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1級 特殊論点(資産除去債務・会計上の変更・ABC)
全22問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 資産除去債務の会計処理として正しいものはどれか?
- A. 有形固定資産の取得時等に、除去に要する将来キャッシュ・フローの割引現在価値を負債計上し、同額を関連する有形固定資産の帳簿価額に加算する
- B. 除去が実際に発生した時点で一括して費用処理する
- C. 資産除去債務は注記のみで、貸借対照表には計上しない
- D. 除去費用の見積額の全額を取得時に一括して費用計上する
正解: A. 有形固定資産の取得時等に、除去に要する将来キャッシュ・フローの割引現在価値を負債計上し、同額を関連する有形固定資産の帳簿価額に加算する / 資産除去債務会計基準:有形固定資産の取得・建設・開発等の時に、除去に要する割引後将来キャッシュ・フローを負債として計上し、同額を関連する有形固定資産の取得原価に加算する(資産計上)。加算額はその資産の残存耐用年数にわたり減価償却する。
問2. X1年期首に機械装置(本体価格8,000,000円)を取得した。使用後5年目に除去に必要な支出を見積もり、割引率3%で割り引いた現在価値は1,000,000円であった。取得時における機械装置の貸借対照表計上額(取得原価)はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 取得原価 = 本体価格 + 資産除去債務の当初計上額(現在価値)
正解: 9000000円 / 資産除去債務の当初計上額(現在価値1,000,000円)を、関連する有形固定資産の取得原価に加算する。8,000,000+1,000,000=9,000,000円。
問3. 資産除去債務の当初計上額が1,000,000円、割引率3%の場合、1年経過後(X1年度末)の資産除去債務の帳簿価額(利息費用調整後)はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 利息費用 = 期首帳簿価額 × 割引率。帳簿価額 = 期首帳簿価額 + 利息費用
正解: 1030000円 / 利息費用=1,000,000×3%=30,000円。時の経過により資産除去債務は割引前の金額に近づいていくため、この調整額を「利息費用」として毎期費用計上する。帳簿価額=1,000,000+30,000=1,030,000円。
問4. 資産除去債務に関する記述として正しいものを全て選べ。
- A. 資産計上された除去費用相当額は、関連する有形固定資産と同様に減価償却を通じて費用配分される
- B. 時の経過による資産除去債務の増加額は「利息費用」として損益計算書に計上する
- C. 資産除去債務の見積りに重要な変更が生じた場合は、見直し後の割引率等で再計算する
- D. 資産除去債務は将来の除去支出を見積る必要がないため、実務上は計上を省略できる
正解: A・B・C / ①除去費用相当額は資産計上後、関連資産とともに減価償却②時の経過による調整額は利息費用として費用計上③将来キャッシュ・フローの見積りに重要な変更があれば見直しを行う。④は誤り(合理的に見積り可能な場合は必ず計上が必要)。
問5. 会計上の変更及び誤謬の訂正における3つの区分と、その会計処理を正しく組み合わせよ。
- 会計方針の変更 ー ( )
- 会計上の見積りの変更 ー ( )
- 過去の誤謬の訂正 ー ( )
正解: 会計方針の変更→遡及適用(新方針を過去に遡って適用し、比較財務諸表を修正再表示する)、会計上の見積りの変更→将来にわたって処理(遡及処理はせず、変更後の期間から新しい見積りを反映する)、過去の誤謬の訂正→修正再表示(誤りを訂正し、比較財務諸表を修正する) / 企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の3区分。会計方針の変更と誤謬の訂正は原則として遡及的に処理(比較財務諸表を修正)するが、見積りの変更は遡及処理せず将来に向けて反映する点が最大の違い。
問6. 有形固定資産の耐用年数を10年から8年に変更した場合の会計処理として正しいものはどれか?
