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ビジネス会計1級 連結財務諸表分析
全26問 / トルカ(https://toruca.app)
問1. 投資家が親会社単体の財務諸表ではなく連結財務諸表を重視して分析する主な理由として最も適切なものはどれか?
- A. 親会社が子会社を通じて実質的に支配している企業集団全体の経済実態を把握できるため
- B. 連結財務諸表の方が作成が簡単だから
- C. 税務申告は連結財務諸表のみで行われるため
- D. 単体財務諸表は法律上作成が禁止されているため
正解: A. 親会社が子会社を通じて実質的に支配している企業集団全体の経済実態を把握できるため / 親会社が子会社を通じて実質的に事業を行っている場合、親会社単体だけを見ても企業集団全体の実態は分かりません。連結財務諸表は支配従属関係にある企業集団全体を1つの経済実体として捉え、より実態に即した分析を可能にします。
問2. 連結財務諸表を作成する際、子会社を連結の範囲に含めるかどうかの判断基準として、現在の会計基準が採用している考え方はどれか?
- A. 支配力基準(議決権の所有割合だけでなく、実質的な支配関係の有無で判断する)
- B. 持株基準(議決権の50%超を所有しているかどうかのみで機械的に判断する)
- C. 資本金基準(資本金の大小のみで判断する)
- D. 設立年数基準(設立から一定年数が経過しているかで判断する)
正解: A. 支配力基準(議決権の所有割合だけでなく、実質的な支配関係の有無で判断する) / 現在の日本基準は「支配力基準」を採用しており、議決権の所有割合だけでなく、実質的に他の会社の意思決定機関を支配しているかどうかで連結の範囲を判断します(議決権40%以下でも支配が認められれば子会社となる場合があります)。
問3. 「持分法」が適用される会社(関連会社等)の説明として最も適切なものはどれか?
- A. 子会社のように完全には支配していないが、財務・営業方針の決定に重要な影響を与えることができる会社
- B. 完全に支配している子会社と全く同じ会計処理をする会社
- C. 資本関係が一切ない取引先会社
- D. 上場していない会社すべて
正解: A. 子会社のように完全には支配していないが、財務・営業方針の決定に重要な影響を与えることができる会社 / 関連会社等、支配には至らないものの重要な影響を与えることができる会社には「持分法」が適用されます。子会社のように全ての資産・負債・収益・費用を合算する「連結」とは異なり、投資額を投資先の純資産の変動に応じて修正する処理を行います。
問4. 「持分法」と「連結(全部連結)」の会計処理上の主な違いとして正しいものはどれか?
- A. 連結は資産・負債・収益・費用を全て合算するのに対し、持分法は投資額を1行の科目(投資有価証券等)で純額表示し、持分相当額の損益のみを反映する
- B. 持分法の方が連結よりも詳細に資産・負債の全項目を開示する
- C. 両者は全く同じ処理であり、名称が違うだけである
- D. 持分法は上場企業のみに適用され、連結は非上場企業のみに適用される
正解: A. 連結は資産・負債・収益・費用を全て合算するのに対し、持分法は投資額を1行の科目(投資有価証券等)で純額表示し、持分相当額の損益のみを反映する / 連結(全部連結)は子会社の資産・負債・収益・費用をすべて合算しますが、持分法は投資先の純資産・損益のうち持分割合に応じた金額のみを、投資額の修正という形で反映する簡便的な処理です。
問5. 連結財務諸表における「のれん」の説明として最も適切なものはどれか?
- A. 子会社株式の取得原価が、取得した子会社の資産・負債の時価評価純額(親会社持分相当)を超過した部分
- B. 子会社が保有する土地の含み益のこと
- C. 親会社の自己株式のこと
- D. 子会社の借入金の総額のこと
正解: A. 子会社株式の取得原価が、取得した子会社の資産・負債の時価評価純額(親会社持分相当)を超過した部分 / のれんは、企業買収の際に支払った対価が、取得した純資産(時価評価後)の親会社持分を上回る部分で、ブランド力・技術力・顧客基盤など貸借対照表に表れない超過収益力の対価と考えられます。
問6. のれん600万円を20年間で均等償却する場合、1年当たりの償却額はいくらか?
単位: 万円
正解: 30万円 / のれん償却額 = 600 ÷ 20 = 30万円/年。日本基準ではのれんを20年以内のその効果の及ぶ期間で規則的に償却します(IFRSでは償却せず減損テストのみ行う点が異なります)。
問7. のれんの償却費が営業利益に与える影響、および日本基準とIFRSの違いに関する説明として正しいものはどれか?
