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ビジネス会計1級 企業価値評価(DCF・EV/EBITDA)
全24問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 一般的な「企業価値」の構成要素として正しいものはどれか?
- A. 事業価値(本業が生み出す価値)+ 非事業用資産の価値(余剰現金・遊休資産等)
- B. 総資産の帳簿価額のみ
- C. 発行済株式数のみ
- D. 自己資本比率のみ
正解: A. 事業価値(本業が生み出す価値)+ 非事業用資産の価値(余剰現金・遊休資産等) / 企業価値は、本業(事業活動)が将来にわたって生み出す価値である「事業価値」に、事業に直接使われていない現金や遊休資産などの「非事業用資産の価値」を加えたものとして捉えられます。
問2. 企業価値評価における「DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)」の基本的な考え方として正しいものはどれか?
- A. 企業が将来生み出すと予測されるキャッシュフローを、リスクを反映した割引率で現在価値に割り引いて合計する方法
- B. 直近1年間の売上高をそのまま企業価値とする方法
- C. 貸借対照表の純資産の帳簿価額をそのまま企業価値とする方法
- D. 同業他社の株価を単純平均する方法
正解: A. 企業が将来生み出すと予測されるキャッシュフローを、リスクを反映した割引率で現在価値に割り引いて合計する方法 / DCF法は将来の複数年にわたるキャッシュフロー(フリーキャッシュフロー等)を予測し、資本コスト(割引率)で現在価値に割り引いて合計することで、事業が生み出す価値を評価する代表的な手法です。
問3. DCF法で将来のキャッシュフローを「割り引く」理由として最も適切なものはどれか?
- A. 同じ金額でも、将来受け取るお金は現在受け取るお金よりも価値が低いという「お金の時間的価値」の考え方に基づくため
- B. 将来のお金は必ずインフレで価値が上がるため割り増しする必要があるから
- C. 税金が将来必ず還付されるため
- D. 会計基準上、将来の金額をそのまま合計することが禁止されているため
正解: A. 同じ金額でも、将来受け取るお金は現在受け取るお金よりも価値が低いという「お金の時間的価値」の考え方に基づくため / 今すぐ受け取れる100万円は運用機会があるため、1年後に受け取る100万円よりも価値が高いと考えられます(お金の時間的価値)。この考え方に基づき、将来のキャッシュフローを一定の利率(割引率)で現在価値に割り引きます。
問4. 1年後に受け取る予定のキャッシュフローが110万円、割引率が10%のとき、その現在価値はいくらか?
単位: 万円 / ヒント: 現在価値=将来のキャッシュフロー÷(1+割引率)
正解: 100万円 / 現在価値 = 110 ÷(1+0.10)= 110 ÷ 1.1 = 100万円。割引率が高いほど、同じ将来のキャッシュフローの現在価値は小さくなります。
問5. DCF法の割引率としてよく用いられる「WACC(加重平均資本コスト)」の説明として正しいものはどれか?
- A. 株主資本コストと負債コストを、それぞれの資金調達額の割合で加重平均したもの
- B. 企業の売上高成長率のこと
- C. 法人税率そのもののこと
- D. 1株当たり配当金のこと
正解: A. 株主資本コストと負債コストを、それぞれの資金調達額の割合で加重平均したもの / WACC(Weighted Average Cost of Capital)は、株主が期待するリターン(株主資本コスト)と、借入等にかかるコスト(負債コスト、税引後)を、それぞれの資金調達額の構成比で加重平均した資本コストで、DCF法の割引率として広く用いられます。
問6. 「EBITDA」の説明として最も適切なものはどれか?
