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FP1級 相続・事業承継

24問 / トルカ(https://toruca.app)

  1. 1. 認知症対策や円滑な資産承継のために活用される「民事信託(家族信託)」の一般的な仕組みとして正しいものはどれか?

    • A. 委託者が信頼できる家族等(受託者)に財産の管理・処分を任せ、そこから生じる利益を受益者が受け取る仕組みで、委託者の判断能力低下後も財産管理を継続できる
    • B. 民事信託は必ず信託銀行にしか設定できない制度である
    • C. 民事信託を設定すると財産の所有権は完全に消滅し誰にも帰属しなくなる
    • D. 民事信託には受益者という概念が存在しない

    正解: A. 委託者が信頼できる家族等(受託者)に財産の管理・処分を任せ、そこから生じる利益を受益者が受け取る仕組みで、委託者の判断能力低下後も財産管理を継続できる民事信託(家族信託)は、委託者が家族等の受託者に財産の管理・処分を託し、そこから生じる利益を受益者(多くは委託者自身)が受け取る仕組みです。委託者の判断能力が低下(認知症等)した後も、あらかじめ定めた信託契約に基づき受託者が財産管理を継続できる点が、成年後見制度とは異なる特徴です。

  2. 2. 「受益者連続型信託」の活用例として最も適切なものはどれか?

    • A. 当初は本人を受益者とし、本人の死亡後は配偶者、配偶者の死亡後は特定の子など、複数世代にわたって受益者を指定して財産の承継順序をあらかじめ設計する
    • B. 受益者連続型信託では受益者を1人しか指定できない
    • C. この信託は委託者の死亡と同時に必ず終了しなければならない
    • D. 受益者連続型信託は遺言によって作成することが一切できない

    正解: A. 当初は本人を受益者とし、本人の死亡後は配偶者、配偶者の死亡後は特定の子など、複数世代にわたって受益者を指定して財産の承継順序をあらかじめ設計する受益者連続型信託は、当初受益者の死亡後に次の受益者を指定するなど、複数世代にわたる財産の承継順序をあらかじめ設計できる信託で、遺言では実現が難しい「後継ぎ遺贈」的な資産承継を可能にする手法として、事業承継や配偶者の生活保障などに活用されます。

  3. 3. 相続税における「連帯納付義務」の説明として正しいものはどれか?

    • A. 同一の被相続人から相続等により財産を取得した者は、原則として互いに、相続税額について一定の範囲内で連帯して納付する責任を負う
    • B. 連帯納付義務は各相続人が完全に独立して負うものであり、他の相続人の未納分の影響を一切受けない
    • C. 連帯納付義務は法人が相続人である場合にのみ適用される
    • D. 連帯納付義務は相続放棄をした者にも無制限に課される

    正解: A. 同一の被相続人から相続等により財産を取得した者は、原則として互いに、相続税額について一定の範囲内で連帯して納付する責任を負う相続税には、同一の被相続人から財産を取得した相続人等が、互いにその相続税について(取得した財産の価額を限度として)連帯して納付する責任を負う「連帯納付義務」があります。他の相続人が相続税を滞納した場合、自身が本来納めるべき税額を納付していても、連帯納付義務を追及される可能性がある点に注意が必要です。

  4. 4. 相続税の税務調査で問題となりやすい「名義預金」の判定に関する考え方として正しいものはどれか?

    • A. 預金の名義が家族であっても、実質的な資金の拠出者、管理・運用の状況、贈与の事実の有無等から、実質的に被相続人に帰属する財産と判断されれば相続財産に含まれる
    • B. 預金は名義人が誰であるかのみで所有者が確定的に決まり、実質的な管理状況は一切考慮されない
    • C. 名義預金の問題は生前贈与を行った場合には一切生じない
    • D. 名義預金と判定された預金は相続財産から常に除外される

    正解: A. 預金の名義が家族であっても、実質的な資金の拠出者、管理・運用の状況、贈与の事実の有無等から、実質的に被相続人に帰属する財産と判断されれば相続財産に含まれる名義預金とは、預金の名義は配偶者や子であっても、実質的な資金の拠出者や通帳・印鑑の管理状況等から見て、実質的な財産の帰属者が被相続人であると認められる預金を指します。名義だけで判断するのではなく実質を重視する「実質課税の原則」に基づき、相続税の税務調査で問題になりやすい論点です。

  5. 5. 相続開始前の一定期間内に、被相続人から相続人等が受けた生前贈与の財産を相続税の課税価格に加算する「生前贈与加算」の趣旨として正しいものはどれか?

