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ビジネス実務法務2級 紛争解決(応用)
全40問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 民事訴訟における「立証責任(挙証責任)」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. ある事実の存否が真偽不明の場合に、その事実が存在しないものとして扱われる不利益を負う当事者の地位
- B. 立証責任は常に被告のみが負う責任である
- C. 立証責任という概念は民事訴訟には存在しない
- D. 立証責任を負う当事者は必ず勝訴する
正解: A. ある事実の存否が真偽不明の場合に、その事実が存在しないものとして扱われる不利益を負う当事者の地位 / 立証責任(挙証責任)は、ある要件事実の存否が証拠調べの結果によっても真偽不明となった場合に、その事実が存在しないものとして扱われる不利益を負う当事者の地位であり、一般に、権利の発生を主張する側がその発生要件事実について立証責任を負うとされる。
問2. 民事訴訟における「文書提出命令」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 一定の要件のもとで、裁判所が相手方等の所持する文書の提出を命じることができる証拠収集手続
- B. 文書提出命令は原告のみが申し立てることができる
- C. 文書提出命令に従わなくても一切の不利益は生じない
- D. 文書提出命令は刑事訴訟にのみ存在する制度である
正解: A. 一定の要件のもとで、裁判所が相手方等の所持する文書の提出を命じることができる証拠収集手続 / 文書提出命令は、民事訴訟において、当事者の申立てにより、一定の除外事由(自己利用文書等)に該当しない限り、裁判所が相手方や第三者が所持する文書の提出を命じることができる証拠収集手続であり、命令に従わない場合には一定の不利益(当該文書に関する相手方の主張を真実と認める等)が生じうる。
問3. 民事訴訟における控訴・上告の違いとして最も適切なものはどれか。
- A. 控訴は第一審判決に対する不服申立てであり事実審理も行われるが、上告は原則として法律問題のみを審理する不服申立てである
- B. 控訴と上告は全く同一の審理内容を持つ手続である
- C. 上告は事実認定に関する不服も無制限に主張できる手続である
- D. 控訴・上告のいずれも当事者双方の合意がなければ提起できない
正解: A. 控訴は第一審判決に対する不服申立てであり事実審理も行われるが、上告は原則として法律問題のみを審理する不服申立てである / 控訴は第一審判決に対する不服申立てであり、控訴審(原則として高等裁判所)でも事実認定を含む審理が行われるのに対し、上告は原則として憲法違反や重大な手続違反等、法律問題に関する不服申立てに限定され、事実認定自体を争うことは原則としてできない。
問4. 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)に基づく「認証紛争解決事業者」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 法務大臣の認証を受けた民間のADR機関であり、時効の完成猶予等の一定の法的効果が認められる
- B. 認証紛争解決事業者による手続は必ず裁判所を通じて行われる
- C. 認証を受けていない民間ADR機関は一切の紛争解決手続を実施できない
- D. 認証紛争解決事業者の和解には確定判決と同一の効力が当然に認められる
正解: A. 法務大臣の認証を受けた民間のADR機関であり、時効の完成猶予等の一定の法的効果が認められる / ADR法に基づき法務大臣の認証を受けた民間紛争解決事業者(認証ADR事業者)による和解の仲介手続には、時効の完成猶予等の一定の法的効果が認められており、裁判外での柔軟な紛争解決手続を利用しやすくする制度的な後押しとなっている。
問5. 国際仲裁における「仲裁地」の実務上の意義として最も適切なものはどれか。
- A. 仲裁手続に適用される手続法や、仲裁判断の取消しの申立てが可能な裁判所の所在地等を決定する基準となる
- B. 仲裁地は必ず当事者の国籍と一致していなければならない
- C. 仲裁地は仲裁判断の内容には一切影響を与えない
- D. 仲裁地の指定には特段の実務上の意義がない