- A. 利払い前・税引き前・減価償却費控除前の利益(営業利益に減価償却費を足し戻したものとして簡便的に計算されることが多い)
- B. 税引後の当期純利益そのもの
- C. 売上高から人件費のみを差し引いた利益
- D. 自己資本のみを対象とした利益指標
正解: A. 利払い前・税引き前・減価償却費控除前の利益(営業利益に減価償却費を足し戻したものとして簡便的に計算されることが多い) / EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)は、簡便的に「営業利益+減価償却費」として計算されることが多く、金利水準や税制、減価償却方法の違いの影響を除いた、事業のキャッシュ創出力に近い利益概念として国際比較などに使われます。
問7. 営業利益100万円、減価償却費20万円のとき、EBITDAはいくらか?
単位: 万円 / ヒント: EBITDA=営業利益+減価償却費(簡便計算)
正解: 120万円 / EBITDA = 100+20 = 120万円。
問8. 企業価値評価で使われる「EV(Enterprise Value)」の計算式として正しいものはどれか?
- A. 時価総額 + 有利子負債 - 現金及び現金同等物
- B. 時価総額 - 有利子負債 + 現金及び現金同等物
- C. 時価総額のみ
- D. 純資産の帳簿価額のみ
正解: A. 時価総額 + 有利子負債 - 現金及び現金同等物 / EV(事業価値+非事業用資産を含む企業全体の価値の近似値)= 時価総額(株主から見た価値)+ 有利子負債(債権者からの調達分)- 現金及び現金同等物(すぐに負債返済や事業に充当できる資金)。
問9. 時価総額10億円、有利子負債3億円、現金及び現金同等物1億円のとき、EVはいくらか?
単位: 億円 / ヒント: EV=時価総額+有利子負債-現金及び現金同等物
正解: 12億円 / EV = 10+3-1 = 12億円。
問10. 「EV/EBITDA倍率」が投資判断や企業価値評価で用いられる理由として最も適切なものはどれか?
- A. 資本構成(負債と自己資本の比率)や国ごとの金利・税制の違いの影響を受けにくく、企業間比較がしやすいため
- B. 必ずPERよりも正確な指標だから
- C. 計算にキャッシュフロー計算書を全く使わないため簡単だから
- D. EBITDAは会計基準を問わず全世界で完全に同一の定義であるため
正解: A. 資本構成(負債と自己資本の比率)や国ごとの金利・税制の違いの影響を受けにくく、企業間比較がしやすいため / EV/EBITDAは、分子のEVが有利子負債を含む(資本構成の影響を受けにくい)企業価値、分母のEBITDAが金利・税金・減価償却方法の影響を除いた利益であるため、資本構成や会計方針の異なる企業・国をまたいだ比較に適しているとされます。
問11. EVが12億円、EBITDAが1.2億円のとき、EV/EBITDA倍率は何倍か?
単位: 倍
正解: 10倍 / EV/EBITDA = 12 ÷ 1.2 = 10倍。この倍率が同業他社より低ければ、相対的に割安と評価される可能性があります。
問12. 企業価値評価の「類似会社比較法(マルチプル法)」の考え方として正しいものはどれか?
- A. 事業内容が類似する上場企業の株価指標(PER・EV/EBITDA等)を参考に、評価対象企業の価値を推定する方法
- B. 対象企業の過去の財務諸表のみから将来価値を機械的に計算する方法
- C. 対象企業の帳簿上の純資産額をそのまま企業価値とする方法
- D. 対象企業の従業員数のみから企業価値を推定する方法
正解: A. 事業内容が類似する上場企業の株価指標(PER・EV/EBITDA等)を参考に、評価対象企業の価値を推定する方法 / 類似会社比較法は、事業内容・規模が類似する上場企業のPERやEV/EBITDAなどの倍率(マルチプル)を参考に、評価対象企業の利益等に乗じて相対的に価値を推定する手法です。
問13. 「DCF法」と「類似会社比較法」の特徴の違いとして正しいものはどれか?