- A. 日本基準ではのれんを規則的に償却するため営業利益が圧迫されるが、IFRSでは償却せず減損時のみ損失を計上するため、両基準の営業利益を単純比較する際は注意が必要
- B. のれんの償却は必ず特別損失に計上されるため営業利益には一切影響しない
- C. IFRSを採用している企業の方が必ず日本基準より営業利益が低くなる
- D. のれんの償却方法は日本基準・IFRSともに全く同じである
正解: A. 日本基準ではのれんを規則的に償却するため営業利益が圧迫されるが、IFRSでは償却せず減損時のみ損失を計上するため、両基準の営業利益を単純比較する際は注意が必要 / 日本基準はのれんを規則的に償却するため毎期費用が発生しますが、IFRSは償却せず減損が生じた時のみ損失計上します。そのため、日本基準とIFRSを採用する企業の営業利益を比較する際は、この会計方針の違いを考慮する必要があります。
問8. 「非支配株主持分」の説明として最も適切なものはどれか?
- A. 子会社の純資産のうち、親会社以外の株主(少数株主)が保有する持分に相当する部分
- B. 親会社の株主のうち、議決権を持たない株主の持分
- C. 自己株式のうち市場で売却された部分
- D. 海外の投資家が保有する親会社株式の持分
正解: A. 子会社の純資産のうち、親会社以外の株主(少数株主)が保有する持分に相当する部分 / 連結子会社の株式を100%保有していない場合、親会社以外の株主(非支配株主)が保有する持分相当額を「非支配株主持分」として純資産の部に区分表示します。
問9. 連結子会社を含む当期純利益(合計)が200万円、そのうち非支配株主に帰属する当期純利益が20万円のとき、親会社株主に帰属する当期純利益はいくらか?
単位: 万円
正解: 180万円 / 親会社株主に帰属する当期純利益 = 当期純利益合計 - 非支配株主に帰属する当期純利益 = 200 - 20 = 180万円。連結損益計算書ではこの内訳が明示され、株主還元の原資として重視されるのは親会社株主に帰属する部分です。
問10. 連結財務諸表におけるROEを計算する際、分子・分母に用いるべき数値として正しい組み合わせはどれか?
- A. 分子=親会社株主に帰属する当期純利益、分母=親会社株主に帰属する持分(自己資本)
- B. 分子=当期純利益合計(非支配株主帰属分含む)、分母=純資産合計(非支配株主持分含む)
- C. 分子=親会社株主に帰属する当期純利益、分母=純資産合計(非支配株主持分含む)
- D. 分子=当期純利益合計、分母=総資産
正解: A. 分子=親会社株主に帰属する当期純利益、分母=親会社株主に帰属する持分(自己資本) / 連結ROEは株主(親会社株主)目線の指標であるため、分子は親会社株主に帰属する当期純利益、分母は非支配株主持分を除いた親会社株主に帰属する持分(自己資本)を用いるのが整合的です。分母・分子の範囲を揃えることが重要です。
問11. セグメント情報における「セグメント利益」の分析が有用な理由として最も適切なものはどれか?
- A. 全社合計の利益だけでは分からない、事業別の収益性のばらつきや、どの事業が業績を牽引しているかを把握できるため
- B. セグメント情報は必ず全社合計と一致しない不正確な情報だから重要視される
- C. セグメント情報は税務申告のためだけに作成されるため
- D. セグメント情報を見れば株価が必ず予測できるため
正解: A. 全社合計の利益だけでは分からない、事業別の収益性のばらつきや、どの事業が業績を牽引しているかを把握できるため / 複数事業を営む企業では、全社の合計利益だけでなく事業別(セグメント別)の利益水準を見ることで、好調な事業・不振な事業を特定し、経営資源の配分や将来性を評価する手がかりになります。
問12. セグメントAの売上高500万円・セグメント利益50万円、セグメントBの売上高300万円・セグメント利益45万円のとき、セグメント利益率が高いのはどちらで、その利益率はいくらか(高い方の利益率を答えよ)?
単位: % / ヒント: 各セグメントのセグメント利益率=セグメント利益÷セグメント売上高×100を計算して比較する
正解: 15% / セグメントAの利益率=50÷500×100=10%。セグメントBの利益率=45÷300×100=15%。売上高はAの方が大きいが、収益性(利益率)はBの方が高いことが分かります。
問13. セグメント情報において、あるセグメントから別のセグメントへの内部売上(セグメント間取引)はどのように扱われるか?