    • A. 相続開始直前に多額の贈与を行うことで相続税を回避することを防ぎ、税負担の公平性を確保する
    • B. 生前贈与加算は全ての贈与について無期限に適用される制度である
    • C. 生前贈与加算の対象となった贈与財産に既に納めた贈与税は一切考慮されない
    • D. 生前贈与加算は法人からの贈与にのみ適用される

    正解: A. 相続開始直前に多額の贈与を行うことで相続税を回避することを防ぎ、税負担の公平性を確保する生前贈与加算は、相続開始前の一定期間内に相続人等が被相続人から受けた贈与財産を、相続税の課税価格に加算(持ち戻し)する制度で、相続開始直前の駆け込み贈与による相続税回避を防止し、税負担の公平性を確保する目的があります。加算対象となった財産について既に納付した贈与税額は、相続税額から控除(贈与税額控除)されます。

  6. 6. 「死因贈与」と「遺贈」の違いに関する説明として正しいものはどれか?

    • A. 死因贈与は贈与者と受贈者双方の合意(契約)に基づく贈与であるのに対し、遺贈は遺言者の単独の意思表示(遺言)によって行われる
    • B. 死因贈与と遺贈は全く同じ法的性質を持ち、区別する意味がない
    • C. 死因贈与には相手方の承諾は一切不要である
    • D. 遺贈は必ず生前に相手方との合意を得なければ行うことができない

    正解: A. 死因贈与は贈与者と受贈者双方の合意(契約)に基づく贈与であるのに対し、遺贈は遺言者の単独の意思表示(遺言)によって行われる死因贈与は贈与者の死亡によって効力が生じる「贈与契約」であり、贈与者と受贈者双方の合意(契約)を前提とします。一方、遺贈は遺言者の単独の意思表示(遺言)によって行われる点が異なります。ただし課税関係上は、死因贈与も遺贈と同様に相続税の課税対象となります。

  7. 7. 「遺言執行者」の役割として正しいものはどれか?

    • A. 遺言の内容を実現するために必要な行為(相続財産の管理、名義変更手続き等)を行う権限と義務を有する者
    • B. 遺言執行者は遺言の内容を自由に変更する権限を持つ
    • C. 遺言執行者は必ず相続人の中から選任しなければならない
    • D. 遺言執行者を指定すると遺留分の制約が一切なくなる

    正解: A. 遺言の内容を実現するために必要な行為(相続財産の管理、名義変更手続き等)を行う権限と義務を有する者遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な相続財産の管理その他遺言の執行に必要な行為をする権利義務を有する者で、遺言の中であらかじめ指定しておくことができます(弁護士や信託銀行等の専門家を指定するケースも多くあります)。

  8. 8. 中小企業の事業承継における主な選択肢として一般的に挙げられるものはどれか?

    • A. 親族内承継、親族外(役員・従業員等)承継、M&A(第三者への譲渡)の3つ
    • B. 事業承継の方法は親族内承継の1つしか存在しない
    • C. M&Aによる事業承継は法律上禁止されている
    • D. 従業員への承継という選択肢は制度上認められていない

    正解: A. 親族内承継、親族外(役員・従業員等)承継、M&A(第三者への譲渡)の3つ中小企業の事業承継の選択肢としては、後継者候補となる子や親族に承継させる「親族内承継」、役員や従業員に承継させる「親族外(従業員等)承継」、外部の第三者に会社を譲渡する「M&A」の3つが一般的に挙げられ、後継者不在の中小企業が増える中でM&Aの活用も広がっています。

  9. 9. 中小企業のM&Aで一般的に用いられる「株式譲渡」による事業承継の特徴として正しいものはどれか?