正解: A. 仲裁手続に適用される手続法や、仲裁判断の取消しの申立てが可能な裁判所の所在地等を決定する基準となる / 国際仲裁における仲裁地は、単なる審理を行う物理的な場所を意味するだけでなく、仲裁手続に適用される手続法(仲裁地の仲裁法)や、仲裁判断の取消しを求める申立てが可能な裁判所(仲裁地の裁判所)を決定する基準となる重要な法的概念である。
問6. 仮処分の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 金銭債権以外の権利について、将来の強制執行の保全や、争いのある権利関係について仮の地位を定めるための手続
- B. 仮処分は金銭債権の保全にのみ利用できる手続である
- C. 仮処分には裁判所の判断が一切不要である
- D. 仮処分をすると本案訴訟の提起が一切不要になる
正解: A. 金銭債権以外の権利について、将来の強制執行の保全や、争いのある権利関係について仮の地位を定めるための手続 / 仮処分は、金銭債権以外の権利(不動産の明渡請求権等)についての将来の強制執行を保全するための「係争物に関する仮処分」と、争いのある権利関係について仮の地位を定める「仮の地位を定める仮処分」(従業員の地位保全の仮処分等)に大別される民事保全手続である。
問7. 民事保全手続における「担保(保証金)」の提供が求められる趣旨として最も適切なものはどれか。
- A. 後日、保全命令が不当であったと判明した場合に、相手方が被った損害を担保するため
- B. 担保の提供により保全命令の内容が確定的に変更される
- C. 担保の提供は保全命令を申し立てる際に一切不要である
- D. 担保の提供は相手方が申し立てる場合にのみ必要となる
正解: A. 後日、保全命令が不当であったと判明した場合に、相手方が被った損害を担保するため / 民事保全手続では、裁判所の判断により、申立人に対し一定の担保(保証金)の提供を命じることが一般的であり、これは後日、その保全命令が不当であったと判明した場合に、相手方が被る損害を担保する趣旨で求められる。
問8. 企業不祥事発覚時に設置される「第三者委員会」の役割として最も適切なものはどれか。
- A. 経営陣から独立した外部専門家が、事実関係の調査・原因分析・再発防止策の提言を客観的立場から行う
- B. 第三者委員会は経営陣の意向のみに従って結論を出す機関である
- C. 第三者委員会の設置は法律上一律に義務付けられている
- D. 第三者委員会には調査権限が一切認められない
正解: A. 経営陣から独立した外部専門家が、事実関係の調査・原因分析・再発防止策の提言を客観的立場から行う / 企業不祥事が発覚した際に任意で設置される第三者委員会は、企業や経営陣から独立した弁護士等の外部専門家が、事実関係の調査、原因分析、再発防止策の提言を客観的な立場から行う組織であり、調査の客観性・信頼性を確保する目的で活用される。
問9. 企業のクライシスコミュニケーションにおいて重視される事項として最も適切なものはどれか。
- A. 迅速かつ正確な情報開示、誠実な対応、ステークホルダーへの説明責任の履行
- B. 不祥事発覚時は一切の情報を開示しないことが最善の対応である
- C. クライシスコミュニケーションは法務部門にのみ関係し経営陣は関与不要である
- D. 不祥事の内容にかかわらず常に同一の対応マニュアルのみに従えばよい
正解: A. 迅速かつ正確な情報開示、誠実な対応、ステークホルダーへの説明責任の履行 / 企業不祥事発生時のクライシスコミュニケーションでは、事実関係の迅速かつ正確な把握・開示、誠実な対応、顧客・株主・取引先等のステークホルダーに対する説明責任の履行が重視され、対応の遅れや不誠実な対応は、企業の信用をさらに大きく損なうリスクがある。
問10. 自社株式を信託財産とする「事業承継信託」の活用意義として最も適切なものはどれか。
- A. 経営者の判断能力低下や急な事態に備え、あらかじめ定めた信託契約により円滑な議決権行使・株式承継を実現すること
- B. 事業承継信託を利用すると自社株式の価値評価が一切不要になる
- C. 事業承継信託は必ず上場企業にのみ利用が認められる制度である
- D. 事業承継信託を設定すると相続税・贈与税が一律に免除される
正解: A. 経営者の判断能力低下や急な事態に備え、あらかじめ定めた信託契約により円滑な議決権行使・株式承継を実現すること / 事業承継信託は、経営者が保有する自社株式を信託財産とし、あらかじめ定めた信託契約に基づき、経営者の判断能力低下時や不測の事態が生じた場合にも、受託者を通じた円滑な議決権行使や後継者への段階的な株式承継を実現することを目的として活用される。
