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1級 企業結合・包括利益・後発事象
全28問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 企業結合の種類と内容を正しく組み合わせよ。
- 吸収合併 ー ( )
- 吸収分割 ー ( )
- 株式交換 ー ( )
- 株式移転 ー ( )
正解: 吸収合併→被合併会社が消滅し、合併会社が全資産・負債を引継ぐ、吸収分割→会社の事業を他の会社(既存)に移転する、株式交換→完全親子会社関係を作るための株式の交換、株式移転→完全親会社(ホールディングス)を新設する / 企業結合: 合併(吸収・新設)・会社分割(吸収・新設)・株式交換・株式移転・株式取得等。各手法で法的・会計的な処理が異なる。
問2. 現行の企業会計基準で定める企業結合の唯一認められる方法はどれか?
- A. 取得法(パーチェス法)
- B. 持分プーリング法
- C. 時価法
- D. 帳簿価額法
正解: A. 取得法(パーチェス法) / 2008年以降の改正で持分プーリング法は原則廃止。現在は取得法(パーチェス法)のみが認められる(共同支配企業の形成・共通支配下取引は例外)。
問3. 取得法において「取得企業」の識別基準として最も重要なものはどれか?
- A. 企業結合後に他の結合当事企業を支配する企業(支配力の移転)
- B. 規模が大きい企業
- C. 株式交付側の企業
- D. キャッシュを支払った企業
正解: A. 企業結合後に他の結合当事企業を支配する企業(支配力の移転) / 取得企業: 結合後にグループ全体を実質的に支配する企業。判断基準: 議決権の過半数・取締役会支配・事業資産・売上規模・経営者の役職等を総合考慮。
問4. A社がB社を株式交換で取得。A社株式(交付株数1,000株、時価5,000円/株)を交付。B社純資産(識別可能資産の公正価値)4,000,000円。のれんはいくらか?
単位: 円 / ヒント: 取得原価 = 交付株式の時価。のれん = 取得原価 - 識別可能純資産公正価値
正解: 1000000円 / 取得原価 = 1,000株×5,000円 = 5,000,000円。のれん = 5,000,000-4,000,000 = 1,000,000円。株式交付の場合は交付した株式の時価が取得原価。
問5. 取得法において識別可能資産・負債はどのように評価するか?
- A. 取得日の公正価値(時価)で評価する
- B. 被取得企業の帳簿価額で引き継ぐ
- C. 取得企業の帳簿価額で評価する
- D. 公正価値と帳簿価額の平均値
正解: A. 取得日の公正価値(時価)で評価する / 取得法では被取得企業の識別可能資産・負債を取得日の公正価値(時価)で評価する。これが「リセット効果」と呼ばれ、帳簿価額との差額は連結調整として計上。
問6. 企業結合において「識別可能無形資産」として個別認識すべきものを全て選べ。
- A. 顧客リスト・顧客関係
- B. ブランド・商標権
- C. 特許権・技術ノウハウ
- D. 「のれん」として一括処理すべき超過収益力全般
- E. 非競争契約・フランチャイズ契約
正解: A・B・C・E / 取得法では超過収益力のうち識別可能なもの(顧客関係・ブランド・特許・契約等)は個別に無形資産として計上。分離できない超過収益力(コア超過収益力)がのれんとなる。
問7. IFRS上ののれんの減損テストで使用される「CGU(資金生成単位)」の概念として正しいものはどれか?
- A. 他の資産や資産グループから独立した最小単位のキャッシュフロー生成グループ
- B. 製品ラインごとの収益単位
- C. 法人(子会社)単位
- D. 固定資産ごとの個別単位
正解: A. 他の資産や資産グループから独立した最小単位のキャッシュフロー生成グループ / CGU(Cash Generating Unit): 他から独立した最小のCF生成グループ。IFRSではのれんをCGUに配分し、毎期減損テスト実施(日本基準は20年償却+兆候があれば減損テスト)。
問8. A社がB社を吸収合併する際の数値を計算せよ。(単位: 万円)
(財務諸表完成型の問題のため、印刷用の詳細レイアウトは省略します。Web版でご確認ください)
正解: B社識別可能純資産の公正価値(資産2,500-負債1,200)=1300、のれん(取得原価-識別可能純資産公正価値)=200 / 識別可能純資産公正価値 = 2,500-1,200 = 1,300万円。のれん = 1,500-1,300 = 200万円。合併後A社は公正価値2,500万円で資産引継ぎ+のれん200万円を計上。
問9. 事業を他の会社に移転する「事業分離」において、分離元企業が移転した事業の帳簿価額と受取対価の差額をどう処理するか?