    • A. 会社の株式を譲渡することで経営権が移転し、会社の権利義務(許認可・契約関係等)は原則としてそのまま維持される
    • B. 株式譲渡では会社の資産の一部のみを個別に譲渡し会社自体は存続しない
    • C. 株式譲渡による事業承継では譲渡代金の授受という概念が一切ない
    • D. 株式譲渡は必ず事業譲渡と全く同一の法的効果を持つ

    正解: A. 会社の株式を譲渡することで経営権が移転し、会社の権利義務(許認可・契約関係等)は原則としてそのまま維持される株式譲渡は、会社の株式(経営権)を譲渡することで事業承継を実現する手法で、会社そのものは存続するため、既存の許認可や取引先との契約関係等が原則としてそのまま維持される点が、資産・負債を個別に移転する「事業譲渡」との大きな違いです。

  10. 10. M&Aの手法の一つである「事業譲渡」の特徴として正しいものはどれか?

    • A. 会社の事業に関する資産・負債・契約関係等を個別に選別して譲渡することができ、譲渡対象を限定できる柔軟性がある一方、契約上の地位の移転には個別に相手方の承諾が必要になる場合がある
    • B. 事業譲渡では会社の全ての資産・負債が自動的に包括承継される
    • C. 事業譲渡は株式譲渡と全く同じ手続きで完了する
    • D. 事業譲渡には譲渡する事業の範囲を限定するという概念が一切ない

    正解: A. 会社の事業に関する資産・負債・契約関係等を個別に選別して譲渡することができ、譲渡対象を限定できる柔軟性がある一方、契約上の地位の移転には個別に相手方の承諾が必要になる場合がある事業譲渡は会社の事業に関する資産・負債・契約等を個別に譲渡する手法で、譲渡する範囲を選別できる柔軟性がある一方、取引先との契約上の地位の移転などには個別に相手方の承諾を得る必要が生じる場合があり、株式譲渡(包括的に地位が移転)とは手続きの性質が異なります。

  11. 11. 後継者が先代経営者から株式を取得する資金を確保するため、会社が既存株主(相続人等)から自己株式を有償で取得する手法(自己株式の取得)が事業承継で活用される目的として正しいものはどれか?

    • A. 後継者以外の相続人が保有することになった株式を会社が買い取ることで、株式の分散を防ぎ後継者への議決権集中を図るとともに、売却した相続人に納税資金等をもたらす
    • B. 自己株式の取得は事業承継とは無関係の手法である
    • C. 自己株式を取得すると発行済株式総数が自動的に増加する
    • D. 自己株式の取得には会社法上の財源規制(分配可能額の制限)が一切存在しない

    正解: A. 後継者以外の相続人が保有することになった株式を会社が買い取ることで、株式の分散を防ぎ後継者への議決権集中を図るとともに、売却した相続人に納税資金等をもたらす相続により後継者以外の相続人が株式を取得してしまった場合、会社がその株式を自己株式として買い取ることで、株式の分散を防ぎ後継者への議決権集中を図るとともに、売却した相続人には現金(納税資金等)をもたらすことができます。ただし自己株式の取得には財源規制(分配可能額の範囲内であること等)の制約があります。

  12. 12. 遺産分割が完了する前でも、一定の範囲内で被相続人名義の預貯金の払戻しを受けられる制度の趣旨として正しいものはどれか?

    • A. 葬儀費用や当面の生活費など、遺産分割の終了を待たずに資金が必要となる相続人の需要に対応するため、一定の計算式の範囲内で単独での払戻しを認める
    • B. この制度を利用すると相続放棄が自動的に成立する
    • C. 払戻しを受けられる金額に上限は一切設定されていない
    • D. この制度は遺言がある場合には一切利用できない

    正解: A. 葬儀費用や当面の生活費など、遺産分割の終了を待たずに資金が必要となる相続人の需要に対応するため、一定の計算式の範囲内で単独での払戻しを認める遺産分割前の相続預金の払戻し制度は、葬儀費用の支払いや当面の生活費など、遺産分割の完了を待てない資金需要に対応するため、各相続人が家庭裁判所の判断を経ずに、一定の計算式(相続開始時の預金額×法定相続分×一定割合等)の範囲内で単独で払戻しを受けられる制度です。

  13. 13. 「配偶者居住権」の制度趣旨として正しいものはどれか?