- A. DCF法は対象企業固有の将来キャッシュフロー予測に基づく絶対評価、類似会社比較法は市場の評価水準を参照する相対評価という性質を持つ
- B. DCF法は必ず類似会社比較法より低い評価額になる
- C. 類似会社比較法はキャッシュフローの予測を全く必要としない点を除き、DCF法と全く同じ結果になる
- D. DCF法は上場企業のみに使える手法である
正解: A. DCF法は対象企業固有の将来キャッシュフロー予測に基づく絶対評価、類似会社比較法は市場の評価水準を参照する相対評価という性質を持つ / DCF法は対象企業自身の将来キャッシュフロー予測に基づく絶対評価的な手法、類似会社比較法は市場で成立している類似企業の評価倍率を参照する相対評価的な手法であり、それぞれ長所・短所があるため併用されることが多いです。
問14. 企業価値評価の代表的なアプローチとして適切なものを全て選べ。
- A. インカム・アプローチ(DCF法等)
- B. マーケット・アプローチ(類似会社比較法等)
- C. コスト・アプローチ(純資産法等)
- D. 重要性の原則アプローチ
正解: A・B・C / 企業価値評価には将来の収益力に着目する「インカム・アプローチ」、市場での類似取引・類似会社を参照する「マーケット・アプローチ」、純資産を基礎とする「コスト・アプローチ」という3つの代表的なアプローチがあります。「重要性の原則アプローチ」というものは存在しません。
問15. 有利子負債の水準が企業によって大きく異なる業界の比較分析において、PERよりもEV/EBITDAが好まれることがある理由として正しいものはどれか?
- A. PERの分子(株価)は負債の影響を受けるが分母(EPS)は支払利息控除後の利益であるのに対し、EV/EBITDAは分子・分母双方が負債の影響を除いた形で計算されるため、資本構成の異なる企業間で比較しやすい
- B. PERは計算にそもそも負債の情報を必要としないため無関係である
- C. EV/EBITDAは必ずPERより高い数値になるため比較しやすい
- D. PERは上場企業専用の指標でありEV/EBITDAは非上場企業専用の指標であるため
正解: A. PERの分子(株価)は負債の影響を受けるが分母(EPS)は支払利息控除後の利益であるのに対し、EV/EBITDAは分子・分母双方が負債の影響を除いた形で計算されるため、資本構成の異なる企業間で比較しやすい / PERはEPS(支払利息控除後の当期純利益)を用いるため負債の影響(支払利息の多寡)を受けますが、EVは負債を含めた企業価値、EBITDAは支払利息控除前の利益であるため、資本構成(借入の多寡)が異なる企業同士でも比較しやすいという利点があります。
問16. DCF法において、予測期間終了後も企業が一定の成長率で継続すると仮定して残存価値(ターミナルバリュー)を算定する考え方を何と呼ぶか?
- A. 永久成長率モデル(ゴードン成長モデル)
- B. 先入先出法
- C. 定額法
- D. 移動平均法
正解: A. 永久成長率モデル(ゴードン成長モデル) / 予測期間(通常5〜10年程度)の後も企業が一定の成長率で存続すると仮定し、その先のキャッシュフローの現在価値を簡便に算定する手法が永久成長率モデル(ゴードン成長モデル)です。DCF法による企業価値の多くの部分をこの残存価値が占めることも少なくありません。
問17. 企業価値評価(DCF法や類似会社比較法)を利用する際に留意すべき点として最も適切なものはどれか?