- A. 差額を事業分離損益(特別損益)としてP/Lに計上する
- B. 差額を純資産直入する
- C. 差額を繰延処理する
- D. 差額は生じない(時価と帳簿価額は常に一致)
正解: A. 差額を事業分離損益(特別損益)としてP/Lに計上する / 事業分離(分離元): 移転資産・負債の帳簿価額と受取対価(株式の時価や現金)の差額→事業分離損益(特別損益)。株式を受取る場合は受取株式を時価で計上。
問10. 事業分離の形態と分離元の会計処理を正しく組み合わせよ。
- 現金を受取る事業分離 ー ( )
- 子会社(関係会社)化を伴わない株式交換 ー ( )
- 子会社株式を受取る事業分離 ー ( )
正解: 現金を受取る事業分離→移転損益(=現金-純資産帳簿)をP/Lに計上、子会社(関係会社)化を伴わない株式交換→受取株式を時価計上、差額をP/Lに計上、子会社株式を受取る事業分離→原則として移転損益を認識しない(帳簿価額で引継ぎ) / 現金対価→損益認識あり。子会社化しない株式→時価で認識→損益発生。子会社化(子会社株式取得)→連結一体として処理→損益認識せず。
問11. 親会社が子会社Aの事業を別の子会社Bに移転する「共通支配下取引」の会計処理として正しいものはどれか?
- A. 帳簿価額で事業を引き継ぎ、移転損益は認識しない
- B. 公正価値で引き継ぎ、差額をのれんとして計上
- C. 取得法に準じた処理を行う
- D. 同一親会社下でも通常の企業結合と同様に処理
正解: A. 帳簿価額で事業を引き継ぎ、移転損益は認識しない / 共通支配下取引(グループ内再編): 最終的な支配関係が変わらないため、帳簿価額で処理し移転損益は認識しない(取得法の適用外)。連結上は消去される取引。
問12. 「包括利益」の定義として正しいものはどれか?
- A. 当期純利益とその他の包括利益(OCI)の合計(資本取引以外の純資産変動)
- B. 営業利益と金融損益の合計
- C. 連結当期純利益のみ
- D. 税引前当期純利益
正解: A. 当期純利益とその他の包括利益(OCI)の合計(資本取引以外の純資産変動) / 包括利益 = 当期純利益 + その他の包括利益(OCI)。OCIは未実現の価値変動(有証評価差額・為替換算調整・退職給付調整等)。資産負債アプローチの利益概念。
問13. 「その他の包括利益(OCI)」に含まれる項目を全て選べ。
- A. その他有価証券評価差額金(税効果後)
- B. 為替換算調整勘定(在外子会社)
- C. 退職給付に係る調整額(連結のみ)
- D. 繰越利益剰余金の増加
- E. 繰延ヘッジ損益
正解: A・B・C・E / OCI(その他の包括利益): その他有証評価差額・為替換算調整・退職給付調整額・繰延ヘッジ損益が含まれる。繰越利益剰余金の増加は当期純利益(OCIではない)。
問14. 包括利益の「組替調整(リサイクリング)」について正しいものはどれか?
