約における「サブライセンス」の説明として最も適切なものはどれか。

    • A. ライセンシーが、ライセンサーから許諾された権利をさらに第三者に再許諾すること
    • B. ライセンサーが権利を放棄することを指す
    • C. サブライセンスは常にライセンサーの承諾なく自由に行うことができる
    • D. サブライセンスという概念はライセンス契約には存在しない

    正解: A. ライセンシーが、ライセンサーから許諾された権利をさらに第三者に再許諾することサブライセンスは、ライセンシー(実施権者)が、ライセンサー(許諾者)から許諾された知的財産権の実施権をさらに第三者に再許諾することであり、通常はライセンス契約上、ライセンサーの事前の承諾が必要とされる。

  32. 32. 取引先の海外進出に伴う現地法人との契約締結において特に留意すべき事項として最も適切なものはどれか。

    • A. 準拠法・言語・紛争解決手続(裁判管轄か仲裁か)を明確に取り決めること
    • B. 現地の法律は一切考慮する必要がない
    • C. 全ての契約書は必ず日本語のみで作成しなければならない
    • D. 海外取引には契約書の作成自体が不要である

    正解: A. 準拠法・言語・紛争解決手続(裁判管轄か仲裁か)を明確に取り決めること海外の現地法人等との契約締結にあたっては、準拠法・契約書の言語・紛争解決手続(訴訟か国際仲裁か、管轄裁判所や仲裁地はどこか)等を明確に取り決めておくことが、後日の紛争を予防し円滑な解決を図るために重要である。

  33. 33. 国際商事仲裁が国際取引の紛争解決手段としてしばしば選好される理由として最も適切なものはどれか。

    • A. 外国の判決よりも仲裁判断の方が、ニューヨーク条約を通じて多くの国で承認・執行されやすいため
    • B. 仲裁は必ず訴訟よりも費用が安く済むため
    • C. 仲裁判断には一切の法的拘束力がないため気軽に利用できるため
    • D. 国際仲裁は日本国内取引にのみ利用できる制度であるため

    正解: A. 外国の判決よりも仲裁判断の方が、ニューヨーク条約を通じて多くの国で承認・執行されやすいため国際取引の紛争解決手段として国際商事仲裁がしばしば選好される理由の一つに、外国判決の承認・執行は国によって扱いが異なるのに対し、仲裁判断はニューヨーク条約(外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約)の締約国間で比較的広く承認・執行されやすいという実務上のメリットがある。

  34. 34. 契約書における「アサインメント(契約上の地位の譲渡)禁止条項」の趣旨として最も適切なものはどれか。

    • A. 相手方の承諾なく契約上の地位を第三者に譲渡することを禁止し、契約相手の信頼関係を維持すること
    • B. 契約上の地位の譲渡を常に自由に認めるための条項である
    • C. この条項があると契約自体が譲渡不能になり無効になる
    • D. アサインメント禁止条項は法律上一切効力を持たない

    正解: A. 相手方の承諾なく契約上の地位を第三者に譲渡することを禁止し、契約相手の信頼関係を維持すること契約上の地位の譲渡禁止条項は、相手方の承諾なく契約上の地位(権利義務の全体)を第三者に譲渡することを禁止する条項であり、契約の相手方が誰であるかという信頼関係を重視する契約において、当事者の変更を防ぐために設けられる。

  35. 35. 販売店契約と代理店契約(狭義)の法的性質の違いとして最も適切なものはどれか。

    • A. 販売店は自己の名と計算で商品を仕入れて転売するのに対し、代理店(狭義)は本人の代理人として契約し効果が本人に帰属する
    • B. 販売店契約と代理店契約は法的性質が全く同一であり区別する実益がない
    • C. 代理店(狭義)は在庫リスクを常に負う立場である
    • D. 販売店は本人の代理人として契約の効果を本人に帰属させる立場である

    正解: A. 販売店は自己の名と計算で商品を仕入れて転売するのに対し、代理店(狭義)は本人の代理人として契約し効果が本人に帰属する販売店(ディストリビューター)は自己の名と計算で商品を仕入れ、これを転売する取引形態であり在庫リスクを自ら負うのに対し、代理店(狭義の代理)は本人の代理人として契約を締結し、その効果は本人に直接帰属し、代理店自身は原則として在庫リスクを負わない点で法的性質が異なる。