問11. 法人後見(法人が成年後見人等に就任する制度)の実務上の意義として最も適切なものはどれか。
- A. 個人の後見人と異なり、組織として継続的・専門的な後見事務の実施が期待できる
- B. 法人後見は個人後見よりも常に法的責任が軽くなる制度である
- C. 法人後見は成年後見制度上一切認められていない
- D. 法人後見を利用すると本人の判断能力の低下が完全に治癒される
正解: A. 個人の後見人と異なり、組織として継続的・専門的な後見事務の実施が期待できる / 法人後見は、社会福祉法人や弁護士法人等の法人が成年後見人等に就任する制度であり、個人の後見人が死亡・高齢化等により後見事務を継続できなくなるリスクを軽減し、組織として継続的・専門的な後見事務の実施が期待できる点に実務上の意義がある。
問12. 国際的な要素を含む相続事件における準拠法の考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 法の適用に関する通則法上、相続は原則として被相続人の本国法によるとされている
- B. 国際相続は常に日本法のみが適用される
- C. 国際相続には準拠法という概念が一切存在しない
- D. 国際相続は必ず被相続人の最後の住所地法のみによる
正解: A. 法の適用に関する通則法上、相続は原則として被相続人の本国法によるとされている / 法の適用に関する通則法上、相続は原則として被相続人の本国法によるとされている(相続統一主義)。国際的な要素を含む相続事案では、この準拠法決定のルールに従い、どの国の相続法を適用するかを検討する必要がある。
問13. 限定提供データの保護制度の趣旨として最も適切なものはどれか。
- A. 秘密管理性の要件を満たさないビッグデータ等について、一定の要件のもとで不正取得・使用等からの保護を図る制度
- B. 限定提供データは営業秘密と全く同一の保護要件を満たす必要がある
- C. 限定提供データの制度は特許法にのみ規定されている
- D. 限定提供データはあらゆるデータが無条件で保護対象となる
正解: A. 秘密管理性の要件を満たさないビッグデータ等について、一定の要件のもとで不正取得・使用等からの保護を図る制度 / 不正競争防止法上の限定提供データ保護制度は、業として特定の者に提供する情報として管理されているデータ(IoTで収集されたビッグデータ等)のうち、秘密管理性の要件を満たさないため営業秘密としては保護されないものについても、一定の要件(限定提供性・電磁的管理性・有用性等)のもとで不正取得・使用等から保護を図る制度である。
問14. 不正競争防止法が禁止する「形態模倣行為」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 他人が開発・販売した商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為(販売開始から一定期間内に限り保護)
- B. 形態模倣行為は商品の販売開始から永久に保護される行為類型である
- C. 形態模倣行為の禁止は特許登録を受けた商品にのみ適用される
- D. 形態模倣行為はいかなる場合も禁止されない適法な行為である
正解: A. 他人が開発・販売した商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為(販売開始から一定期間内に限り保護) / 不正競争防止法上の形態模倣行為は、他人が最初に開発・販売した商品の形態をデッドコピー(模倣)した商品を譲渡・輸出入等する行為であり、商品の形態それ自体が特許や意匠登録を受けていなくても、商品の販売開始から一定期間内(原則3年)は不正競争として規制される。
問15. 証拠保全手続の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 本来の証拠調べの時期を待っていては証拠を利用することが困難になる事情がある場合に、あらかじめ証拠調べを行っておく手続
- B. 証拠保全は訴訟提起後にのみ利用できる手続である
- C. 証拠保全手続の結果は本案訴訟で一切利用することができない
- D. 証拠保全は刑事訴訟にのみ存在する手続である
正解: A. 本来の証拠調べの時期を待っていては証拠を利用することが困難になる事情がある場合に、あらかじめ証拠調べを行っておく手続 / 証拠保全手続は、証拠を改ざん・隠滅されるおそれがある等、本来の証拠調べの時期(訴訟提起後の証拠調べ)まで待っていては証拠として利用することが困難になる事情がある場合に、訴訟提起前であってもあらかじめ証拠調べを実施しておくことができる民事訴訟法上の手続である。