- A. 過去にOCIに計上した損益が実現した際にP/Lに振り替えること
- B. 当期純利益を包括利益に組み替えること
- C. OCIをB/Sから削除すること
- D. IFRSではリサイクリングが禁止されている
正解: A. 過去にOCIに計上した損益が実現した際にP/Lに振り替えること / 組替調整(リサイクリング): その他有証を売却した際、OCIから当期純利益へ振替(再分類)。過去の未実現損益が実現した時点でP/Lに計上される。IFRSはリサイクリングを認める。
問15. 当期純利益500万円、その他有証評価差額70万円(税効果後)、為替換算調整勘定△30万円のとき、包括利益はいくらか?
単位: 万円
正解: 540万円 / 包括利益 = 当期純利益500 + OCI(70-30) = 500+40 = 540万円。
問16. 後発事象の種類と会計処理を正しく組み合わせよ。
- 修正後発事象 ー ( )
- 開示後発事象 ー ( )
正解: 修正後発事象→決算日現在の状態を確認・改善する事象→財務諸表を修正する、開示後発事象→決算日後に新たに発生した重要事象→注記で開示する(数値修正なし) / 修正後発事象例: 決算日前の訴訟が決算後に確定(引当金の修正)。開示後発事象例: 大規模災害・子会社の売却・新規借入等(決算日後の新規事象、注記のみ)。
問17. 「修正後発事象」に該当するものを全て選べ。
- A. 決算日前から継続していた訴訟が決算後に確定した(引当金の修正が必要)
- B. 得意先が決算日後に倒産した(決算日前から財政悪化が判明していた)
- C. 決算日後に大規模な自然災害が発生した
- D. 決算日前に計上した棚卸資産の正味実現可能価額が決算後に低下した
- E. 決算日後に大型合併を公表した
正解: A・B / 修正後発事象: 決算日現在の状態の確認(①判決確定で決算日の不確実性解消、②倒産は決算日前からの事象)。大規模災害・合併公表・価格低下(決算後)は開示後発事象。
問18. 後発事象として開示すべき期間はいつからいつまでか?
- A. 財務諸表の決算日の翌日から財務諸表の発行承認日まで
- B. 前期末から当期末まで
- C. 当期中のみ
- D. 財務諸表公表後も継続して開示する
正解: A. 財務諸表の決算日の翌日から財務諸表の発行承認日まで / 後発事象の対象期間: 決算日の翌日〜財務諸表の発行承認日(監査・取締役会承認等)まで。この期間に発生した重要な事象を検討する。
問19. セグメント情報の開示目的として最も適切なものはどれか?
- A. 投資家が企業の事業別・地域別パフォーマンスを評価できるよう詳細情報を提供する
- B. 税務署への申告を分かりやすくするため
- C. 内部管理資料として使用するため
- D. 競合他社との比較を防ぐため
正解: A. 投資家が企業の事業別・地域別パフォーマンスを評価できるよう詳細情報を提供する / セグメント情報: 多角化・グローバル企業の事業別収益・利益・資産を開示。投資家が各事業のリスク・収益性を評価し、将来予測を行うための情報提供が目的。
問20. セグメント情報の識別方法「マネジメント・アプローチ」について正しいものを全て選べ。
- A. 経営者が内部管理目的で使用するセグメント区分を基にして開示する
- B. 外部から見た製品・地域の区分で画一的に定める
- C. 業種別に監査基準が定めた区分を使用する
- D. 量的閾値(売上・利益・資産の10%基準)を満たすセグメントを開示
- E. 事業部長等への報告がされているセグメントが基本単位
正解: A・D・E / マネジメント・アプローチ: ①経営者が内部報告に使うセグメント区分を採用②最高経営意思決定者への報告ベース③量的閾値(売上・利益・資産が10%以上)で開示対象を絞る。
問21. 棚卸資産の「売価還元原価法」の特徴として正しいものはどれか?
- A. 期末棚卸の売価合計に原価率を掛けて期末棚卸資産の原価を算定する(小売業に適合)
- B. 各商品の取得原価を個別に記録する
- C. 先入先出法の一種
- D. 棚卸資産を時価で評価する方法
正解: A. 期末棚卸の売価合計に原価率を掛けて期末棚卸資産の原価を算定する(小売業に適合) / 売価還元原価法: 期末在庫の売価総額×原価率(=期首原価+当期仕入÷期首売価+当期仕入売価)で原価を逆算。多品種・大量の小売業(スーパー・百貨店)で実務的に採用。
問22. 期首商品: 原価100万円・売価140万円。当期仕入: 原価500万円・売価700万円。原価率はいくらか?