- A. 各セグメントの売上高には含めて開示しつつ、全社の調整欄でセグメント間取引を消去し、外部顧客への売上高との差異が分かるようにする
- B. セグメント間取引は最初から一切集計されない
- C. セグメント間取引は必ず特別利益として計上する
- D. セグメント間取引はすべて非支配株主持分として扱う
正解: A. 各セグメントの売上高には含めて開示しつつ、全社の調整欄でセグメント間取引を消去し、外部顧客への売上高との差異が分かるようにする / セグメント情報ではセグメント間の内部売上高も含めて各セグメントの業績を開示した上で、「調整額」の欄でセグメント間取引を消去し、連結損益計算書の外部売上高と整合させます。
問14. 連結財務諸表を分析する際に留意すべき点として適切なものを全て選べ。
- A. 親会社株主に帰属する当期純利益と非支配株主に帰属する当期純利益を区別して見る
- B. のれんの償却方針(日本基準かIFRSか)の違いが利益に与える影響を考慮する
- C. セグメント情報を使って事業別の収益性のばらつきを確認する
- D. 連結財務諸表には現金及び現金同等物の情報は一切含まれない
正解: A・B・C / 連結財務諸表の分析では非支配株主持分の区別、会計基準の違い(のれん処理等)、セグメント別分析などが重要です。連結キャッシュフロー計算書には現金及び現金同等物の情報も当然含まれます。
問15. 既に一部の株式を保有していた会社の株式を追加取得し、新たに子会社化する「段階取得」が生じた場合の会計処理の考え方として正しいものはどれか?
- A. 支配獲得日における時価によって、それまで保有していた株式を再評価し、評価差額を損益として認識する
- B. 追加取得分の株式のみを時価評価し、既存保有分は取得原価のまま据え置く
- C. 段階取得の場合は連結の対象外となる
- D. 追加取得時にのれんは一切発生しない
正解: A. 支配獲得日における時価によって、それまで保有していた株式を再評価し、評価差額を損益として認識する / 段階取得により支配を獲得した場合、それまで保有していた被取得企業の株式を支配獲得日の時価に評価替えし、取得原価との差額を段階取得に係る損益として認識します。
問16. のれんについて「減損の兆候」が見られる代表的な状況として適切なものはどれか?
- A. 買収した子会社の業績が当初の事業計画を大きく下回り、回復の見込みが乏しい
- B. 買収した子会社の業績が計画を上回って好調に推移している
- C. のれんの残存償却期間がまだ十分に残っている
- D. 親会社の売上高が増加している
正解: A. 買収した子会社の業績が当初の事業計画を大きく下回り、回復の見込みが乏しい / 買収時に見込んだ超過収益力(のれんの根拠)が実現しないと判断される場合(業績の著しい悪化等)には減損の兆候があるとされ、回収可能価額を見積り、必要に応じて減損損失を計上します。
問17. 損益計算書における「持分法による投資利益」の表示区分として正しいものはどれか?
- A. 営業外収益
- B. 売上高
- C. 販売費及び一般管理費
- D. 法人税等
正解: A. 営業外収益 / 持分法適用会社の業績に応じた損益(持分法による投資利益・投資損失)は、営業外収益または営業外費用の区分に表示されます。
問18. ある会社への出資比率が徐々に高まっていく場合の会計上の関係区分を、出資比率が低い順に並び替えよ。
- ( )子会社(連結)
- ( )その他有価証券(重要な影響力なし)
- ( )関連会社(持分法)
正解の順序: その他有価証券(重要な影響力なし) → 関連会社(持分法) → 子会社(連結) / 出資比率が低く重要な影響力もない場合は「その他有価証券」として時価評価のみ、重要な影響力を持つに至れば「関連会社」として持分法適用、支配に至れば「子会社」として連結の対象となります。
問19. 親会社が子会社株式を追加取得し、非支配株主持分比率が低下した場合(支配は継続)の会計処理として正しいものはどれか?
- A. 追加取得の対価と、減少する非支配株主持分の差額を資本剰余金として処理する(損益は計上しない)
- B. 追加取得の対価と非支配株主持分の差額を特別損失として計上する
- C. 追加取得によりのれんが必ず再計算される
- D. 追加取得は連結財務諸表に一切影響を与えない
正解: A. 追加取得の対価と、減少する非支配株主持分の差額を資本剰余金として処理する(損益は計上しない) / 支配を継続したまま追加取得する取引は「資本取引」として扱われ、対価と非支配株主持分の減少額との差額は損益ではなく資本剰余金の増減として処理されます。
問20. 1級レベルの連結財務諸表分析で求められる視点として最も適切なものはどれか?