- A. 会計上の見積りの変更として、変更後の期間から新しい耐用年数に基づき減価償却費を計算する(将来にわたって処理)
- B. 過去に遡って耐用年数10年時の減価償却費を8年基準に修正再表示する
- C. 誤謬として過去の財務諸表を訂正する
- D. 変更年度に一括して差額を特別損失として計上する
正解: A. 会計上の見積りの変更として、変更後の期間から新しい耐用年数に基づき減価償却費を計算する(将来にわたって処理) / 耐用年数の変更は「会計上の見積りの変更」に該当する。見積りの変更は遡及処理を行わず、変更が生じた期以後の期間の財務諸表に新しい見積りを反映させる(将来にわたって処理)。
問7. 過去の決算において、費用の計上漏れ(誤謬)が発見された場合の処理として正しいものはどれか?
- A. 発見した年度の財務諸表に一括して過年度損益修正として計上する
- B. 修正再表示(比較財務諸表を遡って修正し、表示期間より前の誤謬は期首利益剰余金を修正)を行う
- C. 会計上の見積りの変更として将来にわたって処理する
- D. 重要性が乏しければ訂正を行わなくてよい(重要性の低いものは常に無視できる)
正解: B. 修正再表示(比較財務諸表を遡って修正し、表示期間より前の誤謬は期首利益剰余金を修正)を行う / 過去の誤謬は「修正再表示」により処理する。比較年度の財務諸表を遡って修正し、表示期間より前に生じた誤謬の累積的影響額は、表示する財務諸表のうち最も古い期間の期首の資産・負債及び純資産(利益剰余金等)の額に反映させる。
問8. 会計上の変更に関する記述として正しいものを全て選べ。
- A. 会計方針の変更と会計上の見積りの変更を区別することが困難な場合には、会計上の見積りの変更と同様に将来にわたって処理する
- B. 正当な理由による会計方針の変更は、遡及適用による影響額を財務諸表に反映する
- C. 会計方針の変更は、いかなる場合も禁止されている
- D. 会計上の見積りの変更は、原則として損益計算書上「特別損失」として一括計上する
正解: A・B / ①区別が困難な場合は見積りの変更と同様に将来にわたって処理する(実務上の配慮)②正当な理由がある会計方針の変更は遡及適用する。③会計方針の変更自体は正当な理由があれば認められる。④見積りの変更は特別損失への一括計上ではなく、影響を受ける期間に通常の方法で反映させる。
問9. 活動基準原価計算(ABC: Activity-Based Costing)の主な目的として最も適切なものはどれか?
- A. 製造間接費を「活動」ごとに集計し、活動ごとのコストドライバーに基づいて製品に配賦することで、より正確な製品原価を算定する
- B. 全ての原価を直接作業時間のみで配賦し、計算を簡素化する
- C. 変動費と固定費を区別せずに一括管理する
- D. 材料費の計算を省略して労務費だけで製品原価を求める
正解: A. 製造間接費を「活動」ごとに集計し、活動ごとのコストドライバーに基づいて製品に配賦することで、より正確な製品原価を算定する / ABC:製造間接費を段取・検査・購買等の「活動(アクティビティ)」単位でコストプールに集計し、それぞれの活動を最も適切に説明する「コストドライバー」(段取回数・検査時間・発注回数等)で製品に配賦する手法。多品種少量生産で伝統的な単一配賦基準(直接作業時間等)よりも正確な原価計算が可能。
問10. ABC(活動基準原価計算)と伝統的な原価計算の違いとして正しいものを全て選べ。
- A. 伝統的原価計算は直接作業時間・機械時間など単一の配賦基準を用いることが多い
- B. ABCは複数のコストドライバーを用いて活動ごとに配賦するため、多品種少量生産でより正確な原価計算ができる
- C. ABCを導入すると、少量生産品の製造間接費が過小に配賦されやすくなる
- D. 伝統的原価計算では、少量生産の複雑な製品ほど間接費が過小評価されやすい傾向がある
正解: A・B・D / ①伝統的手法は単一基準(操業度関連)が多い②ABCは複数コストドライバーで活動ごとに配賦し精度向上③は誤り(ABCは少量生産品の段取・検査等の負荷を適切に反映するため、むしろ少量生産品への配賦が「増える」傾向がある)④伝統的手法では少量生産の複雑な製品ほど段取・検査等の負荷が過小評価されやすい。
問11. 段取活動のコストプールが600,000円、全社の段取回数の合計が100回、製品Aの段取回数が15回の場合、製品AへのABCによる段取コスト配賦額はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 配賦率 = コストプール ÷ 総コストドライバー数。配賦額 = 配賦率 × 製品Aのコストドライバー数
正解: 90000円 / 段取1回あたりの配賦率=600,000円÷100回=@6,000円。製品Aへの配賦額=@6,000×15回=90,000円。段取という「活動」の負荷(段取回数)に基づいて配賦するのがABCの考え方。
問12. 検査活動のコストプールが900,000円、全社の検査時間の合計が450時間、製品Bの検査時間が60時間の場合、製品BへのABCによる検査コスト配賦額はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 配賦率 = コストプール ÷ 総検査時間。配賦額 = 配賦率 × 製品Bの検査時間
正解: 120000円 / 検査1時間あたりの配賦率=900,000円÷450時間=@2,000円。製品Bへの配賦額=@2,000×60時間=120,000円。
問13. ABCにおける「コストドライバー」の説明として最も適切なものはどれか?