単位: % / ヒント: 原価率 = (期首原価+当期仕入原価) ÷ (期首売価+当期仕入売価) × 100
正解: 71% / (100+500) ÷ (140+700) × 100 = 600/840 × 100 ≒ 71.4% ≒ 71%。
問23. 売価還元原価法で期末棚卸資産原価を計算せよ。
原価率71.4%。期末棚卸高(売価)280万円期末棚卸資産原価 = 280万円 × 71.4% = ___万円
正解: 期末棚卸資産原価=200 / 280 × 71.4% ≒ 200万円。売価還元法の有用性: 全商品の原価を個別管理しなくても、売場単位の売価情報から棚卸資産原価が算定できる。
問24. 繰延資産の種類と会計処理を正しく組み合わせよ。
- 創立費・開業費 ー ( )
- 株式交付費・社債発行費 ー ( )
- 開発費(開発のための支出) ー ( )
正解: 創立費・開業費→任意で繰延。3年以内に定額償却(または即時費用化)、株式交付費・社債発行費→3年(株式)または社債の償還期限(社債)で均等償却、開発費(開発のための支出)→5年以内に定額(または生産高比例)償却 / 繰延資産: 将来の期間に収益を生み出す特殊な費用を一時的に資産計上するもの。会計基準では積極的な認識は推奨されず、原則費用処理・例外として繰延が認められる。
問25. 繰延資産が「資産」として認識される根拠として最も合理的なものはどれか?
- A. 将来の収益に貢献するため当期費用として計上するよりも費用収益対応の原則上適切
- B. 現金として回収できるから
- C. 時価が存在するから
- D. 税法で認められているから
正解: A. 将来の収益に貢献するため当期費用として計上するよりも費用収益対応の原則上適切 / 繰延資産の資産性: 将来の収益獲得に貢献する支出→費用収益対応原則から当期一括計上より複数期間に配分が合理的、という考え方。ただし「換金性がない」ため純粋な資産概念とは異なる。
問26. 研究開発費の会計処理として正しいものはどれか?
- A. 発生時に全額費用処理(原則)。繰延資産としての処理は認められない(日本基準)
- B. 任意で繰延資産計上できる
- C. IFRSでは開発費は全て費用処理
- D. 製品製造に直接関連する開発費のみ資産計上可能
正解: A. 発生時に全額費用処理(原則)。繰延資産としての処理は認められない(日本基準) / 日本基準(研究開発費基準): 研究開発費は発生時に全額費用(販管費or製造費用)として計上。資産計上不可(IFRSは開発費を要件を満たせば資産化必須→日本基準と異なる)。
問27. 財務諸表分析の指標として正しいものを全て選べ。
- A. インタレスト・カバレッジ・レシオ = 事業利益 ÷ 支払利息(財務安全性)
- B. 棚卸資産回転日数 = 棚卸資産 ÷ 売上高 × 365(効率性)
- C. 自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100(安全性)
- D. 売上高EBITDA率 = EBITDA ÷ 売上高(収益性・CF創出力)
正解: A・B・C・D / 全て正しい財務分析指標。ICR(利息カバレッジ比率): 利息の支払い能力。棚卸回転日数: 在庫の効率性。自己資本比率: 財務健全性。EBITDA率: 減価償却前の収益力。
問28. 営業利益600万円、受取利息20万円、支払利息80万円のとき、ICR(インタレスト・カバレッジ・レシオ)はいくらか?
単位: 倍 / ヒント: ICR = (営業利益+受取利息) ÷ 支払利息 = 事業利益 ÷ 支払利息
正解: 7.75倍 / (600+20) ÷ 80 = 620/80 = 7.75倍。ICRが高いほど利息支払い能力が高い(安全性高)。一般的に3倍以上が安全とされる。