問16. 国際仲裁における「暫定措置(保全措置)」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 仲裁廷が、仲裁判断が下されるまでの間、当事者の権利を保全するために発する暫定的な命令
- B. 暫定措置は仲裁廷ではなく必ず裁判所のみが発することができる
- C. 暫定措置には一切の実効性がない
- D. 暫定措置は仲裁手続開始前には一切利用できない
正解: A. 仲裁廷が、仲裁判断が下されるまでの間、当事者の権利を保全するために発する暫定的な命令 / 国際仲裁における暫定措置(保全措置)は、仲裁廷が仲裁判断の言渡しまでの間、当事者の権利保全(証拠の散逸防止、財産の処分禁止等)のために発する暫定的な命令であり、仲裁法上、仲裁廷だけでなく裁判所への保全処分の申立ても可能とされている。
問17. 内部統制システムの構築・運用に関する取締役の責任として最も適切なものはどれか。
- A. 会社の規模・業種等に応じ、法令遵守体制を含む内部統制システムを構築・運用する義務を負い、これを怠ると善管注意義務違反となりうる
- B. 内部統制システムの構築は取締役の義務ではなく完全に任意の取り組みである
- C. 内部統制システムを構築すれば、いかなる不祥事が生じても取締役は一切責任を負わない
- D. 内部統制システムの構築義務は監査役にのみ課される義務である
正解: A. 会社の規模・業種等に応じ、法令遵守体制を含む内部統制システムを構築・運用する義務を負い、これを怠ると善管注意義務違反となりうる / 会社法上、一定規模以上の会社の取締役会は、法令遵守体制を含む内部統制システムの整備に関する基本方針を決定する義務があり、これを適切に構築・運用しないことにより会社に損害が生じた場合、取締役は善管注意義務違反として損害賠償責任を問われうる(ただし相当な内部統制システムを構築・運用していれば、個別の不正行為の発生についてまで直ちに責任を問われるわけではないとされる)。
問18. 訴訟上の和解の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 訴訟係属中に当事者双方が互いに譲歩して訴訟を終了させる合意であり、和解調書には確定判決と同一の効力が認められる
- B. 訴訟上の和解は判決と全く同じ手続を経なければ成立しない
- C. 訴訟上の和解が成立すると強制執行力は一切生じない
- D. 訴訟上の和解は裁判所の関与なく当事者のみで完結する手続である
正解: A. 訴訟係属中に当事者双方が互いに譲歩して訴訟を終了させる合意であり、和解調書には確定判決と同一の効力が認められる / 訴訟上の和解は、訴訟係属中に当事者双方が互いに譲歩し合って訴訟を終了させる合意であり、裁判所の面前で行われ、その内容が記載された和解調書は確定判決と同一の効力(既判力・執行力)を有する。
問19. 後継者不在の中小企業がM&Aによる第三者への事業承継(第三者承継)を選択する意義として最も適切なものはどれか。
- A. 親族内や従業員内に適任の後継者がいない場合でも、事業自体の存続・雇用の維持を図ることができる
- B. 第三者承継は必ず親族内承継より不利な結果になる
- C. 第三者承継は法律上一切認められていない手法である
- D. 第三者承継を選択すると従業員は必ず全員解雇される
正解: A. 親族内や従業員内に適任の後継者がいない場合でも、事業自体の存続・雇用の維持を図ることができる / 後継者不在に悩む中小企業にとって、M&Aによる第三者への事業承継(第三者承継)は、親族内・従業員内に適任の後継者がいない場合でも、事業そのものの存続や雇用の維持、技術・ノウハウの継承を図ることができる選択肢として、近年活用が進んでいる。
問20. 少額訴訟債権執行の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 少額訴訟における確定判決等を債務名義として、簡易裁判所の裁判所書記官が行う簡易な債権執行手続
- B. 少額訴訟債権執行は地方裁判所でしか実施できない手続である
- C. 少額訴訟債権執行の対象は不動産に限定される
- D. 少額訴訟債権執行には債務名義が一切不要である
正解: A. 少額訴訟における確定判決等を債務名義として、簡易裁判所の裁判所書記官が行う簡易な債権執行手続 / 少額訴訟債権執行は、少額訴訟における確定判決や仮執行宣言等を債務名義として、通常の債権執行のように地方裁判所ではなく、簡易裁判所の裁判所書記官が行うことができる簡易な債権執行手続であり、少額訴訟制度の簡易・迅速性を執行段階でも活かす仕組みである。