  36. 36. プラットフォーム事業者と出店事業者との取引における「取引透明化法(デジタルプラットフォーム取引透明化法)」の趣旨として最も適切なものはどれか。

    • A. 特定デジタルプラットフォーム提供者に対し、取引条件の開示や苦情処理体制の整備等を求め、取引の透明性・公正性を確保すること
    • B. 全てのプラットフォーム事業者の営業を一律に禁止すること
    • C. 出店事業者に対してのみ義務を課し、プラットフォーム事業者には何の義務も課さない法律である
    • D. この法律は国内の実店舗取引にのみ適用される

    正解: A. 特定デジタルプラットフォーム提供者に対し、取引条件の開示や苦情処理体制の整備等を求め、取引の透明性・公正性を確保すること特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(取引透明化法)は、規模の大きいデジタルプラットフォーム提供者に対し、出店事業者等との取引条件の開示、変更時の事前通知、苦情処理・紛争解決のための体制整備等を求めることで、取引の透明性・公正性の向上を図る法律である。

  37. 37. 継続的取引契約に定める「協議事項条項」の実務上の限界として最も適切なものはどれか。

    • A. 「別途協議する」との定めのみでは、協議が調わない場合の具体的な処理が不明確なままとなるリスクがある
    • B. 協議事項条項があれば必ず紛争が発生しない
    • C. 協議事項条項は契約書に定めることが法律上禁止されている
    • D. 協議事項条項があれば裁判所は一切関与できなくなる

    正解: A. 「別途協議する」との定めのみでは、協議が調わない場合の具体的な処理が不明確なままとなるリスクがある契約書に「本契約に定めのない事項及び疑義が生じた事項については、当事者間で誠意をもって協議する」といった協議事項条項を設けることは一般的だが、実際に協議が調わなかった場合の処理(裁判所の判断に委ねる等)が別途明確にされていないと、紛争解決の実効性に限界が生じうる。

  38. 38. サービス品質保証(SLA:Service Level Agreement)を契約に定める意義として最も適切なものはどれか。

    • A. サービスの品質水準(稼働率・応答時間等)を数値目標として明確化し、未達時のペナルティ等を取り決めること
    • B. SLAを定めるとサービス提供者は一切の責任を免れる
    • C. SLAは消費者向けサービスにのみ利用される概念である
    • D. SLAには数値目標を含めてはならない

    正解: A. サービスの品質水準(稼働率・応答時間等)を数値目標として明確化し、未達時のペナルティ等を取り決めることSLA(サービスレベル合意)は、ITサービス等の提供にあたり、稼働率・障害対応時間等の品質水準を数値目標として明確化し、目標未達成の場合のペナルティ(利用料の減額等)を取り決めることで、サービス提供者・利用者双方の予測可能性を高める契約実務である。

  39. 39. OEM供給契約における生産中止時の取り決め(生産中止条項)を設ける理由として最も適切なものはどれか。

    • A. 受託者が製品の生産を中止する場合の予告期間や在庫・部品の扱いをあらかじめ定め、委託者の事業継続への影響を軽減するため
    • B. 生産中止条項は受託者に一切の予告義務を課さないための条項である
    • C. 生産中止条項を定めると受託者はいつでも無条件で契約を終了できる
    • D. 生産中止条項はOEM契約には通常設けられない条項である

    正解: A. 受託者が製品の生産を中止する場合の予告期間や在庫・部品の扱いをあらかじめ定め、委託者の事業継続への影響を軽減するためOEM供給契約では、受託者(製造者)が何らかの事情で製品の生産を中止する場合に備え、事前予告期間、最終発注の機会の付与、補修用部品の供給継続等を定める生産中止条項を設けることで、委託者の事業継続への影響を軽減する実務上の工夫がなされる。

  40. 40. 国際契約書に「Entire Agreement条項(完全合意条項)」を設ける実務上の意義として最も適切なものはどれか。

    • A. 契約締結前の交渉過程でのメール等のやり取りが契約内容として持ち出されることを防ぎ、法的安定性を高めること
    • B. この条項があると契約内容を一切変更できなくなる
    • C. Entire Agreement条項は国内契約にのみ適用される特殊な条項である
    • D. この条項があれば契約書の記載内容を無視してよくなる

    正解: A. 契約締結前の交渉過程でのメール等のやり取りが契約内容として持ち出されることを防ぎ、法的安定性を高めることEntire Agreement条項(完全合意条項)は、特に国際契約において、契約締結前の交渉過程における口頭や書面(メール等)でのやり取りが、契約内容の解釈をめぐる後日の紛争で持ち出されることを防ぎ、契約書に記載された内容のみが当事者間の完全な合意であることを明確化することで、法的安定性を高める意義がある。