- A. 将来予測や参照する類似会社の選定には一定の主観・前提が入るため、算定結果には幅があり唯一絶対の正解ではないことを理解して用いる必要がある
- B. 一度計算した企業価値は将来にわたって永久に変化しない絶対的な数値である
- C. 企業価値評価の手法を使えば必ず将来の株価を100%的中させられる
- D. 企業価値評価には財務諸表の情報は一切不要である
正解: A. 将来予測や参照する類似会社の選定には一定の主観・前提が入るため、算定結果には幅があり唯一絶対の正解ではないことを理解して用いる必要がある / 企業価値評価は将来予測や割引率・類似会社の選定など多くの前提・仮定に依存するため、算定結果には相応の幅があります。複数の手法を併用し、前提の妥当性を批判的に検討する姿勢が重要です。
問18. DCF法によって企業価値を評価する一般的な手順を、正しい順序に並び替えよ。
- ( )将来のフリーキャッシュフローを複数年にわたって予測する
- ( )割引率(WACCなど)を設定する
- ( )予測期間後の残存価値(ターミナルバリュー)を算定する
- ( )各年のキャッシュフローと残存価値を現在価値に割り引いて合計する
正解の順序: 将来のフリーキャッシュフローを複数年にわたって予測する → 割引率(WACCなど)を設定する → 予測期間後の残存価値(ターミナルバリュー)を算定する → 各年のキャッシュフローと残存価値を現在価値に割り引いて合計する / DCF法はまず将来キャッシュフローを予測し、割引率を設定した上で、予測期間後の残存価値を算定し、最後にすべてを現在価値に割り引いて合計するという手順で進めます。
問19. 自己資本コスト8%、負債コスト(税引後)2%、自己資本の構成比率60%、負債の構成比率40%のとき、WACCはいくらか?
単位: % / ヒント: WACC=自己資本コスト×自己資本構成比率+負債コスト×負債構成比率
正解: 5.6% / WACC = 8%×0.6 + 2%×0.4 = 4.8%+0.8% = 5.6%。
問20. 「EBITDAマージン」の計算式として正しいものはどれか?
- A. EBITDA ÷ 売上高 × 100
- B. 売上高 ÷ EBITDA × 100
- C. EBITDA ÷ 総資産 × 100
- D. EBITDA × 売上高
正解: A. EBITDA ÷ 売上高 × 100 / EBITDAマージン = EBITDA ÷ 売上高 × 100。売上高に対してどれだけのキャッシュ創出力(EBITDA)があるかを示す収益性指標です。
問21. 売上高5,000万円、EBITDAが750万円のとき、EBITDAマージンはいくらか?
単位: %
正解: 15% / EBITDAマージン = 750 ÷ 5,000 × 100 = 15%。
問22. 企業価値評価におけるDCF法の「感応度分析」の目的として最も適切なものはどれか?
- A. 割引率や成長率などの前提条件を変化させた場合に、算定される企業価値がどの程度変動するかを検証する
- B. 企業の過去の財務諸表の誤りを検出する分析
- C. 従業員の業務遂行能力を評価する分析
- D. 感応度分析は財務諸表監査においてのみ使われる手法である
正解: A. 割引率や成長率などの前提条件を変化させた場合に、算定される企業価値がどの程度変動するかを検証する / 感応度分析は、DCF法で用いる割引率や成長率などの前提条件を一定範囲で変化させ、算定される企業価値がどの程度変動するかを検証することで、評価結果の頑健性やリスクを把握する手法です。
問23. EVが24億円、売上高が12億円のとき、EV/売上高倍率は何倍か?
単位: 倍
正解: 2倍 / EV/売上高倍率 = 24 ÷ 12 = 2倍。赤字企業などEBITDAが算定しにくい場合に、売上高を基準にした簡便な倍率として使われることがあります。
問24. 企業価値評価を実務で活用する際の留意点として適切なものを全て選べ。
- A. 前提条件(割引率・成長率等)によって算定結果に幅が生じる
- B. 複数の評価手法を併用して結果を相互検証することが望ましい
- C. 一度算定した企業価値は将来にわたって変化しない絶対的な数値である
- D. 類似会社の選定には一定の主観が入る
正解: A・B・D / 企業価値評価は前提条件によって結果に幅が生じ、類似会社の選定にも主観が入るため、複数手法の併用や前提の妥当性検証が重要です。算定結果は絶対的なものではなく、状況の変化に応じて見直されるべきものです。