問21. 国際取引契約に「多層的紛争解決条項(エスカレーション条項)」を設ける目的として最も適切なものはどれか。
- A. まず当事者間の協議、次いで調停、それでも解決しない場合に仲裁・訴訟へと段階的に紛争解決を試みる仕組みを設けること
- B. 多層的紛争解決条項があれば紛争は一切発生しなくなる
- C. この条項は必ず訴訟のみを最終手段として定めなければならない
- D. 多層的紛争解決条項は国内契約にのみ用いられる条項である
正解: A. まず当事者間の協議、次いで調停、それでも解決しない場合に仲裁・訴訟へと段階的に紛争解決を試みる仕組みを設けること / 多層的紛争解決条項(エスカレーション条項)は、紛争が生じた場合にまず当事者間の誠実な協議を行い、それでも解決しない場合は調停を試み、最終的に仲裁または訴訟に進むという段階的な紛争解決プロセスをあらかじめ契約に定めておくものであり、いきなり訴訟等に発展することを避け、関係修復の機会を確保する狙いがある。
問22. 製品事故等の危機発生時における「リコール(回収・無償修理等)」実施の判断において重視される事項として最も適切なものはどれか。
- A. 消費者の安全確保を最優先し、法令上の報告義務(消費生活用製品安全法等)を踏まえて迅速に対応すること
- B. リコールは企業のイメージダウンにつながるため一切実施すべきではない
- C. リコールの実施は法律上完全に自由であり報告義務は一切存在しない
- D. リコールは製造から10年以上経過した製品にのみ検討すればよい
正解: A. 消費者の安全確保を最優先し、法令上の報告義務(消費生活用製品安全法等)を踏まえて迅速に対応すること / 製品事故等が発生した場合、消費生活用製品安全法等に基づき、一定の重大製品事故については主務大臣への報告義務が課されており、企業は消費者の安全確保を最優先に、法令上の義務を踏まえた迅速なリコール等の対応を検討する必要がある。
問23. 反訴の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 本訴の被告が、その訴訟手続内で原告に対して提起する訴え
- B. 反訴は本訴とは全く別個独立の訴訟としてしか提起できない
- C. 反訴は原告のみが提起できる制度である
- D. 反訴には本訴との関連性が一切要求されない
正解: A. 本訴の被告が、その訴訟手続内で原告に対して提起する訴え / 反訴は、本訴の被告が、本訴の手続の中で原告に対して提起する訴えであり、原則として本訴の目的である請求または防御の方法と関連する請求であることが要件とされる。同一の訴訟手続内で関連する紛争を一括して解決できる利点がある。
問24. 国際的な子の連れ去りに関するハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)の趣旨として最も適切なものはどれか。
- A. 一方の親による国境を越えた不法な子の連れ去りがあった場合に、原則として元の居住国への返還を実現するための国際協力の枠組み
- B. ハーグ条約は子の連れ去りを積極的に推奨する条約である
- C. ハーグ条約のもとでは子の返還は一切実現されない
- D. ハーグ条約は国内の子の監護紛争にのみ適用される
正解: A. 一方の親による国境を越えた不法な子の連れ去りがあった場合に、原則として元の居住国への返還を実現するための国際協力の枠組み / ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)は、一方の親による国境を越えた不法な子の連れ去りや留置があった場合に、原則として子を元の居住国に迅速に返還させることを通じて、子の利益を守るための国際協力の枠組みを定めた条約であり、日本も締結している。
問25. 訴訟における「弁論主義」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 裁判の基礎となる事実の主張・証拠の提出は当事者の権能・責任であり、裁判所は当事者が主張していない事実を判決の基礎とすることができない
- B. 弁論主義のもとでは裁判所が職権で自由に事実を認定してよい
- C. 弁論主義は刑事訴訟にのみ適用される原則である
- D. 弁論主義のもとでは当事者は一切事実を主張する必要がない