- A. 活動別に集計された原価(コストプール)を製品等に配賦する際の基準となる要因(段取回数・検査時間・発注回数等)
- B. 製造間接費の総額そのもの
- C. 直接材料費と直接労務費の合計額
- D. 製品の販売価格を決定する要因
正解: A. 活動別に集計された原価(コストプール)を製品等に配賦する際の基準となる要因(段取回数・検査時間・発注回数等) / コストドライバー:活動ごとに集計されたコスト(コストプール)を製品に配賦するための基準となる要因。活動の発生原因・負荷を最もよく表す指標(段取回数、検査時間、発注回数、機械稼働時間等)が選ばれる。
問14. ABC(活動基準原価計算)の導入に関して正しいものを全て選べ。
- A. 製品別の原価をより正確に把握でき、価格決定や製品ミックスの意思決定に有用な情報を提供する
- B. コストドライバーの識別・データ収集に手間とコストがかかる
- C. ABCを導入すれば、原価計算にかかる事務コストは必ず伝統的な方法より安くなる
- D. 間接費の配分が活動の実態に近づくため、多品種少量生産の企業で特に有用性が高い
正解: A・B・D / ①②④は正しい記述。③は誤り:ABCは活動・コストドライバーの識別やデータ収集に相応の手間とコストがかかるため、必ずしも伝統的な方法よりも事務コストが安くなるとは限らない(精度向上とコストのトレードオフ)。
問15. 工事請負金額10,000,000円、工事原価総額の見積り8,000,000円、当期末までの発生原価累計額2,400,000円の場合、原価比例法による工事の進捗度は何%か?
単位: % / ヒント: 進捗度 = 発生原価累計額 ÷ 工事原価総見積額 × 100
正解: 30% / 進捗度=2,400,000÷8,000,000×100=30%。原価比例法は、発生原価の累計額が総見積原価に占める割合を工事の進捗度とみなす、最も一般的な進捗度の見積り方法。
問16. 工事請負金額10,000,000円、原価比例法による進捗度が当期末で30%(前期末までの進捗度は0%)の場合、当期に認識すべき工事収益はいくらか?
単位: 円 / ヒント: 当期認識収益 = 工事請負金額 × 当期末の進捗度(前期までに認識済みの収益があれば差し引く)
正解: 3000000円 / 当期工事収益=10,000,000×30%=3,000,000円。工事進行基準(一定期間にわたる収益認識)では、進捗度に応じて工事収益・工事原価を各期に配分して認識する。
問17. 工事契約について、工事原価総額の見積りが工事収益総額を超過することが明らかになった場合の処理として正しいものはどれか?
- A. 赤字が見込まれる将来の損失部分について、工事損失引当金を計上する
- B. 工事が完了するまで損失の認識を待つ(完成時に一括して損失計上する)
- C. 工事収益総額を見積原価と同額まで増額修正する
- D. 何も処理せず、注記のみを行う
正解: A. 赤字が見込まれる将来の損失部分について、工事損失引当金を計上する / 工事原価総額の見積りが工事収益総額を超え、損失の発生が見込まれる場合には、その超過すると見込まれる額のうち、当期の負担に属さない額を「工事損失引当金」として計上する(保守主義・実現主義に基づき将来の損失を早期に認識)。
問18. 建設業の工事契約が「一定の期間にわたり充足される履行義務」に該当するための要件として適切なものはどれか?