    • A. 被相続人の配偶者が、それまで居住していた建物に、所有権を取得しなくても引き続き無償で住み続けられる権利を認め、他の遺産(預貯金等)も併せて確保しやすくする
    • B. 配偶者居住権は建物の所有権そのものを配偶者に移転する権利である
    • C. 配偶者居住権を取得すると配偶者は他の遺産を一切相続できなくなる
    • D. 配偶者居住権には存続期間という概念が一切ない

    正解: A. 被相続人の配偶者が、それまで居住していた建物に、所有権を取得しなくても引き続き無償で住み続けられる権利を認め、他の遺産(預貯金等)も併せて確保しやすくする配偶者居住権は、配偶者が自宅の「所有権」を取得しなくても、終身または一定期間、無償でその建物に住み続けられる権利(利用権)を認める制度です。所有権より評価額を抑えられるため、配偶者が自宅に住み続けながら、預貯金など他の遺産もあわせて相続しやすくする狙いがあります。

  14. 14. 相続開始後、遺産分割が完了するまでの間、相続財産が複数の相続人の「共有」状態にあることに関する説明として正しいものはどれか?

    • A. 各相続人は法定相続分(または指定相続分)に応じた共有持分を有し、遺産分割によって最終的な財産の帰属が確定する
    • B. 相続開始と同時に、財産は誰か1人の相続人に自動的に単独帰属する
    • C. 遺産共有状態では相続人は自己の共有持分を一切処分できない
    • D. 遺産分割協議が成立するまで相続財産は国庫に帰属する

    正解: A. 各相続人は法定相続分(または指定相続分)に応じた共有持分を有し、遺産分割によって最終的な財産の帰属が確定する相続が開始すると、遺産分割が完了するまでの間、相続財産は各相続人が法定相続分等に応じた持分を有する「共有」状態になります。遺産分割協議・調停・審判等を経て、最終的にどの財産を誰が取得するかが確定します。

  15. 15. 相続税の申告期限(原則、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割が確定していない場合の実務上の対応として一般的なものはどれか?

    • A. いったん法定相続分で相続したものと仮定して申告・納税を行い、後日遺産分割が確定した時点で修正申告や更正の請求により税額を精算する
    • B. 遺産分割が確定していなければ相続税の申告義務そのものが消滅する
    • C. 申告期限までに遺産分割が確定していない場合、相続税は永久に課されなくなる
    • D. この場合は必ず相続放棄をしなければならない

    正解: A. いったん法定相続分で相続したものと仮定して申告・納税を行い、後日遺産分割が確定した時点で修正申告や更正の請求により税額を精算する相続税の申告期限までに遺産分割が確定していない場合、実務上はいったん法定相続分で分割したものと仮定して申告・納税し(この場合、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は原則として適用できませんが、申告期限後3年以内の分割見込書を提出する等により事後的に適用を受けられる場合があります)、後日遺産分割が確定した段階で修正申告等により税額を精算する対応が一般的です。

  16. 16. 中小企業の事業承継を資金面で支援する公的な仕組みとして挙げられるものはどれか?

    • A. 日本政策金融公庫等による事業承継関連の低利融資制度や、信用保証協会による信用保証の特例等
    • B. 事業承継には公的な金融支援の仕組みが一切存在しない
    • C. 事業承継の資金調達は必ず自己資金のみで行わなければならない
    • D. 公的金融支援は上場企業のみを対象としている

    正解: A. 日本政策金融公庫等による事業承継関連の低利融資制度や、信用保証協会による信用保証の特例等中小企業の事業承継においては、日本政策金融公庫等による事業承継関連の低利融資制度、信用保証協会による信用保証の特例、地方自治体による補助金等、様々な公的金融支援の仕組みが用意されており、事業承継税制と組み合わせて活用されることがあります。

  17. 17. 「遺言代用信託」の活用イメージとして最も適切なものはどれか?