正解: A. 裁判の基礎となる事実の主張・証拠の提出は当事者の権能・責任であり、裁判所は当事者が主張していない事実を判決の基礎とすることができない / 弁論主義は、民事訴訟における判決の基礎となる事実の確定について、その主張及び証拠の収集・提出を当事者の権能かつ責任とする原則であり、裁判所は原則として当事者が主張していない事実を判決の基礎とすることができない(職権探知主義が妥当する人事訴訟等の例外もある)。
問26. 企業が反社会的勢力との関係を遮断するために整備すべき体制として最も適切なものはどれか。
- A. 反社会的勢力データベースの活用等による事前審査体制、契約書への反社条項の導入、対応マニュアルの整備
- B. 反社会的勢力との関係遮断は各従業員の個人的な判断のみに委ねればよい
- C. 反社会的勢力対応は警察のみが行うべきであり企業には一切の役割がない
- D. 反社条項を導入すれば事前審査体制は一切不要である
正解: A. 反社会的勢力データベースの活用等による事前審査体制、契約書への反社条項の導入、対応マニュアルの整備 / 企業の反社会的勢力対応としては、警察や暴力追放運動推進センター等が提供する情報の活用による取引前の事前審査体制の整備、契約書への反社条項の導入、不当要求があった場合の対応マニュアルの整備等、組織的な取り組みが求められる。
問27. 訴訟費用(訴訟に関する裁判所費用)の負担に関する原則として最も適切なものはどれか。
- A. 訴訟費用は原則として敗訴した当事者が負担する
- B. 訴訟費用は常に原告が全額負担しなければならない
- C. 訴訟費用の負担についての定めは一切存在しない
- D. 訴訟費用は勝訴当事者が常に負担する
正解: A. 訴訟費用は原則として敗訴した当事者が負担する / 民事訴訟法上、訴訟費用(印紙代等の裁判所手数料等)は原則として敗訴した当事者が負担するものとされている(弁護士費用は原則として各自負担であり、この訴訟費用とは別に扱われる点に留意)。
問28. family governance(ファミリーガバナンス)の考え方が中小企業の事業承継で重視される理由として最も適切なものはどれか。
- A. オーナー一族と会社経営の関係を整理し、将来の相続・事業承継を巡る一族内紛争を予防するため
- B. ファミリーガバナンスは上場企業のみに関係する概念である
- C. ファミリーガバナンスは事業承継とは全く無関係の概念である
- D. ファミリーガバナンスを整備すると相続税が完全に免除される
正解: A. オーナー一族と会社経営の関係を整理し、将来の相続・事業承継を巡る一族内紛争を予防するため / ファミリーガバナンスは、創業家(オーナー一族)と会社経営との関係を家族憲章等によって整理し、経営への関与のルールや将来の事業承継の方針を一族内であらかじめ共有しておくことで、相続・事業承継を巡る一族内紛争を予防し、円滑な世代交代を実現するための考え方として重視されている。
問29. 即決和解(訴え提起前の和解)の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 訴訟提起前に、当事者双方の合意内容について簡易裁判所に和解の申立てをし、和解調書に確定判決と同一の効力を持たせる手続
- B. 即決和解は訴訟提起後にのみ利用できる手続である
- C. 即決和解の調書には一切の執行力が認められない
- D. 即決和解は当事者間の合意が一切ない場合にも利用できる手続である
正解: A. 訴訟提起前に、当事者双方の合意内容について簡易裁判所に和解の申立てをし、和解調書に確定判決と同一の効力を持たせる手続 / 即決和解(訴え提起前の和解)は、既に当事者間で合意ができている内容について、訴訟を提起する前に簡易裁判所に和解の申立てを行い、その内容を和解調書に記載してもらう手続であり、成立した和解調書には確定判決と同一の効力(執行力を含む)が認められる。
問30. 仲裁合意(仲裁条項)を契約書に定める際の実務上の留意点として最も適切なものはどれか。
- A. 仲裁機関・仲裁地・仲裁言語・仲裁人の選任方法・適用ルール等を明確に定めておくこと
- B. 仲裁合意は口頭でのみ成立し書面化する必要はない
- C. 仲裁合意を定めると訴訟提起が完全に不可能になるため慎重に検討する必要は一切ない
- D. 仲裁合意には仲裁機関の指定は一切不要である
正解: A. 仲裁機関・仲裁地・仲裁言語・仲裁人の選任方法・適用ルール等を明確に定めておくこと / 契約書に仲裁条項を定める際は、どの仲裁機関の規則によるか、仲裁地はどこか、仲裁言語は何語か、仲裁人の選任方法等を明確に定めておくことが、後日の紛争解決手続を円滑に進めるために重要である(仲裁合意があると、原則として訴訟ではなく仲裁によって紛争を解決することになる)。