- A. 単体の数値だけでなく、連結の範囲・非支配株主持分・のれん・セグメント情報など企業集団特有の要素を踏まえて多面的・批判的に分析する
- B. 貸借対照表の合計額が一致しているかどうかだけを確認する
- C. 税額計算が正しいかどうかのみを検証する
- D. 決算書の見た目のデザインを評価する
正解: A. 単体の数値だけでなく、連結の範囲・非支配株主持分・のれん・セグメント情報など企業集団特有の要素を踏まえて多面的・批判的に分析する / ビジネス会計検定1級では、単純な比率計算にとどまらず、連結範囲・非支配株主持分・のれん・セグメント情報など企業集団特有の要素を踏まえ、会計情報を総合的・批判的に読み解く応用力が求められます。
問21. 子会社であっても、重要性の乏しい会社を連結の範囲から除外できる場合があるという考え方の根拠として正しいものはどれか?
- A. 重要性の原則により、連結財務諸表全体の判断を誤らせない程度に重要性が乏しい子会社は、連結の範囲に含めないことが認められる場合がある
- B. 全ての子会社は例外なく必ず連結の範囲に含めなければならない
- C. 重要性が乏しい子会社は税務上のみ考慮すればよく会計上は一切関係ない
- D. 連結の範囲は親会社の任意で自由に決定できる
正解: A. 重要性の原則により、連結財務諸表全体の判断を誤らせない程度に重要性が乏しい子会社は、連結の範囲に含めないことが認められる場合がある / 連結財務諸表においても重要性の原則が適用され、資産・売上高等の観点から重要性の乏しい子会社は連結の範囲から除外することが例外的に認められる場合があります。
問22. のれんの帳簿価額が800万円、回収可能価額が500万円と評価された場合、計上すべき減損損失はいくらか?
単位: 万円 / ヒント: 減損損失=帳簿価額-回収可能価額
正解: 300万円 / 減損損失 = 800-500 = 300万円。回収可能価額まで帳簿価額を切り下げます。
問23. 日本の法人税における「グループ通算制度」の趣旨として最も適切なものはどれか?
- A. 完全支配関係にある企業グループ内の各法人の所得・欠損を通算し、グループ全体で税負担を調整できる制度
- B. 連結財務諸表の作成方法を定める会計基準である
- C. グループ会社間の商品売買価格を自由に設定できる制度
- D. グループ通算制度は消費税にのみ関係する制度である
正解: A. 完全支配関係にある企業グループ内の各法人の所得・欠損を通算し、グループ全体で税負担を調整できる制度 / グループ通算制度は、完全支配関係にある企業グループ内の各法人の所得・欠損を通算して法人税を計算できる制度で、連結会計とは別の税務上の制度です。
問24. セグメントCの売上高400万円・セグメント利益60万円のとき、セグメント利益率はいくらか?
単位: %
正解: 15% / セグメント利益率 = 60 ÷ 400 × 100 = 15%。
問25. 親会社が保有する子会社株式の一部を売却し、支配は継続したまま非支配株主持分比率が上昇した場合の会計処理として正しいものはどれか?
- A. 売却対価と、増加する非支配株主持分の差額を資本剰余金として処理する(損益は計上しない)
- B. 売却対価と非支配株主持分の差額を特別利益として計上する
- C. この取引は連結財務諸表には一切反映されない
- D. 支配が継続する限り、いかなる売却も認められない
正解: A. 売却対価と、増加する非支配株主持分の差額を資本剰余金として処理する(損益は計上しない) / 支配を継続したまま子会社株式の一部を売却する取引も「資本取引」として扱われ、売却対価と非支配株主持分の増加額との差額は、損益ではなく資本剰余金の増減として処理されます。
問26. 連結財務諸表に特有の項目・概念として適切なものを全て選べ。
- A. 非支配株主持分
- B. のれん
- C. セグメント情報
- D. 売上総利益率
正解: A・B・C / 非支配株主持分・のれん・セグメント情報はいずれも連結財務諸表に特有の項目・開示です。売上総利益率は単体・連結を問わず使われる一般的な収益性指標です。