    • A. 委託者の生前は自らを受益者とし、委託者の死亡後は指定した家族等を新たな受益者とする信託契約を結ぶことで、遺言と同様の資産承継効果を、遺言よりも柔軟な形で実現する
    • B. 遺言代用信託を設定すると遺言書の作成が法律上禁止される
    • C. 遺言代用信託は必ず信託銀行以外では設定できない
    • D. 遺言代用信託には受益者の変更という概念が一切存在しない

    正解: A. 委託者の生前は自らを受益者とし、委託者の死亡後は指定した家族等を新たな受益者とする信託契約を結ぶことで、遺言と同様の資産承継効果を、遺言よりも柔軟な形で実現する遺言代用信託は、委託者生存中は委託者自身を受益者とし、委託者の死亡時に指定した家族等が新たな受益者となるよう設計する信託で、遺言と同様の資産承継効果を、より柔軟な条件設定(複数世代にわたる指定等)とともに実現できる手法として活用されます。

  18. 18. 1級レベルで求められる事業承継・相続プランニングの総合的な視点として最も適切なものはどれか?

    • A. 後継者選定、株式・財産の分配方法、税負担、納税資金の確保、遺留分への配慮、従業員や取引先への影響まで、経営面・法務面・税務面を横断して長期的に検討する
    • B. 事業承継プランニングは自社株の評価額を下げることのみを目的として行えばよい
    • C. 相続プランニングには後継者以外の相続人への配慮は一切不要である
    • D. 事業承継の検討は先代経営者の突然の死亡後に初めて着手すればよい

    正解: A. 後継者選定、株式・財産の分配方法、税負担、納税資金の確保、遺留分への配慮、従業員や取引先への影響まで、経営面・法務面・税務面を横断して長期的に検討する1級レベルの事業承継・相続プランニングでは、後継者の選定と育成、株式・財産の分配方法、税負担の最適化、納税資金の確保、遺留分への配慮、従業員・取引先への影響など、経営・法務・税務にまたがる要素を横断的に検討し、早期から長期的な視点で計画的に進めることが重要です。

  19. 19. 推定相続人が、被相続人の生前に自らの遺留分をあらかじめ放棄する「遺留分の事前放棄」の手続きとして正しいものはどれか?

    • A. 家庭裁判所の許可を得ることによって、被相続人の生前であっても遺留分を放棄することができる
    • B. 遺留分の事前放棄は当事者間の合意書のみで自由に行うことができ、裁判所の関与は一切不要である
    • C. 遺留分は生前・死後を問わず放棄すること自体が法律上一切認められていない
    • D. 遺留分の事前放棄をすると相続人としての地位も同時に失う

    正解: A. 家庭裁判所の許可を得ることによって、被相続人の生前であっても遺留分を放棄することができる遺留分は、被相続人の生前であっても家庭裁判所の許可を得ることで放棄することができます(許可なく本人の意思表示のみで放棄することはできません)。事業承継の場面で、後継者以外の推定相続人にあらかじめ遺留分を放棄してもらうことで、株式の分散を防ぐ対策として活用されることがあります。

  20. 20. 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)に基づく「遺留分に関する民法の特例」の内容として正しいものはどれか?

    • A. 後継者が先代経営者から贈与等を受けた自社株式について、推定相続人全員の合意のもとで遺留分算定の基礎財産から除外する(除外合意)、またはその評価額をあらかじめ固定する(固定合意)ことができる特例
    • B. この特例を利用すると遺留分制度そのものが完全に廃止される
    • C. この特例は上場企業にのみ適用される
    • D. 除外合意・固定合意には推定相続人全員の合意という要件は一切不要である

    正解: A. 後継者が先代経営者から贈与等を受けた自社株式について、推定相続人全員の合意のもとで遺留分算定の基礎財産から除外する(除外合意)、またはその評価額をあらかじめ固定する(固定合意)ことができる特例経営承継円滑化法に基づく遺留分に関する民法の特例では、後継者が贈与等を受けた自社株式について、推定相続人全員の合意と家庭裁判所の許可等を要件に、遺留分算定の基礎財産から除外する「除外合意」や、評価額をあらかじめ固定する「固定合意」を行うことができ、株式価値の上昇による遺留分侵害リスクや株式分散を防ぐ効果が期待されます。

  21. 21. 相続人ではない親族(例えば長男の配偶者等)が、被相続人の療養看護等に特別の貢献をした場合に金銭の支払いを請求できる「特別寄与料」制度の説明として正しいものはどれか?