問31. サイバー攻撃を受けて個人データが漏えいした際に企業がとるべき対応として最も適切なものはどれか。
- A. 被害範囲の調査、個人情報保護委員会への報告、本人への通知、再発防止策の実施
- B. サイバー攻撃による漏えいは報告義務の対象外である
- C. 漏えいの事実は一切公表せず内密に処理すればよい
- D. サイバー攻撃対応は情報システム部門のみが単独で行えばよく経営陣の関与は不要である
正解: A. 被害範囲の調査、個人情報保護委員会への報告、本人への通知、再発防止策の実施 / サイバー攻撃等により個人データが漏えいした場合、企業は被害範囲の調査、個人情報保護法に基づく個人情報保護委員会への報告及び本人への通知、再発防止策の策定・実施を行う必要があり、経営陣を含めた全社的な危機管理体制での対応が求められる。
問32. 訴訟における「既判力」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 確定判決の判断内容について、当事者及び裁判所がこれに矛盾する主張・判断をすることを許さない拘束力
- B. 既判力は判決確定前から生じる効力である
- C. 既判力は第三者に対しても無制限に及ぶ効力である
- D. 既判力は判決の理由中の判断について無制限に生じる効力である
正解: A. 確定判決の判断内容について、当事者及び裁判所がこれに矛盾する主張・判断をすることを許さない拘束力 / 既判力は、確定判決における訴訟物についての判断内容について、後訴において当事者がこれに矛盾する主張をすることを許さず、裁判所もこれに矛盾する判断をすることができないとする拘束力であり、原則として判決主文中の判断についてのみ生じ、判決理由中の判断には及ばないとされる。
問33. 中小企業の株式評価における「類似業種比準方式」の考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 評価対象会社と事業内容が類似する上場会社の株価等を基準に、配当・利益・純資産の比較を通じて株式価値を算定する方式
- B. 類似業種比準方式は必ず純資産価額のみに基づいて評価する方式である
- C. 類似業種比準方式は上場会社の株式評価にのみ用いられる方式である
- D. 類似業種比準方式では会社の業種を一切考慮しない
正解: A. 評価対象会社と事業内容が類似する上場会社の株価等を基準に、配当・利益・純資産の比較を通じて株式価値を算定する方式 / 類似業種比準方式は、非上場株式の評価手法の一つであり、評価対象会社と事業内容が類似する業種の上場会社の株価をもとに、配当金額・利益金額・純資産価額の3要素を比較して株式の評価額を算定する方式であり、相続税・贈与税の財産評価等で用いられる。
問34. 民事訴訟における「弁護士費用の敗訴者負担」に関する現行の一般的な取扱いとして最も適切なものはどれか。
- A. 通常の民事訴訟では、弁護士費用は原則として各当事者が自ら負担し、訴訟費用として敗訴者に転嫁されない
- B. 弁護士費用は全ての民事訴訟で必ず敗訴者が負担する制度が確立している
- C. 弁護士費用の負担についてはいかなる例外も一切存在しない
- D. 弁護士費用は訴訟費用と全く同一の扱いを受ける
正解: A. 通常の民事訴訟では、弁護士費用は原則として各当事者が自ら負担し、訴訟費用として敗訴者に転嫁されない / 日本の通常の民事訴訟においては、弁護士費用は原則として各当事者が自ら負担するものとされ、訴訟費用(印紙代等)のように敗訴者に転嫁される扱いとはなっていない(ただし不法行為に基づく損害賠償請求訴訟等、判例上一定の場合に相当因果関係のある弁護士費用の一部が損害として認められる例はある)。
問35. 外国人従業員の労働関係に関する準拠法の考え方として最も適切なものはどれか。
- A. 当事者が労働契約の準拠法を選択できるが、労務提供地の強行法規による労働者保護が一定範囲で及ぶ
- B. 外国人従業員の労働契約には日本法が一切適用されない
- C. 労働契約の準拠法は労働者の国籍のみによって一律に決定される
- D. 国際的な労働契約には準拠法という概念自体が存在しない
正解: A. 当事者が労働契約の準拠法を選択できるが、労務提供地の強行法規による労働者保護が一定範囲で及ぶ / 法の適用に関する通則法上、労働契約についても当事者による準拠法の選択が認められるが、労働者保護の観点から、労務を提供すべき地の法(日本国内で就労する場合は日本法)の中の特に労働者保護に関する強行法規の定めを、労働者が主張することにより適用させることができる旨の特則が設けられている。