- A. 顧客が便益を享受しながら履行が進行する、または顧客の管理下にある資産の増大・完成に伴い履行が進行し、企業が完了した部分について対価を受け取る強制力ある権利を有する
- B. 工事契約の契約金額が一定額を超えること
- C. 工事期間が3年を超えること
- D. 顧客が前払金を支払っていること
正解: A. 顧客が便益を享受しながら履行が進行する、または顧客の管理下にある資産の増大・完成に伴い履行が進行し、企業が完了した部分について対価を受け取る強制力ある権利を有する / 収益認識基準では、①顧客が便益を享受しながら履行が進行する②顧客が資産を支配しながら創出・増価する③他に転用できない資産が創出され、完了部分の対価を受け取る強制力ある権利を有する、のいずれかに該当する場合に「一定の期間にわたり充足される履行義務」として進捗度に応じた収益認識(工事進行基準に相当)を行う。
問19. 資産除去債務は貸借対照表上どのように区分表示されるか?
- A. 資産除去の履行時期に応じて、1年以内に履行される部分は流動負債、それ以外は固定負債に区分する
- B. 常に流動負債として表示する
- C. 常に固定負債として表示する
- D. 純資産の部にマイナス表示する
正解: A. 資産除去の履行時期に応じて、1年以内に履行される部分は流動負債、それ以外は固定負債に区分する / 資産除去債務は他の負債と同様、1年基準(ワン・イヤー・ルール)に従い、決算日の翌日から1年以内に履行が見込まれる部分は流動負債、それ以外は固定負債(通常は「資産除去債務」等の科目)に区分表示する。
問20. ABC(活動基準原価計算)に関する用語とその内容を正しく組み合わせよ。
- 活動(アクティビティ) ー ( )
- コストプール ー ( )
- コストドライバー ー ( )
正解: 活動(アクティビティ)→段取・検査・購買・材料運搬など、原価が発生する業務単位、コストプール→活動ごとに集計された製造間接費の集合、コストドライバー→コストプールを製品に配賦するための基準(段取回数・検査時間等) / ABCの基本用語:①活動=原価発生の単位となる業務②コストプール=活動ごとに集計した間接費③コストドライバー=配賦基準。「活動→コストプールに集計→コストドライバーで配賦」という3段階の流れで製品原価を計算する。
問21. 資産除去債務を計上した有形固定資産に関する記述として正しいものを全て選べ。
- A. 資産除去債務に対応する資産計上額を含めた帳簿価額をもとに、減価償却を行う
- B. 減損の兆候の判定においても、資産除去債務の資産計上額を含めた帳簿価額を用いる
- C. 資産除去債務は税務上、常に会計上と全く同額の負債として損金算入される
- D. 資産除去債務の見積りを変更した場合、変更した年度以降の資産の帳簄価額・減価償却費に影響する
正解: A・B・D / ①②資産除去債務対応額を含む帳簿価額で減価償却・減損判定を行う④見積り変更時は、変更時点の残存耐用年数にわたって新たな帳簄価額を配分し直す。③は誤り:税務上の損金算入時期・要件は会計上の処理と必ずしも一致しない(税効果会計の対象となることが多い)。
問22. 会計方針の変更を行う場合に求められる「正当な理由」として適切でないものはどれか?
- A. 単に利益を増加させたいという理由だけで変更すること
- B. 会計基準の改正に伴う変更
- C. より合理的な会計処理方法への変更(取引の実態をより適切に反映する等)
- D. 経営環境の変化に伴い、より適切な会計処理への変更
正解: A. 単に利益を増加させたいという理由だけで変更すること / 会計方針の変更には「正当な理由」が必要。単に利益操作を目的とした変更は認められない。会計基準の改正への対応や、より合理的で取引実態を適切に反映する処理への変更は正当な理由として認められる。