    • A. 相続人ではない被相続人の親族が、無償で療養看護等を行い被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした場合に、相続人に対して金銭(特別寄与料)の支払いを請求できる制度
    • B. 特別寄与料制度により、寄与を行った親族は相続人としての地位を新たに取得する
    • C. 特別寄与料は相続人にのみ認められる制度であり相続人以外の親族には一切認められない
    • D. 特別寄与料の請求には期間の制限が一切ない

    正解: A. 相続人ではない被相続人の親族が、無償で療養看護等を行い被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした場合に、相続人に対して金銭(特別寄与料)の支払いを請求できる制度特別寄与料制度は、相続人ではない被相続人の親族(子の配偶者等)が、無償で療養看護等を行い被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした場合に、相続人に対して金銭の支払い(特別寄与料)を請求できる制度です。相続人としての地位を取得するわけではなく、あくまで金銭請求権にとどまります。

  22. 22. 生命保険と信託の機能を組み合わせた「生命保険信託」の活用イメージとして最も適切なものはどれか?

    • A. 死亡保険金を受け取った信託会社等が、あらかじめ定めた条件に従って受取人(未成年の子や障がいのある家族等)に計画的に資金を交付できるようにする仕組み
    • B. 生命保険信託を利用すると保険金に対する課税が完全に非課税になる
    • C. 生命保険信託は保険金を一括で受取人に交付すること以外の機能を持たない
    • D. 生命保険信託は法人にのみ活用できる仕組みである

    正解: A. 死亡保険金を受け取った信託会社等が、あらかじめ定めた条件に従って受取人(未成年の子や障がいのある家族等)に計画的に資金を交付できるようにする仕組み生命保険信託は、死亡保険金の受取り及びその後の資金管理を信託の仕組みと組み合わせることで、受取人が未成年者や障がいのある家族などの場合に、信託会社等があらかじめ定めた条件(分割交付等)に従って計画的に資金を交付できるようにする仕組みで、受取人の生活保障の実効性を高める活用法として注目されています。

  23. 23. 認知症対策における「家族信託(民事信託)」と「成年後見制度」の一般的な使い分けの考え方として正しいものはどれか?

    • A. 家族信託は財産の管理・処分を柔軟に設計しやすい一方、身上監護(施設入所契約等の法律行為)は対象外であるため、必要に応じて成年後見制度と組み合わせて活用されることがある
    • B. 家族信託と成年後見制度は全く同じ機能を持つため、いずれか一方のみを選択すればどちらも不要になる
    • C. 成年後見制度は財産管理を一切行うことができない制度である
    • D. 家族信託を利用すると身上監護の機能も自動的に全て代替できる

    正解: A. 家族信託は財産の管理・処分を柔軟に設計しやすい一方、身上監護(施設入所契約等の法律行為)は対象外であるため、必要に応じて成年後見制度と組み合わせて活用されることがある家族信託は財産の管理・処分について委託者の意向を柔軟に反映しやすい一方、施設入所契約などの身上監護に関する法律行為は信託の対象外であるため、身上監護面のサポートが必要な場合は成年後見制度(特に任意後見制度)と組み合わせて活用することが多いとされます。

  24. 24. 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」が定める主な支援策として適切なものを全て選べ。

    • A. 事業承継税制(非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予)
    • B. 遺留分に関する民法の特例(除外合意・固定合意)
    • C. 事業承継に関連する金融支援措置(低利融資・信用保証の特例等)
    • D. 労働基準法における残業時間の上限規制

    正解: A・B・C経営承継円滑化法は、事業承継税制、遺留分に関する民法の特例、事業承継に関連する金融支援措置の3つを大きな柱として、中小企業の円滑な事業承継を総合的に支援する法律です。労働基準法の残業時間規制はこの法律とは別の労働法制の枠組みです。