問36. 訴訟における「訴訟告知」の説明として最も適切なものはどれか。
- A. 訴訟の当事者が、その訴訟に利害関係を有する第三者に対し、訴訟が係属している事実を通知する手続
- B. 訴訟告知を受けた第三者は必ず訴訟に強制的に参加させられる
- C. 訴訟告知は当事者双方の合意がなければ一切行うことができない
- D. 訴訟告知には何らの法的効果も生じない
正解: A. 訴訟の当事者が、その訴訟に利害関係を有する第三者に対し、訴訟が係属している事実を通知する手続 / 訴訟告知は、訴訟の当事者が、その訴訟の結果について利害関係を有する第三者に対し、訴訟が係属している事実を通知する手続であり、告知を受けた第三者が訴訟に参加しなかった場合でも、一定の範囲で後の関連訴訟においてその判決の効力(参加的効力)を主張される可能性がある。
問37. コンプライアンス委員会(企業倫理委員会)を設置する意義として最も適切なものはどれか。
- A. 法令遵守・企業倫理に関する方針策定、内部通報事案の審議、再発防止策の検討等を組織的に行うこと
- B. コンプライアンス委員会は経営陣の意思決定を一切拘束しない形式的な機関にすぎない
- C. コンプライアンス委員会の設置は全ての企業に法律上一律に義務付けられている
- D. コンプライアンス委員会は取引先との価格交渉のみを行う機関である
正解: A. 法令遵守・企業倫理に関する方針策定、内部通報事案の審議、再発防止策の検討等を組織的に行うこと / コンプライアンス委員会(企業倫理委員会)は、法令遵守・企業倫理に関する社内方針の策定、内部通報を受けた事案の審議、不祥事発生時の再発防止策の検討等を組織的に行うために設置される社内機関であり、経営陣に対する牽制機能や、コンプライアンス体制の実効性確保に資する役割を担う。
問38. 中小企業の事業承継における「持株会社(ホールディングス)体制」の活用意義として最も適切なものはどれか。
- A. 事業会社の株式を持株会社に集約することで、後継者への経営権の承継や意思決定の一元化を図りやすくする
- B. 持株会社体制を採用すると相続税・贈与税が一切課されなくなる
- C. 持株会社体制は必ず複数の事業会社を有する大企業にのみ活用できる手法である
- D. 持株会社体制を採用すると事業承継の検討自体が一切不要になる
正解: A. 事業会社の株式を持株会社に集約することで、後継者への経営権の承継や意思決定の一元化を図りやすくする / 持株会社(ホールディングス)体制は、複数の事業会社の株式を1つの持株会社に集約することで、グループ全体の経営の意思決定を一元化するとともに、後継者は持株会社の株式・経営権のみを承継すれば足りるようになるなど、事業承継の場面でも活用される組織形態である。
問39. 調停前置主義が採用されている事件の例として最も適切なものはどれか。
- A. 夫婦関係調整(離婚)等の家事事件の一部
- B. 全ての民事訴訟事件に例外なく調停前置主義が採用されている
- C. 調停前置主義はいかなる事件類型にも一切採用されていない
- D. 調停前置主義は刑事事件にのみ採用されている考え方である
正解: A. 夫婦関係調整(離婚)等の家事事件の一部 / 調停前置主義は、離婚等の一定の家事事件について、訴訟提起の前に家庭裁判所での調停手続を経ることを原則として要求する制度であり、当事者間の話し合いによる自主的な解決を優先させる趣旨がある。全ての民事訴訟事件に一律に適用される制度ではない。
問40. 企業がリスクマネジメント体制を構築する際に実施する「リスクアセスメント」の内容として最も適切なものはどれか。
- A. 事業活動に伴う様々なリスクを洗い出し、発生可能性・影響度を評価して対応の優先順位を検討すること
- B. リスクアセスメントはリスクが顕在化した後にのみ実施すればよい事後的な作業である
- C. リスクアセスメントを実施すればあらゆるリスクの発生を完全に防止できる
- D. リスクアセスメントは財務リスクのみを対象とし法務・コンプライアンスリスクは対象外である
正解: A. 事業活動に伴う様々なリスクを洗い出し、発生可能性・影響度を評価して対応の優先順位を検討すること / リスクアセスメントは、事業活動に伴う様々なリスク(法務リスク、コンプライアンスリスク、財務リスク、レピュテーションリスク等)を洗い出し、それぞれの発生可能性や影響度を評価することで、限られた経営資源をどのリスク対応に優先的に振り向けるべきかを検討するプロセスであり、企業のリスクマネジメント体制の基礎となる。